15期生の星野です。
先週日曜日、日本ダービーがありました。いいレースでした。
競馬の世界は、ダービーが1年の区切りとされており、レースが終わった夕方は何とも言えない感慨にふけります。
そんな経緯もあり(どんな経緯だ!)、今日は、JRA(日本中央競馬会)の財務諸表を取り上げました。
JRAは競馬法に基づいて国が全額出資する特殊法人です(資本金49億円)。一般の企業のように財務諸表もあります。平成27年度の財務諸表http://company.jra.jp/0000/keiei_pdf/03/zaimu27.pdf
損益計算書をみてみましょう。
売上(事業収益)は、2兆6029億円です。
営業利益(事業利益)は、463億円です。
売上の98.2%は経費(事業費用)に当てられます。経費のうち、売上の75%が払戻金、10%が国庫納付金(2583億円)です。
経常利益は520億円です。
当期純利益は484億円でした。
この純利益の全額が繰越利益剰余金に振り替えられて、翌期にその半額(平成28年度は242億円)が国庫に納付されます。残り半分は、特別復興資金勘定へ繰り入れられて、畜産振興などに使われます。
こうしてみると、JRAの予算作成にあたっては、売上予測がとても重要になります。
払戻金と国庫納付金は、売上比率で決まっています。レースの賞金は、年度が始まる前に決定されています。また、年度中に削減できる経費はそんなに多くはないでしょう。
そうすると、売上予測を数%外すと一気に営業赤字に転落してしまいます。
ギャンブルは景気動向に大きく左右されるので、1年間の売上予測の確度を上げるのは大変でしょう。
ちなみに、平成27年度は、予算額に対する実績額は1632億円のプラスでした。
JRAの売上は、ここ3年間はやや回復傾向にありますが、最盛期(平成9年)4兆160億円からは半減しています。売上減少に伴い国庫納付金も減りますから、売上を回復させようとするのも一理あります。
でも、私は今ぐらいの規模がちょうどいいと思うのです。これからの人口減少を踏まえれば、もう少し規模縮小でもいいくらいです。
売上を伸ばすのに効果的な施策は、高額配当の馬券の開発です。
10年前に「3連単」馬券が発売されると、今や全体の30%を占めるに至っています。10万円越えの配当も珍しくなく、最高は2983万円です。
あまり度が過ぎると、ギャンブルを原因とする借金、ノミ行為、反社会的勢力の介入といった社会問題へと発展するおそれがあります。
娯楽というのは、普通の人がお小遣いの範囲で1年を通じて楽しめる規模がいいのです。