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国家資格キャリアコンサルタント(中小企業診断士の非保有者向け)

2020-02-20 12:00:00 | 19期生のブログリレー

こんにちは。事務局スタッフ(幽霊)藤田です。先日の19期生佐々木辰也さんのブログ「ITコーディネーター」に触発されて書かせていただきます。(なお、ITコーディネーターにも興味を持っております!)

https://blog.goo.ne.jp/kasegerupurocon/e/444c4c9b0c4aa1475f94b432e5180629

中小企業診断士とのダブルライセンスが多いかはわかりませんが、自分自身が2019年に取得をした「国家資格キャリアコンサルタント」制度についてご紹介します。なお、本資格制度ができたのは2016年4月と今年で5年目の新しい資格です。自分も取得時にいろいろネットで中小企業診断士との対象記事を探していたので、この機会にまとめてみました。

厚生労働省のウェブサイト(※)よると「キャリアコンサルティング」「キャリアコンサルタント」その活用・効果については以下のように書かれています。

〇「キャリアコンサルティング」とは(※)
労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことをいいます。

〇「キャリアコンサルタント」とは(※)
キャリアコンサルティングを行う専門家で、企業、需給調整機関(ハローワーク等)、教育機関、若者自立支援機関など幅広い分野で活躍しています。

〇「キャリアコンサルティング」の活用・効果(※)
 キャリアコンサルティングを通じて、自分の適性や能力、関心などに気づき、①【自己理解を深める】とともに、②【社会や企業内にある仕事について理解する】ことにより、その中から③【自身に合った仕事を主体的に選択】できるようになることが期待できます。組織内では、必ずしも自身の希望が叶うわけではありませんが、④【自身の潜在的なキャリアのニーズに気づき、仕事や能力開発の機会などを通して視野を広げ、自身のキャリア形成を考えていく】ことが大切です。


【】内がポイントで、③(クライアント)自身に合った仕事を主体的に選択し、④自身でキャリアを形成してもらうための支援者であるという基本原則に従い、①クライアントに自己理解を深めてもらう方法(問いかけ、態度など)、②クライアントに仕事に気づいてもらうために提供する仕事情報にもふれます。②は後でアウトプットできるものなので、①の理論や知識と実践、③と④の概念は講座や試験でも繰り返し叩き込まれました。

〇この制度が必要とされた背景
新卒一括採用、終身雇用制度や年功序列などから、少子高齢化社会による年金支給年齢の延長などの就業環境の変化、「働き方改革」「ワークライフバランス」に代表されるライフとワークで人生を考えていくという傾向、多様化する価値観と働き方など、自分自身でキャリアを作っていく必要が出てきました。それを支援する立場としてキャリアコンサルタントの必要性が高まり、2016年度国家資格化されることになったとのことです。

それではどんな方が受験できるようになったか、気になる方もおられるのではないでしょうか。

〇キャリアコンサルタント試験の受験資格(※)
①厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者
②労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験(5を参照)を有する者
③技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験又は実技試験に合格した者
④上記の項目と同等以上の能力を有する者

①の通り、キャリアコンサルティング経験がなくても、もちろん中小企業診断士でも、講座を受けて試験に合格すれば取得できます(私はこちらです)。なお、②~④はキャリアコンサルティングの経験がある方です。


以下は①についての流れ、私自身の体験と見解を書かせていただきます。

Step1:「厚生労働大臣が認定する講習」に申し込み(受験予定6か月前)
上記のリンク、ネットで検索すると講座紹介がいくつかでてきます。講座説明会に参加し、比較されると良いと思います。なお受講料は20万円前後しますので、私および受講仲間の多くは、専門実践教育訓練給付金を活用し、ハローワークに申請すると受講と合格実績で受講料の一部が戻ってくる制度を利用しました。申込前にハローワークでキャリアコンサルティングを受けてジョブカードを書くのがよいそうですが、私は時間がなくて勤務先の社長に書類を提出し、印鑑をいただきましたが、実際にキャリアコンサルティングを受けてみるのはなおよいかもしれません。(申請手続きについては講座を実施する学校側もフォローしてくださいます)

