特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

三つ子のパラドックス

2022-06-18 02:55:48 | 日記

さて基準慣性系にO君がいます。

そのO君に対してアリスはV1=0.8Cで離れていきます。

それと同時にボブがV=0.9Cで同じ方向に離れていきます。

この時相対論電卓によればO君はアリスの時計が0.6掛けでO君の時計より遅れているのを確認します。

同様にしてO君はボブの時計が0.4346掛けでO君の時計より遅れているのを確認します。(V=270000km/sで相対論電卓で概算しています。)



さてここでアリスからボブをみた時の相対速度V2を求める式 V2=(V-V1)/(1ーV1*V/C^2)の出番です。

このV2の値も相対論電卓で求めますとV2=107,525.8km/s と概算できます。

物体Aの速度 v1 240000 km/s
物体Bの速度 v2 107525.8 km/s を入れてポチります。

https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228695

答えは 加算した速度 v 269,999.9964・・・km/s=0.9C



さてそうなるとアリスがボブの時計を見た時には相対論電卓にこのV2を代入して計算しますと0.93347掛けで遅れている事になっています。

相対速度 v 107525.81660 km/s を代入しポチります。

https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228696

答えは 0.9334653・・・ を得ます。



しかしながらO君によればボブの時計はアリスの時計に対して0.4346÷0.6=0.72433・・・・掛けで遅れているのでした。



さてこれが双子のパラドックスに続く、特殊相対論の中にある明らかな論理矛盾、「三つ子のパラドックス」となります。



追記:
V1,V2,Vの関係については「おにノート」: https://archive.fo/jydqn :の「問題設定」のイラストおよび「結論」を参照願います。

追記の2
上記の問題はパラドックスというよりは「理論に内部整合性がない問題」と言った方が正確なのかもしれません。

そうして不思議な事には「今まで誰もこの問題を指摘した様には見えない」という事です。
まぁもっともそのような見方は「業界内情報に疎い当方の認識にすぎない」のではありますが、、、。



追伸
「三つ子のパラドックス」みたいなことを考えているのは当方ぐらいなものだろう、と高をくくっていましたが、そんな事はありませんでした。


特殊相対性理論と電磁気学との不一致における三重項パラドックス

『特殊相対性理論(SRT)は、古典電磁気学と互換性があると考えられています。
ただし、SRT自体に固有の論理的に推定される不一致がいくつかあります。
これらは「パラドックス」と呼ばれ、綿密な調査が必要です。

「双子のパラドックス」は最もよく知られています。
この論文では、3人の異なるオブザーバー(トリプレット)を含む新しい思考実験が提示されます。

悪名高い「双子のパラドックス」とは対照的に、2人が固定されている基本的な基準系と対称的な方法で反対方向に移動している場合を提案します。
この考察は、すべての科学的見解の不可欠な要素として因果関係を制御する時間の物理学の基本的な概念につながります。

これはSRTの極めて重要な信条であり、違反の対象となる「同時性の相対性」です。
その場合、ローレンツ変換の合法的な実装の能力が疑わしくなります。

さらに、電磁気学におけるSRTの一貫した実装は、一般相対性理論の領域における等価原理の崩壊につながります。・・・』


https://article-sciencepublishinggroup-com.translate.goog/html/10.11648.j.ajmp.s.2015040201.15.html?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=nui,sc#paper-content-8


世の中は本当に広いのです。

 

PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.fo/QytXy

 

 


その2・ 完全非弾性衝突

2022-06-16 01:10:36 | 日記

特殊相対論のシンプルなまとめなら

特殊相対論の要点―相対論的力学を中心として― :http://www.mns.kyutech.ac.jp/~okamoto/education/physicsIIB/relativisticsummary031112a.pdf :か。(注1)

