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少子高齢化と『Life Shift』

2024-07-09 12:00:00 | 24期のブログリレー

皆さまこんにちは。「稼げる!プロコン育成塾」24期生の佐藤真武と申します。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

東京都知事選が終わりました。滑稽な混乱もあった今回の都知事選ですが、直前に東京都の合計特殊出生率が0.99という人口動態統計の発表があったこともあり、主要候補者の訴える政策は少子化や子育てに明確な軸足を置いていた印象があります。

東京都は今年度から高校授業料完全無償化を実施していますが、私がとても興味があったのは、この高校授業料完全無償化にあわせて私立の中学校も無償化になったことでした。

私は名古屋出身で大学までは私立の学校にお世話になったことはありませんが、子供がまだ幼いころに横浜に転勤してきて私学進学熱の高さに大変驚きました。私学は中高一貫校も多いため、小学4年生から受験準備を始める家庭も多いです。

「これはけっこう大変なことになりそう」と思っていたら、案の定神奈川県、埼玉県、千葉県から強烈なクレームが入りました。そりゃそうです。多くの学生が東京と隣県をまたいで通学しているのに、東京に住まいのある生徒だけが無償化、学校内に有償と無償の生徒が混在するという、間違いなく変な事が起こるのです。幸い国が積極的に関与することになったようなので、よりよい公平な教育行政が行われるようになればいいなと思いますが、教育や保育、または介護といったジオグラフィックな要素の薄い政策にはコレクティヴインパクトの精神で臨んでほしいなと思います。

 

さて、少子高齢化というワードがありますが、今回の選挙で「高齢化」は完全に「少子」という言葉にかき消された感じです。東京都の80代以上の人口は約132万人、それに対してすべての介護施設の受入れ人数が約8.96万人と、東京都は日本一介護施設に入居しづらい自治体です。「若い人は東京へ、高齢になったら地方へどうぞ」なんて言われる日が来るかもしれません。

「高齢化」とは、「人口動態的に全人口に占める65歳以上の人口の割合が増えること」を意味します。普段目にする「高齢化」は少子化や社会保障とセットで語られて憂鬱なムードがまとわりつきネガティブなイメージが定着して、なんとなく世代間がぎくしゃくするようで残念な気もします。そして統計上65歳からが「高齢」なんだと知ると、その年齢に近づきつつある私は歯医者の順番を待つような、嫌な緊張感を覚えたりします。

 

2016年、同僚から薦められて『Life Shift』を読みました。当時の私は一刻も早くリタイアし南の島で魚釣りだ!的思考に囚われ、これからどうしようと真剣に考えるわけでもなく中途半端に日々の仕事に逃避していました。

『Life Shift』には一貫して「長寿化」と書かれています。「高齢化」とは書かれていません。長寿化とは赤ちゃんから今の私の年齢のような者まであらゆる人に当てはまります。長寿化という言葉は世代関係なくすべての人にとっての自分事です。

 

日本では、1960年に亡くなった人の平均年齢が男性65.32歳、女性70.19歳でした。当時老齢年金をもらった後の人生はたったの10年でした。だから55歳で年金をもらう必要があったのです。ところがその後、平均年齢は確実に上がっていきます。医療も食事も意識も行動も、何もかも変わったからです。

今おじいいちゃんに見える人、実はその人はひいおじいちゃんです。現代のおじいちゃんは毎朝6時に起きて電車に揺られて仕事に行っています。そして夜遅くにお酒を飲んで帰ってきます。日本に限って言えば、2007年生まれの子供の50%は107歳まで生きると予想されているのです。

そんな現実を見ようとせず年金受給年齢が引き上げられることにがっかりしないでください。もし65歳になってようやく年金がもらえたと思っても、その後の人生が35年あるのです。いったいあなたはどうしますか?

喜ぶべきです。あなたはもっとやることもできるしやり直すこともできる。大学で学ぶこともできれば事業を興すことだってできる。大切なことは長寿化の事実を受入れいかに準備するかなのです。あなたがすべきこと、それは意識を変えること、それだけです。そうすれば幸せな人生はこれからも続くのです。

 

私なりに要約すれば、そのようなことが書かれています。もちろん正しくアカデミックで、加えて読みやすく訳されていますので、まだ読んでなくて興味があればぜひ読んでみてください。書かれているのは「長寿化」で「高齢化」ではありません。

 

読了して、私の頭の中はすっかり切り替わりました。あと35年もあるんだ!!やり残したことをやり直し、チャレンジしなかった後悔に備えることができる。ひょっとしたら黒歴史さえ塗り直せるかもしれないという都合のいい期待もしつつしばらく行きつ戻りつし、やがて中小企業診断士になるべく静かにその準備を始めました。

その後約3年、2680時間を費やして資格を取得、独学の要領の悪さで出口の見える確かな感じはありませんでしたが、意外と諦めることもなく、残り35年LIFEの緒につくことができたように感じています。

 

「高齢化」という薄暗い感じの言葉は、社会全体で多用しないほうがいいかもしれません。「長寿化」という誰にも明るく前向きな言葉が溢れたら、みんな自分事としてその準備を楽しみ、社会保障や少子化にもいい事があるように思います。物事の捉え方は人それぞれですが、「長寿化」は恩恵!今に生きることができてよかった!と思ったほうが何事もうまくいく気がしませんか?

 

35歳といったら、サラリーマンだったら課長か係長くらいでしょうか?上司に追い込まれるかもしれませんが、相談してくれる部下もいます。何より仕事が楽しい!

私はまだ、これから、そんなサラリーマンと同じくらいの時間を過ごすことができるのです。終わりのないキャリアである、中小企業診断士として。

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