Step2:認定講座を受講
講座は学科パート、演習パートに分かれており、前半の学科パートは通信(ビデオ受講)で行う講座もあります。ただし、演習パートは7週連続、一定の曜日に朝から夕方まで通い続けることが義務付けられています。通学講座の振替はできず、いけない場合は欠席扱いとなり(部分での出席加算あり)、8割以上の出席がマストです。社会人にはハードルが高いのですが、ただ20人前後で7週連続通い、共に学び、ロールプレイングも多いので、クラスには「試験を一緒に頑張ろう」とう仲間意識が芽生えてくることが多いようです。
申し込む際、忙しくなる時期は調整したほうがよいでしょう。

Step3:受験
認定講座の後に1-2か月後に2日間の試験(1-2週空くので注意)を受けます。2019年度は年に3回ほどありました。試験で学科と実技(実践)の2つが問われるのは診断士と同じです。診断士は学科=1次試験、実践=2次試験(論文)、実技=3次試験(口述試験)ですが、キャリアコンサルタントは筆記試験(学科)と実技試験(論文+ロールプレイング)というカテゴライズです。診断士のように1次試験が終わって2次試験ではなく、筆記試験と学科試験は結果を知る前に同時に受けられます。

学科試験と実技試験(論文)が同じ日にあり、その1-2週間後に実技試験(ロールプレイング)があります。筆記試験:100点満点で70点以上の得点、
実技試験(論文、ロールプレイング):基準項目で基準点に達して、全体で6割
とる必要があります。片方不合格の場合は合格は数回は持ち越され、次回に片方だけ受験可能です。

受験には「特定非営利活動法人日本キャリア開発協会(JCDA)」「特定非営利活動法人キャリア・コンサルティング協議会」の2つの団体のいずれかで受けることができます。学科は両社共通ですが、実技(論文とロールプレイング)は両者で違います。違いについてはここで述べることは差し控えます。
私の受けた学校の講座は2つの団体に対応していましたが、片方の団体により対応している場合もあるのかもしれません。

学科試験や論述試験で左脳を動かし、ロールプレイングでは右脳を動かすという両脳動かす感じが診断士とはまた違う過程でした。

Step4:試験結果発表
試験結果にかかわらず結果と項目ごとの点数が来ます。振り返りができます。

Step5:登録・そして更新制度
学科試験、実技試験とも合格し、晴れて登録後、診断士と同じで5年間で登録更新の必要があります。登録要件は講習受講と実務だそうです。

試験スキームは学科と実践、登録制度があるなど両者には共通点も多いです。

 

〇診断士とキャリアコンサルタント

1:中小企業診断士と国家資格キャリアコンサルタントの最も大きな違い(私見)
診断士の場合は知識を診断士側が持っており、提案及び支援内容が良くて、その成果をクライアントが受け入れ、納得してくれれば、それが成果となるケースもあります。よって、試験内容は学科や理論(客観的に事実を基にして提案できる力)が重視されている気がします。

一方、キャリアコンサルタントはどんなに提案及び支援内容が良くても、クライアントがそれを受け入れ、納得し、自らがキャリアを形成していく姿勢とならなければ成果とはなりません。クライアント自身で自らの課題を自己受容してもらうため、鏡になるべき「傾聴」(聴く力)をとても重視します。コンサルタント側も頭で「傾聴しなければ」と分かっていても、問いかけ(言語面)はもちろん、非言語(態度など)において、クライアントに「このキャリアコンサルタントは私の話を聞いていない。わかってくれていない」と思われると「できていない」ことになります。演習では大変叩き込まれますし、トレーニングはなかなか苦痛でした。よって、理論についても試験で課されますが、実技試験に大きなウエートが置かれています。(学科100点、実技試験140点)

ただし稼プロ!の次回講義で学ぶ「聴く」力ですが、診断士でも大事なことであり、相手を受け止めることでクライアントとして信頼関係を結び、コンサルティングがよりよいものになるということはいうまでもありません。

 

2:中小企業診断士が国家資格キャリアコンサルタントを受けるうえでのアドバンテージ
①学科試験では有利
学科試験は「診断士:経営や診断の手法や理論家→キャリアコンサルタント:キャリアの手法や理論家」、「診断士:中小企業政策→キャリアコンサルタント:キャリア政策」、「キャリアコンサルタントとしての姿勢・倫理」の3パートにわかれています。特に前者2パートについては取り組みやすいと思います。

②実技試験の一部となる論述試験ではとても有利
論述試験は、診断士試験の2次試験を受けている方には違和感のなく受け入れられると思います。時間数は50分と少なく時間勝負の面もあります。

 