それで今、注目すべきは(8)式である。

E^2=P^2*C^2+M^2*C^4

=(P*C)^2+(M*C^2)^2

これが粘土玉の全エネルギーEを示す式である、と思ってよい。



それで静止系で見た2つの粘土玉のうちの1つの粘土玉にこれを当てはめると

E^2=(C*V/sqrt(1-V^2))^2+(1*1^2)^2

=(V/sqrt(1-V^2))^2+1 ・・・①式

となる。

ちなみにC=1、M=1(kg)という単位系である。



この粘土玉が真ん中でぶつかって合体しV=0となる。

従って粘土玉一つ当たりでは

E^2=(0/sqrt(1-0^2))^2+1=0+1

=1<(V/sqrt(1-V^2))^2+1

となってしまい、このままではエネルギー保存則が成り立たなくなる。

従ってここでも質量Xを増加分として加えなくてはいけない。



それで衝突後の粘土玉一つ当たりの全エネルギーを

E^2=(1+X)^2 ・・・②式

とするのである。(合体してひとかたまりになっているが、その半分を考える。)

そうなるとエネルギー保存則は ①式=②式 となり

(V/sqrt(1-V^2))^2+1=(1+X)^2

となる。

これをXについて解くためにウルフラム : https://ja.wolframalpha.com/ :に上記式を入れる。

そうするとXの解として

X=1/sqrt(1-V^2)-1

を得るのである。



合体後の粘土玉は勿論、この2倍の質量が増加しているので、増加分は

2*X=2/sqrt(1-V^2)-2

となり、まえのページで行った「運動量保存則から導いた結論と同じ結論に至る」のであります。



ふむ、こうして「相対論は良くできている」という事が分かるのでした。(注2)



注1:もう少し丁寧に、というならば

第2章 光子とニュートン力学 :http://www.sp.u-tokai.ac.jp/~yasue/ffn/soutairon-2.pdf :なところか。

注2:「双子のパラドックス(加速度運動なし)」及び「三つ子のパラドックスを除いて」という事ではありますが、、、。


追伸
ニュートン力学では粘土玉の全エネルギーは運動エネルギーと位置エネルギーの和で書かれる。

しかしこの書き方では合体後の粘土玉の全エネルギーを表す式からは運動エネルギーの項目が消えてしまい、「衝突の前後でエネルギー保存則が式の上では成立しなくなる。」(注3)


しかしながら相対論においては「静止質量の増加」を認める為、「式の上においてもエネルギー保存則が成立する」のである。

ちなみに粘土玉のこの質量増加分を実際に測定する、と言ことは「ダークマターの直接検出と同程度に」「至難のワザであろう」と思われる。


注3:非弾性衝突 :  https://archive.fo/54Saa :参照のこと


PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.fo/UiKkU



完全非弾性衝突

2022-06-14 06:33:42 | 日記
左からアリスが投げた粘土の球が速度Vで、右からボブが投げた粘土の球が速度ーVでやってきて真ん中でぶつかる。

反発係数がゼロだからぶつかって一つの球になる。(このあたり、ブラックホールの衝突と同じ。)

球の重さは1kgとしときましょう。

いずれにせよぶつかって粘土の球は変形して、その際に熱を持って一つになり(このあたり、地球に落下する隕石の様)そこで静止する。

まあ実際は空中でぶつかって静止して下に落ちる事になるか。



この現象をボブが投げた球と同じ速度で移動する慣性系から見ると、ボブの球は止まって見える。

他方でアリスの球は2Vでこちらに向かってくる様に見える。

従ってその球の運動量は1*2V=2Vである。



衝突後は2つの球は一つになるので質量は2。

それで衝突し静止している合体した球を速度ーVの慣性系から見ているから、球の速度はVに見える。

こうして運動量は2*V=2Vとなり、慣性系を変えても衝突前後での運動量は保存されている事がわかる。



それでアリスの球が2Vと言うのはニュートン力学の立場であって、相対論は例によって向かってくる速度V1については

V1=(V+V)/(1+V^2/C^2)

みたいな事をいう。

ところで速度については光速Cを単位にするので上の式からはCが消えて

V1=2V /(1+V^2)

となる。(当然0=<V,V1=<1とする。)



