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床屋さんについての一考察

2018-10-06 12:00:00 | 18期生のブログリレー
 稼プロ!18期生の小野澤です。 今日は床屋さんのお話です。私は家から歩いて10分ほどのところにある床屋さんにもう30年近く通っています。だいたい月に1回くらいの頻度で床屋さんに行きますが、長く通っていると床屋の主とも親しくなり、毎回いろいろな話で盛り上がります。たわいのない話ばかりですが、床屋さんは地域のいろいろな人が利用するため、地域の様々な情報が集まるので、私のように普段東京の方に仕事に出ている者にとっては数少ない地元情報の情報源です。『すぐそこの角に何か大きな建物が建設中だけど、何ができるんですかね?』『老人ホームらいしいよ』『へ~』とか、『桐谷美鈴はそこの中学校の卒業生らいしよ』『へ~』ってな具合です。
 そんな私の行きつけの床屋さんですが、最近以前に比べてお客さんの数がかなり減っているような気がします。以前は週末と言うと予め予約しておかないと、予約客でいっぱいでしたが、近ごろは別に予約しなくても行く前に一本電話をいれておけば、だいたいいつでもOKと言った感じになっています。
 少し気になったので調べて見たところ、経産省の統計によると平成28年度時点で全国の理容室の件数は122,539軒で、平成23年度に比べ、5年間で約6%減少しています。美容室が増えているのに対し、理容室は長期的に減少傾向にあるようです。その背景には、男性でも理容室の代わりに美容室を利用する人が増えているなど、ライフスタイルの変化やQB Houseなどのカットオンリーの格安理容室の台頭などの経営環境の変化があるようです。
 ここで女性の読者の方のために簡単に床屋さんのサービス内容を補足しておきますと、総合散髪と呼ばれる日本の一般的なサービスでは、まずカットから始まり、洗髪があり、髭剃り、整髪、時にマッサージ、耳掃除等があり、これでだいたい1時間から1時間半ほどかかります。私の場合、サービス代金としてこれに3,600円支払っています。
 日本の床屋業界には長い間カルテルがあって、お互い暗黙のルールで『競争をしない。価格もカルテルでだいたい日本全国統一価格』なんて言う時代が長く続いていました。今から40年以上前に大前研一氏がその著書『企業参謀』の中で床屋業界の問題点を指摘しています。曰く『調髪時間の70%は自分でもできる髭剃りや自宅に戻って一風呂浴びれば消えてします整髪などに使われる。 これは実に(当時の)調髪料金1,400円のうち980円に相当する。 自分はこの980円を自宅の風呂場から排水溝に流し去ることに大いなる無念の涙を飲む。理髪業は日本のギルド(職業組合)の中でも最も統制が取れている業界であるが、逆にこのような人為的価格統制のあるところにはまたとない市場ポテンシャルが発生する。ここにギルド不加盟のアメリカ式のカットオンリーの床屋が参入して、1,400円の40%の600円でサービスを提供すれば、このようなサービスを求める顧客が普通の床屋の2.5倍は見込めるから大成功する』と予言しています。実際その後20年以上経過して、格安理容室チェーンのQB Houseなどが創業し、大前氏の言う通りになったのはご存知の通りです。
 結局、カルテルを組んで、競争を排除し、安定を求めたまでは良かったが規制緩和が進み、経営環境が変化して、今そのしっぺ返しを受けていると言うことなのかもしれません。
 しかし、私の場合、昔から床屋さんを変えるのが苦手で同じ床屋に行き続ける習性があるのと、価格も特殊技能を持つ人の時間を1時間占有するのに、3,600円は致し方かないかと考えるほうだし、地域の情報源として有効活用させてもらっているのでまあこのままで良いかと感じています。逆に行きつけの店がつぶれてしまったら、床屋難民になりそうで大変困ります。なので、床屋さんには固定客を大切にして、今まで通り技術やサービスを磨いてこれからも頑張ってほしいと思うもですが、皆さんはどう思われますか?
コメント (4)
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