3:中小企業診断士が国家資格キャリアコンサルタントを受けるうえでの不利な点

①実技試験ロールプレイングでは不利な面もある(が、学びになる)
診断士が苦戦することが多いと思われる1つは実技試験ロールプレイングと思われます。ロールプレイングでは15分間、クライアント役と会話をするのですが、相手の話を受け止めず、話を自分の興味に持っていったり、解決策をいってしまうと(それがどれだけ相手のためと判断しても!)悪い評価になります。聴くのトレーニングをしている稼プロ!のみなさまなら得意かもしれません。窓口相談や伴走型支援の経験など必要な場面が増えていますので重要とは存じます。

②7週連続1日の講座に通うことや受講費用の問題
ここが一番ネックではと思います。アクティブで多忙な診断士のみなさまが週末の1日を7週連続で通うこと、様々なスキルアップの機会もある中、まとまった講座受講の費用がかかることについての覚悟が必要かもしれません。(「費用をかけて学んだので、得た知識の分、元が取れる」という経済的な即効性のある費用対効果はキャリアコンサルタントとして学ぶ領域については持ちにくいように感じます)

ただ、私も取得後、傾聴(聴く)の姿勢や伴走者になる心構えなど、長期的には重要である心構え・スキルであり取得してよかったと感じています。一方時間や費用などは確かに大変です。

気になられましたら、調べてみて、よろしければ勢いに乗ってトライすることを個人的にはお勧めいたします。

 

 


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (森(宏))
2020-02-21 18:32:45
うちが推進する資格のご紹介ありがとうございます。
という自分は当然受験資格はありますが未受験です。
組織からの取れというやんわりとした圧力はありますが、ならば受験費用や更新費用の補助、または資格手当くらい付けろ、と拒否し続けています。
それはさておき、受講費用は藤田さんのご紹介どおり専門実践教育訓練制度を使える方なら50%、所定の受験機会に一発合格した場合(かつ就職していることで)さらに20%、つまり結果的に70%戻ります。だいたい30数万円なので10万くらいで済む可能性はありますね。
ちなみ今はジョブカード必須なので事業主の証明は不可です。
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Unknown (藤田)
2020-02-21 23:45:30
森(宏)さま
そうだったのですね。
プロの前で恥ずかしいです汗
とってよかったと思います。

社長の証明はだめになったのですね。
ありがたかったですが、
ジョブカードのカウンセリング今更受けてみたいです。

森さまが取得されましたら、ぜひシェアし合えますのを楽しみにしています!
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Unknown (廣瀬達也(19期生))
2020-02-24 16:34:51
藤田さん
「国家資格キャリアコンサルタント」資格についてのご紹介ありがとうございます。診断士の中でもチラホラ保有されている方がいらっしゃいますね。最近興味を持っている資格の1つです。

2016年にできた制度とは驚きました。かなり前から「CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)」という三文字はチラホラ聞いていました。「CDAとは別物のなの???」と思いネットでチラホラ調べてみると、2016年で国家制度として再整備みなたいなことが起こったんですね。それだけ、キャリアに関わる開発とか支援のニーズが高まってきたということだと感じました。
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キャリコンとして (金岩由美子)
2020-02-26 02:49:39
藤田さん、キャリコンとしてどのような活動をされていますか?
私は今ひとつ資格を生かしきれておりません。。
先日ACCNに入会しました。また情報交換させてください!
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Unknown (CDAと国家資格キャリアコンサルタント)
2020-02-26 10:54:41
廣瀬さん

ありがとうございます。
ご興味をお持ちなのですね。
CDAはメジャーな民間資格で
国家資格キャリアコンサルタント になるときに
●CDAの流派のJCDA
●キャリアコンサルティング協議会
のうちひとつで実技(論述とロールプレイング)を受けます。前者の場合(国家資格キャリアコンサルタント を持っていればかもしれません)合格してCDAも登録すれば取得でき、私もCDAも持っています。CDAからくるセミナーや講座、人材募集の情報量はとても多いです。

あまりよく理解できずこのような説明で申し訳ありませんが、ご一緒できることがあれば嬉しいです。
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Unknown (藤田)
2020-03-15 15:39:59
金岩さん
コメントいただきながら遅くなり申し訳ありません。
既にご活躍の金岩さんにお伺いしたいです。
ACCN私も入りました。
そちらでもよろしくお願い申し上げます。
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