それに加えて相対論では「動くと重くなる=質量が増える(様に見える)」という。

その割合は1/sqrt(1-V1^2)である。

そうなると向かってくるアリスの球の運動量は

1/sqrt(1-V1^2)*V1

=1/sqrt(1-V1^2)*2V /(1+V^2)

=2V /(1+V^2)/sqrt(1-(2V /(1+V^2))^2)・・・①式

となる。



それで衝突後は合体した球は止まるので、そして速度ーVの慣性系からそれを見ているから、球の速度はVに見える。

速度Vでうごく質量2の球は2/sqrt(1-V^2)と質量がふえる。

そうなるとその球の運動量は、

2/sqrt(1-V^2)*V ・・・②式

となる。



衝突前後で運動量は保存していなくてはいけないので①式と②式はイコールになる必要がある。

②式=①式 としてウルフラム : https://ja.wolframalpha.com/ に入れて整理する。

②式=2V/sqrt(1-V^2)

①式=2V/ABS(1-V^2)

を得る。

0=< V < 1の範囲では

sqrt(1-V^2)> ABS(1-V^2) であり、従って

 ②式 < ①式 となり

「運動量は保存していない」となってしまう。



さて、実際はそんなことはなく相対論であっても「運動量保存則が成立していなくてはいけない」のである。

それではどうやって「このパラドックスを解くか」という事になる。

答えは「衝突した時に発生した熱エネルギーが質量に化けた」となる。



それでニュートン力学の立場で運動エネルギーを考える。

ぶつかる前はそれぞれ2つの球は1/2*1*V^2=Ekというエネルギーを持っていた。

それがぶつかると静止するので運動エネルギーはゼロになる。

ぶつかる前は 2*1/2*1*V^2=2Ek あったものが消えてしまう。

まあ実際はこの分のエネルギーで粘土の球は変形し発熱するのである。



さてその熱エネルギーが化けた質量をXとする。

そうすると衝突後の運動量は

2V/sqrt(1-V^2)+X*V/sqrt(1-V^2)・・・③式

となり

相対論での運動量保存則は

①式=③式

となる。

整理すると、

①式=2V/ABS(1-V^2)

③式=(2+X)V/sqrt(1-V^2)

従って

X=2/sqrt(1-V^2)-2 ・・・④式

となる。



さてここで衝突前の状況を静止慣性系で見た時の相対論での表記を考える。

そうするとその2つの粘土球の質量は速度Vで動いている事より質量が増加して見えるので

1/sqrt(1-V^2)

と表される事になる。

これが2つあるので

2/sqrt(1-V^2)

もとの質量は2。

従って質量増加分は

2/sqrt(1-V^2)-2 ・・・⑤式

となる。



さて、ほんとうにビックリする結果がここにある。

粘土玉が衝突する前に速度Vで動いている事より質量が増加して見えた分が、衝突する事で静止質量に化けてしまっている!!

そうして相対論は「これでいいのだ」というのである。



ちなみにニュートン力学の立場で考えた、熱に変換された運動エネルギーは

V^2=2Ek

であった。

それで今、C=1であって、そうすると有名な式E=MC^2はE=Mとなる。

従って相対論によれば質量=エネルギーの増加分は

E=X=2/sqrt(1-V^2)-2

であって、なおかつニュートン力学によればその時の運動エネルギーは

E=V^2



この2つの式が速度VがCに比べて十分に低速域にあればイコールになる、という事になる。

実際に以下の文をウルフラム : https://ja.wolframalpha.com/ に入れてグラフをプロットさせてみるとその状況が良く分かる。

2/sqrt(1-V^2)-2ーV^2=0.000000000001  0<V<0.0004 の範囲でプロット



つまり「我々が運動エネルギーだ」と認識していたのは相対論によれば「実は速度が上がる事による質量の増加分であった」という事になるのである。

したがって「エネルギーを入れる事で車の速度を上げる事は、質量が増加するので難しい」のである。(?)



