東京都中小企業診断士協会中央支部認定!「稼げる ! プロコン育成塾」ブログ

東京都中小企業診断士協会中央支部認定マスターコース「稼げる!プロコン育成塾」のブログ。経営・ビジネスに役立つ情報を発信

不正のトライアングル

2023-10-23 12:00:00 | 23期生のブログリレー

皆様、こんにちは。23期 柴田 純一です。

今回は、現在の私の仕事であるリスクマネジメントに関連して、「不正のトライアングル理論」のお話をしたいと思います。

 

世間では時折、従業員の横領、着服行為の報道を耳にします。

企業体力の弱い中小企業では1人の従業員の不正行為が企業の存続を左右することもあります。

 

不正のトライアングル理論(Fraud Triangle)とは、人が不正をする仕組みついての研究結果です。

犯罪を研究する米国の学者ドナルド・R・クレッシーの理論を元に、W・スティーブ・アルブレヒトがモデル化したもので、不正は次の3要素が全て揃ったときに発生すると述べています。

1. 動機

例:多額の借金、ノルマ等のプレッシャー等

2. 機会

例:見つかる可能性が少ない、チェックが形骸化している等

3. 正当化

例:給料が低い会社が悪い、みんなやっている等

 

一般的に、「動機」は個人的な問題であり、企業努力でコントロールすることは難しいとされています。

そこで、「機会」と「正当化」を除去することが不正防止の有効策であると言われています。

「機会」を奪う最良の方法は職務分離です。業務を属人化せず、相互にチェックし、牽制しあうことが最善策ですが、人的リソースが限られる中小企業では「言うは易く行うは難し」の場合もあると思います。

「正当化」の中で、社員の給与の不満の解消する打ち手の一つは、公平性、納得性の高い給与体系や賃金の引上げですが、これも同じく簡単ではないでしょう。

一方で、「みんながやっている」は経営者の心がけでも変えることができます。

経営者自らが公私混同をせず、高い倫理観を持った行動を率先して行うことが、健全な組織風土を生み出す予防策になります。

また、社内コミュニケーションを活性化することも有効です。

社内の風通しを良くし、組織の自浄作用を高めることで、不正行為を発生し難くする効果が期待できます。

 

不正のトライアングル理論では、3つの要素が全て揃うと不正が起こるとしています。

逆に言えば、3つのうちどれかを防げば不正は起き難くなります。

企業努力で「機会」を減らしつつ、社員が「正当化」に至らないための職場環境作りを心掛ける「合わせ技一本」を狙うことが、中小企業では現実的な打ち手になると考えます。

コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 初の劇団四季ミュージカル鑑賞 | トップ | 声の力2023 その3 »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (須藤佳代)
2023-10-23 14:26:53
3つのうちどれか1つでも防げれば、と思えば何か策を練りたくなりますね。覚えておきます!!
返信する
Unknown (杵渕竜也)
2023-10-23 20:09:10
中小企業勤めなのでよくわかりますが、人員の少なさからくる「属人化」「一人でチェックする側の業務とされる側の業務をやらねばならない」「そもそもチェックをする人やそれをチェックする人が少ない」などの問題があります。
悪いことはしないだろう・おきないだろうという安易な気持ちもあるので、なかなか人的チェックをしようという方向にならず、システム化してそもそもできない、事後で履歴が追えるという方法を選択しがちです。
返信する
Unknown (永岡伸一)
2023-10-23 20:09:42
いやなトライアングルだなぁと感じました。会社の決済権限や事務のルールは、悪い機会を事前に潰すために仕組化したものだと納得できますね。
返信する

コメントを投稿

23期生のブログリレー」カテゴリの最新記事