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どこまでやるか? ~できる限りやるべきではあるが~

2020-10-24 12:00:00 | 20期生のブログリレー

みなさん、こんにちは。稼プロ!20期生の加納久稔です。

 

真夏の8月4日に最初のブログを書きましたが、4回目の今日は10月下旬。勤務先では、11月2日から始まるWEBによる年末調整申告設定の最終確認をしている最中です。

 

現在利用しているシステムを導入する前は、社員から受け取った年末調整の各種申告書を、管理部門がシステムに手で入力していました。みなさんの中にも生命保険料や損害保険料を所定の紙に書き、証明書を添付して勤務先に提出している方がいるのではないでしょうか。また、たとえば子供が生まれたとか就職したとかしたときは、社員が届出を行い、管理部門では必要な項目をシステムに入力して税金の計算を行っていました。

 

しかし、今のシステムになってからは、それらの作業を社員の方々にWEBで入力してもらうようになったため、管理部門の負担を軽減することができました。一度入力したデータに変更がなければ、翌年も利用することができるので、社員にとっても毎年同じことを記入する手間が減ったわけです。

 

ただ、今のシステムはゼロからプログラミングをするわけではないのですが、自分たちでパーツをつなぎ合わせて設定していくものです。基本的なことはマニュアルどおりに進めていきますが、誤入力しやすいと思われるところには説明を画面に加えたり、実際に誤入力したら先に進めなくなるようにしたりと、手を加えていきます。エンドユーザー向けのマニュアルも管理部門への問い合わせをなるべく減らそうとしたため、A4で80ページにも渡っています。導入時は3か月間、ほぼ毎日その作業しかしていませんでした。

 

2年目以降は、所得税法などの改正に対応するだけですので、導入時ほどの作業量はありません。しかし、この2・3年は配偶者に関する控除が数種類に細分化されたり、基礎控除の額が変わったりと、そこそこ設定変更があるため8月位から準備を開始しています。

 

今年の年末調整では、全員が自分の所得を申告(入力)しなければなりません。昨年までは、配偶者の控除を受けたり、住宅に関する控除を受けたりするときだけ、つまり対象者が限られていました。したがって、法改正の内容を簡単に説明したうえで、入力しなかったら先に進めないようにしました。

 

また、年収が一定額以上の者で、23歳未満の扶養親族がいる場合は、申告することによって所得金額の控除(課税対象となる金額を少なくすることです)を受けられるようになりました。これは所得金額調整控除といい、通常の控除とは別のものです。ただし、ここでの「扶養親族」とは、自分の控除対象とはしていないが配偶者の控除対象としている者も含みます。したがって、自分はこの所得金額調整控除のみで配偶者は通常の控除と所得金額調整控除の両方を受けられる、あるいはその逆パターンもあるわけです。

 

システム上は、控除対象・控除対象外・所得金額調整控除対象の3つから選択するようになっています。年収と扶養親族の年齢要件を満たして「控除対象」を選択していれば、自動的に通常の控除と所得調整金額控除を受けられます。しかし、わざわざ所得金額調整控除を選択してしまうと、通常の控除は受けられない仕組みになっています。逆に、通常の控除対象にはしていないが要件を満たす場合は、控除対象外から所得金額調整控除へ変えなければなりません。

 

あくまでも年末調整の申告は社員自身が行うものであり、間違った申告をしたら本人の責任ですが、あとで修正することになると管理部門には余計な手間がかかってしまいます。

 

だから、間違いを回避する策をできる限り事前に講じておきたい。

だけど、対象になるだろうと思われる者は、それほど多くない。所得金額調整控除だけ受ける者は、ほぼゼロのはず。

だけど、将来にわたって対象者が少ない保証はどこにもない。あとから設定を追加するのは忘れがちになるので、そのときは間違いが多くなるかもしれない……。

 

最終的にはどこかで割り切っているのですが、毎年同じようなことで悩みます。100%完璧な(絶対に間違えさせない)設定やマニュアルは無理だとは思いますが、できる限りのことはしたい。でも、そこまで手間をかける必要があるのか。それで利益が増えるのか。ただの自己満足に過ぎないのではないか、自問自答の繰り返しです。管理部門の永遠の課題の一つですね。

 

設定の確認は、申告が開始される直前まで続きます。「やっぱり、こうしておけばよかった」と後悔しないようにするつもりです。

 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (岡田 英二)
2020-10-24 21:01:08
年末調整の入力を所属企業で行うと、毎年煩わしさを感じています。
しかし、そのシステム管理している人はもっと大変なんだと改めて思うようになりました。
そもそも、所得税計算が複雑であるのが問題であると考えているのは私だけだろうか。
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Unknown (大井 秀人)
2020-10-25 00:49:50
何社も経験してると、会社によって年末調整のサポートの差があることがよくわかります。完全アウトソースのとこもありますね。良し悪しと感じています。
従業員の負担を減らす視点と、そもそも税制についてきっちり理解していただくという視点が、そもそも相反しますよね。私は、年末調整は会社一任ではなく、それなりに理解しないといけないと思っている派です。ただ岡田さんが書かれているように、税制自体が複雑すぎるのがそもそもよろしくないですよね。所得の定義すら一般人にはわかりにくいですから・・・・。
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Unknown (川村匡弥)
2020-10-25 15:43:55
事業やプロジェクトを遂行するにあたり、リスク評価を行うことがあります。それは、リスクの発生頻度と影響度を1,2,3のように3段階程度定義して、「発生頻度」×「影響度」で算出されたスコアをもって対応要否や対応方針を決めるものです。

今回の記事、それが応用できそうだなぁと感じました。
こうした判断の根拠が明確になっていると、後悔ではなく反省ができるので良いですよね。
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Unknown (加納久稔)
2020-10-25 19:33:43
岡田さん、大井さん、川村さん
いつもコメントありがとうございます。

日本の年末調整は企業にお任せ状態ですが、アメリカでは確定申告のようなものが当たり前だそうです。確かに所得税制は複雑ですが、納税者に優しい仕組みにすることは、まだまだできると思います。

リスク評価のためのリスク評価をしたことはありますが、その手法を他に活かすことは考えていませんでした(費用対効果は意識していましたが)。早速取り入れてみます。
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