参考資料
相対論講義録2010年度 前野昌弘
http://www.phys.u-ryukyu.ac.jp/~maeno/rel2010/tokushu.pdf
「 8.7 質量とエネルギーが等価なこと」辺り
 
 

その7・ 再び双子のパラドックス

2022-06-12 01:45:19 | 日記

「双子のパラドックス・相対論」では3台の宇宙船を登場させて話を始めました。: ・双子のパラドックス :

その後「タキオン反電話」でボブとアリスが登場し、今ではすっかりこれが普通の呼び名になっています。

「アリスが左から0.8Cでボブが右からー0.8Cで近づく時の相対速度」 : その4・ アリスが左から0.8Cでボブが右からー0.8Cで近づく時の相対速度 :http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26973 :では近づく速度を0.5Cから0.8Cにあげていますが、問題設定の状況は変わりありません。

この時の計算では真ん中にいたO君(基準慣性系)は明示しませんでしたが、その場所にはO君がいました。

そうしてアリスとボブはそのO君に対してそれぞれ相対速度0.8Cとー0.8Cで近づくのでした。

O君とアリス、ボブそれぞれの船の距離は1Cであってそこで時計をリスタートさせます。

1Cの距離を0.8Cではしりますから、1.25秒後には両船ともにO君の位置まで移動します。

1C÷0.8C=1.25秒

アリス号もボブ号もO君の船に対しては相対速度が0.8Cで、これはO君から2つの船を見てもその様に見えます。

それで、基準慣性系に対して静止しているO君座標系では2隻の船がすれ違うまでの時間は1.25秒と記録されます。

それに対してアリス、ボブともに0.8Cの相対速度でO君(基準慣性系)に対して運動している為にローレンツファクターの0.6掛けで、時間が遅れます。

従ってアリス、ボブ両船の時計が

1.25秒*0.6=0.75秒を示した所でアリス、ボブ両船はO君の位置に到達します。

それで従来の基準慣性系を想定しない計算では、アリスとボブがO君の時計を見ると「0.75秒を指している」となり、それに対して自分の時計では「1.25秒である」となるので、パラドックスが発生している様に見えますが、実際の状況ではその様にはならない、と言うのが当方の主張になります。

その様なパラドックスが生じているのは「単に計算上だけ」という事になり、実際の宇宙ではそうはならないのです。



さてそれで、その様な状況の時にアリスはどのように世界を認識しているのか、ということになります。

「自分は動いていない」という立場に立つアリスにとっては「O君はこちらに相対速度0.8Cで向かってくる」と見ます。

そしてアリスタイムで0.75秒後にO君はアリスの位置までくる、と見ます。

それはつまり「当初、O君はアリスから0.8C*0.75秒=0.6Cの所にいた」と認識する訳です。

それでこれはO君の認識「アリスとの距離は1Cである」とは違っていますが、アリスにとっては自分が基準慣性系に対して0.8Cで動いている事によって「空間がローレンツ係数分、短縮した」という事を示しています。



それで次はアリスはボブ号をみます。

その時の相対速度の計算は:http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26973 :で示した通りであり、レーダー画像を使っても、相対論的加法則を使っても0.97560975Cとなるのでした。

これはほとんど光速ではありますが、そこまで到達はしていません。

そうしてまたボブ号がアリスの位置まで来る時間はO君タイムで1.25秒、アリスタイムで0.75秒ですから、当初のボブ号とアリスとの距離は0.97560975C*0.75秒=0.73170731Cとアリスは見ます。



