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まちゼミ

2016-03-14 08:00:00 | OB生の近況報告・活動報告

 皆さんこんにちは。14期生の 木村洋一 です。ご無沙汰しております。また、しばしおつき合いいただければ幸いです。

 

 最近、商店街活性化のひとつとして 「まちゼミ」 がずいぶんと流行っていますね。

私も昨年、都内のある商店街が第1回目を実施することになり、サポート役としてお手伝いをさせていただきました。

 最初 「まちゼミ」 は単に店主の方が店頭スペースで、ミニ講義をするだけの 「イベント」 程度にしか思っていませんでした。

ところが 「まちゼミ」 創始者で、ご自身も商店街で化粧品店を経営する 松井洋一郎先生 の勉強会に参加し、

 「目からウロコ・・・・」 状態でした。

 「まちゼミ」 の実施に当たっては様々な決まり事がありますが、それらをきちんと守っていくと、おのずと店主自身が

経営戦略を考え、ターゲットを絞り込み、固定客を増やそうという作業をしているのと同じになると気付いたのです。 

まさに経営革新です。「まちゼミ」 恐るべし。奥が深いですね。

 

 一例をあげると、 「必ず、店頭に立っている店主が講師になってください。そして講義の中で、自店で扱っている商品の

宣伝を絶対にしないでください。」 という条件があります。

 ところが、講義などをしたことが無い店主の方は、稀に仕入先の営業担当者などに依頼してしまうケースがあるようです。

確かに、メーカーなどの営業担当者であれば商品知識があり、話しも上手です。メーカーの人間に接することが無い受講生側にとっても

いいような気がします。また、メーカーですから、当然、自社商品の宣伝はします。しかし、これは最もやってはいけないことのひとつです。

 

 松井先生は店主の方に、厳しいようですがはっきりと言いきります。

 「そもそも商店街のお店は、物販店であれ飲食店であれ、チェーン展開する大手に、 価格、 品揃え、 ブランド などで

勝てるはずがないでしょう。」 と、

 続けて 「唯一勝てるとすれば、お店に一番長くいる店主ご自身の人柄とノウハウではないですか?

店主ご自身は世の中に一人しかいませんから、チェーン店がまねしようと思ってもまねできません。

そう考えると、売り込むのは物やサービスではなく、店主ご自身であり、 『ファン』 になってもらうのが一番いいでしょう。

講義の中で商品を宣伝したら、 『ファン』 をつくるどころか、受講生は 『何だ、買わされるのか』 と思ってしまい、

2度と来店してくれなくなります。」 と言っています。

 つまり 「まちゼミ」 とは 「店主のファンづくり」 で、商品やサービスの宣伝ではないということです。

さらに、店主ご自身が持っている強みやノウハウを再認識し、それを講義することで、受講生に 「この店主はすごい!」 と

思ってもらえば一番良いということになります。

 診断士的に整理してみると、 「小売業やサービス業の差別化戦略・マーケティング戦略を再認識し、

まちゼミという来店機会を通して、店主へのロイヤルティを構築、新規顧客を固定客にする手法」 ということができます。

 

 先日、診断士同志で、 「まちゼミの店主に対し、講義内容をどこまで踏み込んで助言するか?」 という議論になりました。

我々診断士は、環境分析をして、ある程度の方向性を出すことはできますが、それを安易に伝えることは店主のためにならない

という結論になりました。他人に奨められた内容で講義をしても 「自分の言葉にならない」 ということです。

自分の 『ファン』 を作るのですから当然と言えば当然ですね。

 

 私もこれまで何件か商店街のお手伝いをさせていただきましたが、商店街の活性化の根本は、

個々の店主の 「危機感」 と 「自己変革」 ではないでしょか?

活性化を進めるのは、商店街組合の幹部の方でも、行政でも、ましてや診断士でもありません。

店主の方々が 「このまま今までと同じことを続けていたのでは本当にまずいぞ!何か変えなければ!」 と

真剣に思うことが全てのスタートだと考えます。

 「まちゼミ」 はこの 「危機感」 と 「自己変革」 を醸成する絶好の機会ではないでしょうか。

そして、その気づきを示唆できるのが中小企業診断士であると私は考えます。

 

 本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
戦略的ですね (田本)
2016-03-17 09:49:24
待ちゼミの狙いをしらなくてもルールを守れば、商店街ならではの強みを活かすことができるんですね。素晴らしい!商店街は、地域の文化を伝える大事な役割があると思います。こういった取り組みでどんどん元気になってほしいと思います。もし、何か人手が必要なときはおっしゃって下さい。
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補助金漬けのおベントの脱却を (木村)
2016-03-18 07:51:23
田本さん、コメントありがとうございます。
商店街から診断士に求められるのは、「補助金を取ってきて集客できるイベントを」
と言うものばかりです。
イベントはいわばカンフル剤、ましてや補助金ありきでは、打ち過ぎで麻痺してしまっているのが
現状かと思います。
言葉は悪いですが、清原ならぬイベント中毒ですね。

そうではなく、個店のご主人がご自身で自店の経営を考えるスキームとしては、
まちゼミは、いいきっかけになると思います。
ただまちゼミをやるにしてもそこを理解していないケースもあり、難しいですね。

応援ありがとうございます。その節はお声掛けさせていただきます。
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危機感と自己変革 (鴨志田)
2016-03-18 17:37:25
危機感と自己変革、これは、商店街だけでなく、自治体職員にも通用するなぁ~と思いながら読みました。
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補助金頼みになると・・・ (木村)
2016-03-19 05:17:00
鴨志田先生 コメントありがとうございます。
金子先生からも聞いたのですが、農家も似た様なところがあるようですね。
補助金頼みになると、自分自身でなんとかしていこうとする感覚が
薄れてしまうような気がします。
もちろん全ての方ではないですが・・・・。
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似てますね (鍛造)
2016-03-21 09:52:43
私自身、補助金云々、経験も関わりもないのですが、 補助金の本来の目的と、実態に乖離があるのでしょうか?
みなさんのコメント拝見して、途上国支援と似てるのかなとおもいました。 自立できるようになつてもらう、価値を提供できるようになつてもらうのが、目的ですよね。
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イベント自体が目的化 (木村)
2016-03-22 07:52:25
鍛造さん コメントありがとうございます。

商店街の補助金の多くは、イベント経費の補填になる場合が多いですね。
補助金ありきのイベントなので、補助金が出なければイベントはやらない。
イベントも、イベントの実施自体が目的になってしまい、イベントを通じた日常的な集客に
つながっていない。
商店街側も、事前や事後の検証をしない。(例えば通行量調査など)
にぎわい補助金がなくなったのも、イベントの効果に疑問があったのが理由のひとつ
だと思います。

まちゼミは大変な労力がかかるので、全ての商店街でできるとは思えません。
ただ、店主の方が自分の店のことを考え直すいい機会になるとは思います。

私のご支援している商店街は非常に小さいので、まちゼミが難しい状況です。
今は切り出すわけにいかなので、イベントではなく勉強会をはじめました。
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