前の記事の結論はこうでした。
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『そうしてこの話のポイントは
「地球視点では何物も、たとえそれが1段目のロケットから前方方向に出したレーザー光であっても、光速Cを超える事はない」
という事になります。
加えて「もちろん地球は宇宙の中心、唯一の静止点ではない」のですから、宇宙にあるどの慣性系であっても同様の主張ができる事になります。』
それが「おーにし」さんのブログ :https://archive.fo/jydqn : に出てくる下記の速度の合成式の意味になります。
V=(V1+V2)/(1+V1*V2/C^2)
慣性系k0から出発したk1という名前のロケット、これが慣性飛行に移行した後でその進行方向に出したレーザー光は同時に地球からロケットに向けられて発射されたレーザー光と同じ速度で空間を伝わる、というものでした。
さてここではおおにしさんは「従って光の速度が宇宙の最高速度である」とは言ってはいませんが、「これが光速不変の確認である」とは言っています。
そうして相対論電卓は「合成した速度vは光速cを超えることはありません。」と言っています。
ちなみに、よくお世話になる「EMAN物理」ではこの式の結果の説明として「なぜ光速を越えられないのか」という言い方をしています。: https://eman-physics.net/relativity/tachyon.html
さてそれで、1次元の宇宙を考えます。
その宇宙は方向が±Xの2方向しかないので考えやすいのです。
さてこの宇宙では無限個の任意のスピードで右、左に移動している複数の慣性系k0~Kn~K∞を考える事が出来ます。
それでそこから慣性系K0を取り出して+X方向にレーザー光を出します。
つぎにもう一つの慣性系K1を選んで同様に+X方向にレーザー光を出します。
この場合、前ページの議論から分かる様に「この2つのレーザー光は同じ速度で右に走ります。」
それが V=(V1+V2)/(1+V1*V2/C^2) の式の意味でした。
さて次にK2という慣性系を取り出してやはり+X方向にレーザー光を出します。
それでこのレーザー光もK0から見るとK0が出した光と同じ速度で右に走ります。
こうしてその宇宙にある、どの慣性系Kn(Nは1から無限まで)を取り出して、そこからレーザー光を右に出しても、いずれの光もk0に対して光速Cで離れていく、あるいは近づいてくるのでした。
それでもちろんK0がこの宇宙の中心であり、唯一の静止点である、などという「かつての地球が行ったような主張」は成立しません。
しかしこの宇宙では+Xに向かう光は一種類しかなく皆同じ速度で右に走るのでした。
なるほどそうなるとこの無限個の慣性系の中からいわゆる基準慣性系を取り出すことが可能であるように見えます。
その方法は簡単です。
双子のパラドックスで示した方法によって時刻合わせをしたそれぞれの時計をもつ2つの慣性系がであった時にその2つの時刻を見比べれば良いのです、
そうすればどちらかの時計が必ず進んでいて、もう一方は遅れているはず、その様に「地上に降り注ぐμ粒子の寿命測定結果」は教えています。
そのようにして「無限個の中で一番時計の進み方が早い慣性系を選ぶ」のです。
そうすればその慣性系がこの1次元宇宙での静止点、基準慣性系である事になります。
そうして実はこの宇宙の光はその基準慣性系に対して光速Cで飛行する、という事になっていたのです。
それ以外の慣性系から出された光はすべて、その光の発射元の慣性系が基準慣性系に対して持っていた相対速度を加算、あるいは減算されたかのようにして、基準慣性系から出された光と速度を同じになる様に調整されて右方向に走るのでした。
その結果、この宇宙では
V=(V1+V2)/(1+V1*V2/C^2)
という式が成立する事になるのです。
そうして「光の速度Cは一定であって、常に変わる事がない」と言うのはそのような仕組みによって成り立っている、と言う事が出来ます。
追伸
右側に走る一本のレーザー光を見ている、任意のスピードで右左に運動しているすべての慣性系にとって、その光の速度はCになるという、そういう宇宙とは、いったいどういう仕組みで成立しているのだろうか??
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