さて時計をリスタートさせた時のO君とボブのアリスから見た距離の値がこれで求まりました。

アリスからO君までの距離   0.6C

アリスからボブ君までの距離  0.732C

アリスからボブ君までの距離はO君測定の2Cという値の0.366倍に圧縮されています。

そうしてこれはアリスとボブが基準慣性系に対してそれぞれ0.8Cとー0.8Cで運動している事による効果である、とみなせます。

ちなみにこの圧縮率は0.8Cで動いた場合のローレンツ係数0.6を二乗した数値0.36に近いのですが一致はしない様です。

加えてアリスとボブの相対速度0.97560975C=292480.5Km/Sから計算されるローレンツ係数0.2195とも一致しません。



こうしてアリスはO君を0.6Cの距離にみて、ボブをそこから少し後ろに見ている事が分かります。

さてこれは奇妙な見方ではありますが相対論は「これでいいのだ」と言うのです。

そうしてO君もボブもアリスタイムで0.75秒後にはアリスの場所にまで同時に到着するのでした。


追伸
以上の事から分かります様に、相対論の主張と言うのは「とにかく光を使って計れ」という事になります。

そうしてまた「基準慣性系を入れた事」でドップラーシフトの計算式から相対論的な速度の加算式が導き出せる感触があります。

それは基準慣性系K0、それに対して速度V1で移動している慣性系K1,それからK0に対して速度Vで移動している慣性系K2を想定し、K1とK2の間に起こるドップラーシフトを計算する事で可能になります。

そのことは1段目のロケットに積まれた通常のドップラーレーダーで2段目のロケットの速度を計測した場合はじかにV2の値が得られる、という事になります。

そうしてまた宇宙空間をこちらに向かって飛行してくる宇宙船の相対速度も通常のドップラーレーダーで計測でき、その値はV2になる、という事になります。

こうして「とってつけたようなV2を求める加算式と見えたもの」が実はリアリティーがあった、ということであり、そうしてまた「光が絶対である世界」と言うのは無矛盾である、という事になりそうでもあります。


また「光速はどのように測定してもCである」と言うのがこの宇宙の実験的な事実であるならば、その事は逆に「基準慣性系が存在し、そこに対して光は光速Cで走っている」という事を証拠立てている様にも見えます。

 

PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.fo/kNFhF

 

 


その6・ 相対速度は光速を超える事が可能か?

2022-06-10 01:41:58 | 日記

その3・ 光速の測定と光速を使った測定
で証明できた事は以下の通りです。

よく知られている以下の式
V=(V1+V2)/(1+V1*V2/C^2) 

そしてそこからV2を求める様に変形した式
V2=(V-V1)/(1-V*V1/C^2)

に出てくるV2という速度は地球から打ち上げられた2段ロケットの1段目に搭載されたレーダーによって2段目のロケットが1段目のロケットからどれだけの速さで離れていくのか、1段目の搭乗者の視点で測定した速度である、という事を証明したのです。

つまり
V2=(V-V1)/(1-V*V1/C^2)
の式がやっている事の実際のプロセスを明らかにした、という事になります。

そうして相対論が「このようにして計算したV2の値はV1視点からみた正当なV2の値である」と主張するならば、同様の手順によってV1視点でのさまざまな速度が計算し確認できる、という事になるのです。

それでこの事は「おーにし」さんのブログ :https://archive.fo/jydqn : にある「問題設定」のイラストにある様に一般化されます。

つまり「基準KO」に対して相対速度V1で運動している慣性系K1から見た時に、k1に対してV2の速度で運動している慣性系K2は基準慣性系K0から見ると速度Vで運動している事になる、と言うものです。

さてこれでようやく当初からの問題設定「左からアリスが0.8Cで、右からボブが0.8Cで真ん中の基準慣性系めざして進んでくる時に、アリスから見たボブの相対速度はどれぐらいになるのか?」の別計算が出来る事になります。

ちなみにこの場合での相対論電卓によれば結果は以下の様になります。

V2=-292,524.8 km/s =-0.9708267C

それでV1に0.8C、Vにー0.8Cを設定して
その3・ 光速の測定と光速を使った測定
に示した手順に従って計算しますと数値誤差範囲内で一致した値 0.97560975C をえます。(マイナス符号は無視して下さい。)注1

この結果から分かる事は「慣性系K1から慣性系K2に向かってレーダー波を出してそのレーダー画像が教えるK1からK2までの距離と相対速度というものは、相対論が認めているK1から見たK2の相対速度というものにいつも一致する」という事です。

それはつまり「K1は常に自分は動いていないとしてK2のレーダー画像を認識する」のだが、その事を相対論は「よし」としている、そういう世界認識の方法が相対論である、と言えます。

