特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その7・ 再び双子のパラドックス

2022-06-12 01:45:19 | 日記

「双子のパラドックス・相対論」では3台の宇宙船を登場させて話を始めました。: ・双子のパラドックス :

その後「タキオン反電話」でボブとアリスが登場し、今ではすっかりこれが普通の呼び名になっています。

「アリスが左から0.8Cでボブが右からー0.8Cで近づく時の相対速度」 : その4・ アリスが左から0.8Cでボブが右からー0.8Cで近づく時の相対速度 :http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26973 :では近づく速度を0.5Cから0.8Cにあげていますが、問題設定の状況は変わりありません。

この時の計算では真ん中にいたO君(基準慣性系)は明示しませんでしたが、その場所にはO君がいました。

そうしてアリスとボブはそのO君に対してそれぞれ相対速度0.8Cとー0.8Cで近づくのでした。

O君とアリス、ボブそれぞれの船の距離は1Cであってそこで時計をリスタートさせます。

1Cの距離を0.8Cではしりますから、1.25秒後には両船ともにO君の位置まで移動します。

1C÷0.8C=1.25秒

アリス号もボブ号もO君の船に対しては相対速度が0.8Cで、これはO君から2つの船を見てもその様に見えます。

それで、基準慣性系に対して静止しているO君座標系では2隻の船がすれ違うまでの時間は1.25秒と記録されます。

それに対してアリス、ボブともに0.8Cの相対速度でO君(基準慣性系)に対して運動している為にローレンツファクターの0.6掛けで、時間が遅れます。

従ってアリス、ボブ両船の時計が

1.25秒*0.6=0.75秒を示した所でアリス、ボブ両船はO君の位置に到達します。

それで従来の基準慣性系を想定しない計算では、アリスとボブがO君の時計を見ると「0.75秒を指している」となり、それに対して自分の時計では「1.25秒である」となるので、パラドックスが発生している様に見えますが、実際の状況ではその様にはならない、と言うのが当方の主張になります。

その様なパラドックスが生じているのは「単に計算上だけ」という事になり、実際の宇宙ではそうはならないのです。



さてそれで、その様な状況の時にアリスはどのように世界を認識しているのか、ということになります。

「自分は動いていない」という立場に立つアリスにとっては「O君はこちらに相対速度0.8Cで向かってくる」と見ます。

そしてアリスタイムで0.75秒後にO君はアリスの位置までくる、と見ます。

それはつまり「当初、O君はアリスから0.8C*0.75秒=0.6Cの所にいた」と認識する訳です。

それでこれはO君の認識「アリスとの距離は1Cである」とは違っていますが、アリスにとっては自分が基準慣性系に対して0.8Cで動いている事によって「空間がローレンツ係数分、短縮した」という事を示しています。



それで次はアリスはボブ号をみます。

その時の相対速度の計算は:http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26973 :で示した通りであり、レーダー画像を使っても、相対論的加法則を使っても0.97560975Cとなるのでした。

これはほとんど光速ではありますが、そこまで到達はしていません。

そうしてまたボブ号がアリスの位置まで来る時間はO君タイムで1.25秒、アリスタイムで0.75秒ですから、当初のボブ号とアリスとの距離は0.97560975C*0.75秒=0.73170731Cとアリスは見ます。



さて時計をリスタートさせた時のO君とボブのアリスから見た距離の値がこれで求まりました。

アリスからO君までの距離   0.6C

アリスからボブ君までの距離  0.732C

アリスからボブ君までの距離はO君測定の2Cという値の0.366倍に圧縮されています。

そうしてこれはアリスとボブが基準慣性系に対してそれぞれ0.8Cとー0.8Cで運動している事による効果である、とみなせます。

ちなみにこの圧縮率は0.8Cで動いた場合のローレンツ係数0.6を二乗した数値0.36に近いのですが一致はしない様です。

加えてアリスとボブの相対速度0.97560975C=292480.5Km/Sから計算されるローレンツ係数0.2195とも一致しません。



こうしてアリスはO君を0.6Cの距離にみて、ボブをそこから少し後ろに見ている事が分かります。

さてこれは奇妙な見方ではありますが相対論は「これでいいのだ」と言うのです。

そうしてO君もボブもアリスタイムで0.75秒後にはアリスの場所にまで同時に到着するのでした。


追伸
以上の事から分かります様に、相対論の主張と言うのは「とにかく光を使って計れ」という事になります。

そうしてまた「基準慣性系を入れた事」でドップラーシフトの計算式から相対論的な速度の加算式が導き出せる感触があります。

それは基準慣性系K0、それに対して速度V1で移動している慣性系K1,それからK0に対して速度Vで移動している慣性系K2を想定し、K1とK2の間に起こるドップラーシフトを計算する事で可能になります。

そのことは1段目のロケットに積まれた通常のドップラーレーダーで2段目のロケットの速度を計測した場合はじかにV2の値が得られる、という事になります。

そうしてまた宇宙空間をこちらに向かって飛行してくる宇宙船の相対速度も通常のドップラーレーダーで計測でき、その値はV2になる、という事になります。

こうして「とってつけたようなV2を求める加算式と見えたもの」が実はリアリティーがあった、ということであり、そうしてまた「光が絶対である世界」と言うのは無矛盾である、という事になりそうでもあります。


また「光速はどのように測定してもCである」と言うのがこの宇宙の実験的な事実であるならば、その事は逆に「基準慣性系が存在し、そこに対して光は光速Cで走っている」という事を証拠立てている様にも見えます。

 

PS:相対論の事など 記事一覧

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