ウィーンで学ぶ

---ウィーン医科大学心臓胸部外科
留学日記とその後...---

Wet labo (ブタの心臓で弁膜症手術と心臓内部構造の理解)

2014年07月09日 | 病院
留学から帰国して6年目、大学病院を離れて4年目
ウィーンにいた頃は日課になっていたこのブログも、いまやカブトムシの時期か、カード請求書を吟味した時くらいでしか、存在していることを忘れてしまっているこの頃です。
久しぶりに更新しようと思い真面目なテーマをスマホに溜まっている写真から探してみました。

これは当院の手術室関連のスタッフ(医師、看護師)向けに企画したwet labo(ウエットラボ)です。
医療教育目的に市販されているブタの凍結心臓を用いて、弁膜症の手術手技を実演しています。



実際の手術中では、手際よく終わらせるようにするので、手術の細部を看護師さんなどに説明する余裕はありません。事実、心臓内部の3次元的立体構造をゆっくり観察することは外科医であっても出来ません。

今回は、典型的な開心術である大動脈弁置換術(AVR)と僧帽弁形成術(MVP)を看護師さんと一緒に卓上で施行しました。一部は看護師さんに運針、縫合、結紮してもらい、手術手技を体験して頂きます。

下の写真は施行後に弁輪部が観察しやすいよう、看護師さん達によって周囲の組織が大胆に切除されています。
こうすると心臓の内部構造が理解しやすくなります。膜で裏打ちされた弁輪部の構造などは教科書の図面から理解するより、実際の心臓を見て学んだ方が容易に理解できますね。


中央の鑷子(ピンセット)は僧帽弁前尖(A1)を指示してします。僧帽弁後尖の弁輪部にはリングといわれる弁輪矯正器具が縫着されています。

大動脈弁は生体弁(商品名:モザイク)で置換されています。その上(12時の方向)には冠状動脈の入口部が見えます。

有り難いことに、この日は3人の心臓外科医を取り巻くように40名ほどの勉強熱心な職員が遅くまで参加してくれました。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 初日の出 | トップ | ベランダのカブトムシ --7... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

病院」カテゴリの最新記事