そうしてこの場合、K0に指定された慣性系に対しては光は常に光速Cで走り、そうであれば実質的にはK0には基準慣性系を選ぶのがふさわしい、という事になります。


さて、そのようにして設定された世界においてはボブとアリスがお互いに基準慣性系に対して0.8Cで接近しつつあっても、その両者がお互いを観察した場合はガリレイ変換で得られる数値1.6Cという値は得ることが出来ず0.97560975C 程度の値、つまり「常に光速Cを下回る数値しか得られない」という事になります。(注2)


ちなみにそうやって得られたV2の値と言うものは通常の我々が認識している速度とはちがうものになる、という事はその2・ 光速の測定と光速を使った測定で示した通りです。

そこで示した様に「我々は通常はロッドの押し出し速度をもって相対速度と認識します。」
そうしてそれが我々の住んでいる日常世界の感覚です。

しかしその場合でも相対論は「いいやレーダー画像を使うのだ」と言うのです。

そうしてこの事が「相対論の世界観」と「ガリレイ変換の世界観の違いを生み出している」と言えます。

くわえて残念な事に(?)今のところは宇宙は相対論的な世界の見方を支持している様に見えるのです。

ちょっと語弊がありますか、この表現は。

すくなくとも当方には相対論が言うV2の値を計算しても、実用上は使い道がないように思えるのですが、、、。

このV2の値は基準慣性系で測定した値ではないからですね。

具体的にはV2はV1に対して静止している時はゼロで(C-V1)の値になった時がV1から見た時に最大値Cになる様に変換された値である、と言えます。

従ってV1にV2の最大値であるCを足しこんだら実質上はV1+(C-V1)としている事と同じであって、その結果はCになるのは当然の事なのであります。

あるいは「そのように作られた値がV2である」と言えます。

そうであれば「どのようなV2の値をV1に加えてもその結果は光速Vを超えない」と言うのは、その様に作られた結果の話であって、その結果を持って「光速Cが宇宙の最高速度である」とは言えないのです。

V=(V1+V2)/(1+V1*V2/C^2)の式が成立する事を持って「光速は越えられない」とするのは「話が逆」なのですよ。 


注1:具体的な計算内容については次のページを参照願います。
http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26973

ちなみに V2=(V-V1)/(1-V*V1/C^2) の計算式によれば

V2=0.975609756C となります。


注2:ボブとアリスがお互いの距離と相対速度を知るのにレーダーを使った場合はそうなる、という事になります。

そうして多分今のところ人類は光以上に早く相手を知る手段を知らない為、これが事実上は「最速で相手との距離と速度を知る方法」となります。

しかしながら、その方法によっては基準慣性系に対する速度を知る事はできない、という事も了解しておくことが必要です。


追伸
V=(V1+V2)/(1+V1*V2/C^2)の式を成立させるV2の値を持って「良し」とする立場と、V1+V2=Vであり、したがって「左からアリスが0.8Cで、右からボブが0.8Cで真ん中の基準慣性系めざして進んでくる時に、アリスから見たボブの相対速度はどれぐらいになるのか?」の答えとして「それは1.6Cである」とするものとの間には「実質上の差はない」のです。

それはつまり「2Cの距離をおいて向き合った両機が0.8Cで接近するならば1.25秒後にすれ違う」のであって、この結論は「アリス号がボブ号を「-0.97560975Cでこちらに接近してくる」と認識しても変わる事はありません。

但しその様に認識したアリス号は2Cの距離を「0.97560975Cで1.25秒走ったらすれ違う距離である=1.21951219Cである」と認識するだけの事です。

それはつまり実質上は「1.6Cの相対速度」というのと「0.97560975Cの相対速度」と言うのは単に「表現形式の差」という事になります。


しかしながら相対論が言う「光速は超えられない」の教義のもと「相対速度であっても光速は超えられない」と言うのが主流になっています。

ただしそのようにいう事は「多分に心理的なもの」の様に見えます。

そうしてその為に「光速を超えるタキオンは過去に飛ぶ」などという「間違った認識」を多くの方々が何の批判もなく受け入れているのが現状であるように見えます。

PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.fo/shM7y