特殊相対論のシンプルなまとめなら
特殊相対論の要点―相対論的力学を中心として― :http://www.mns.kyutech.ac.jp/~okamoto/education/physicsIIB/relativisticsummary031112a.pdf :か。(注1)
それで今、注目すべきは(8)式である。
E^2=P^2*C^2+M^2*C^4
=(P*C)^2+(M*C^2)^2
これが粘土玉の全エネルギーEを示す式である、と思ってよい。
それで静止系で見た2つの粘土玉のうちの1つの粘土玉にこれを当てはめると
E^2=(C*V/sqrt(1-V^2))^2+(1*1^2)^2
=(V/sqrt(1-V^2))^2+1 ・・・①式
となる。
ちなみにC=1、M=1(kg)という単位系である。
この粘土玉が真ん中でぶつかって合体しV=0となる。
従って粘土玉一つ当たりでは
E^2=(0/sqrt(1-0^2))^2+1=0+1
=1<(V/sqrt(1-V^2))^2+1
となってしまい、このままではエネルギー保存則が成り立たなくなる。
従ってここでも質量Xを増加分として加えなくてはいけない。
それで衝突後の粘土玉一つ当たりの全エネルギーを
E^2=(1+X)^2 ・・・②式
とするのである。(合体してひとかたまりになっているが、その半分を考える。)
そうなるとエネルギー保存則は ①式=②式 となり
(V/sqrt(1-V^2))^2+1=(1+X)^2
となる。
これをXについて解くためにウルフラム : https://ja.wolframalpha.com/ :に上記式を入れる。
そうするとXの解として
X=1/sqrt(1-V^2)-1
を得るのである。
合体後の粘土玉は勿論、この2倍の質量が増加しているので、増加分は
2*X=2/sqrt(1-V^2)-2
となり、まえのページで行った「運動量保存則から導いた結論と同じ結論に至る」のであります。
ふむ、こうして「相対論は良くできている」という事が分かるのでした。(注2)
注1:もう少し丁寧に、というならば
第2章 光子とニュートン力学 :http://www.sp.u-tokai.ac.jp/~yasue/ffn/soutairon-2.pdf :なところか。
注2:「双子のパラドックス(加速度運動なし)」及び「三つ子のパラドックスを除いて」という事ではありますが、、、。
追伸
ニュートン力学では粘土玉の全エネルギーは運動エネルギーと位置エネルギーの和で書かれる。
しかしこの書き方では合体後の粘土玉の全エネルギーを表す式からは運動エネルギーの項目が消えてしまい、「衝突の前後でエネルギー保存則が式の上では成立しなくなる。」(注3)
しかしながら相対論においては「静止質量の増加」を認める為、「式の上においてもエネルギー保存則が成立する」のである。
ちなみに粘土玉のこの質量増加分を実際に測定する、と言ことは「ダークマターの直接検出と同程度に」「至難のワザであろう」と思われる。
注3:非弾性衝突 : https://archive.fo/54Saa :参照のこと