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本のご紹介

2021-06-16 12:00:00 | 20期生のブログリレー

20期生のヨシです。今回はマーケティングの本を紹介します。

コロナによって世の中ずいぶん変わった、と感じるのは私だけではないと思います。外でお酒も飲めず、家に閉じこもることが多くなりました。コロナによる変化を機に、これからのマーケティングはどのように変わっていくのだろうと思い、その変化をテーマにした本を読みたくて、捜したところ、見つけたのが「アフターコロナのマーケティング戦略」(足立光氏、西口一希氏 共著:ダイヤモンド社)です。

コロナによる変わったことを知りたかったのですが、同著は「今回のコロナ禍により、何かが「変わった」ように見えるのは、実は今まで起っていた傾向が、加速しただけ」としています。その例として、国土交通省が5年ごとに発表している「都市における人の動きとその変化」によると、1987年の平日の外出率は86.3%でしたが、2015年には80%と減少しており、1日の移動回数も1987年の2.63回から2015年には2.17回まで減っており、長期的なトレンドとして日本人の外出機会が減っていたことが、コロナで加速しただけであるとの説明には、納得させられました。そして同著では、コロナ禍に関係なく顧客の変化は続いており、その変化に常に対応し続けることの重要性を説いていることに、“気づき”を得た気がしております。

更に「有事のスピード感は、平時の備えから生じる」ともしており、具体的な例として、スターバックスが北米で最大400店舗を閉鎖し、モバイルで予約し持ち帰る形態(ピックアップ型)を採用することを発表したことをあげております。実はスターバックは数年前からこのピックアップ型のビジネスモデルをテストしており、場当たり的に始めるわけではないこと、そして有事でこのスピード感のある経営判断ができるのは、平時に有事のシナリオ・プランニングやクライシス・マネジメントができていたからこそ、という説明があり、この点は非常に重要だと考えさせられました。

著者の二人は、時代は違うものの、P&G勤務を振り出しに、足立氏はワールドやファミリーマート、マクドナルド、また西口氏はスマートニュースやロート製薬などのマーケティングを担当され、アフターコロナのみならず、第一に立ってこられたからこそ語れる40もの論点を紹介されております。例えば「デジタル時代にマスマーケティングは不要だ」、「ロイヤル顧客の要望に応えることがいいマーケティングだ」、「SNSでバズれば、売り上げが伸びる」などと言った、マーケティングに携わる者なら誰しも興味を持つ論点に、一つ一つ丁寧に回答を記されており、大変勉強になる内容となっております。

最後に著者二人の対談も記されております。その中で、現在使用されている「差別化」という用語はコトラーが使った「differentiation」の翻訳が使われているらしいものの、単語の本来の意味は“分化”であるとし、日本語として「差別化」を用いたことで「差別化」と聞くと他社との比較を発想し、他社をベンチマークとしてまねるする人がでてしまうことを指摘しておられます。そして、これではイノベーションが起きないため「differentiation」の翻訳として「独自化」を提唱されている点も面白く読めました。

皆さまに、是非一読をおすすめいたします。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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