特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その6・ 相対速度は光速を超える事が可能か?

2022-06-10 01:41:58 | 日記

その3・ 光速の測定と光速を使った測定
で証明できた事は以下の通りです。

よく知られている以下の式
V=(V1+V2)/(1+V1*V2/C^2) 

そしてそこからV2を求める様に変形した式
V2=(V-V1)/(1-V*V1/C^2)

に出てくるV2という速度は地球から打ち上げられた2段ロケットの1段目に搭載されたレーダーによって2段目のロケットが1段目のロケットからどれだけの速さで離れていくのか、1段目の搭乗者の視点で測定した速度である、という事を証明したのです。

つまり
V2=(V-V1)/(1-V*V1/C^2)
の式がやっている事の実際のプロセスを明らかにした、という事になります。

そうして相対論が「このようにして計算したV2の値はV1視点からみた正当なV2の値である」と主張するならば、同様の手順によってV1視点でのさまざまな速度が計算し確認できる、という事になるのです。

それでこの事は「おーにし」さんのブログ :https://archive.fo/jydqn : にある「問題設定」のイラストにある様に一般化されます。

つまり「基準KO」に対して相対速度V1で運動している慣性系K1から見た時に、k1に対してV2の速度で運動している慣性系K2は基準慣性系K0から見ると速度Vで運動している事になる、と言うものです。

さてこれでようやく当初からの問題設定「左からアリスが0.8Cで、右からボブが0.8Cで真ん中の基準慣性系めざして進んでくる時に、アリスから見たボブの相対速度はどれぐらいになるのか?」の別計算が出来る事になります。

ちなみにこの場合での相対論電卓によれば結果は以下の様になります。

V2=-292,524.8 km/s =-0.9708267C

それでV1に0.8C、Vにー0.8Cを設定して
その3・ 光速の測定と光速を使った測定
に示した手順に従って計算しますと数値誤差範囲内で一致した値 0.97560975C をえます。(マイナス符号は無視して下さい。)注1

この結果から分かる事は「慣性系K1から慣性系K2に向かってレーダー波を出してそのレーダー画像が教えるK1からK2までの距離と相対速度というものは、相対論が認めているK1から見たK2の相対速度というものにいつも一致する」という事です。

それはつまり「K1は常に自分は動いていないとしてK2のレーダー画像を認識する」のだが、その事を相対論は「よし」としている、そういう世界認識の方法が相対論である、と言えます。

そうしてこの場合、K0に指定された慣性系に対しては光は常に光速Cで走り、そうであれば実質的にはK0には基準慣性系を選ぶのがふさわしい、という事になります。


さて、そのようにして設定された世界においてはボブとアリスがお互いに基準慣性系に対して0.8Cで接近しつつあっても、その両者がお互いを観察した場合はガリレイ変換で得られる数値1.6Cという値は得ることが出来ず0.97560975C 程度の値、つまり「常に光速Cを下回る数値しか得られない」という事になります。(注2)


ちなみにそうやって得られたV2の値と言うものは通常の我々が認識している速度とはちがうものになる、という事はその2・ 光速の測定と光速を使った測定で示した通りです。

そこで示した様に「我々は通常はロッドの押し出し速度をもって相対速度と認識します。」
そうしてそれが我々の住んでいる日常世界の感覚です。

しかしその場合でも相対論は「いいやレーダー画像を使うのだ」と言うのです。

そうしてこの事が「相対論の世界観」と「ガリレイ変換の世界観の違いを生み出している」と言えます。

くわえて残念な事に(?)今のところは宇宙は相対論的な世界の見方を支持している様に見えるのです。

ちょっと語弊がありますか、この表現は。

すくなくとも当方には相対論が言うV2の値を計算しても、実用上は使い道がないように思えるのですが、、、。

このV2の値は基準慣性系で測定した値ではないからですね。

具体的にはV2はV1に対して静止している時はゼロで(C-V1)の値になった時がV1から見た時に最大値Cになる様に変換された値である、と言えます。

従ってV1にV2の最大値であるCを足しこんだら実質上はV1+(C-V1)としている事と同じであって、その結果はCになるのは当然の事なのであります。

あるいは「そのように作られた値がV2である」と言えます。

そうであれば「どのようなV2の値をV1に加えてもその結果は光速Vを超えない」と言うのは、その様に作られた結果の話であって、その結果を持って「光速Cが宇宙の最高速度である」とは言えないのです。

V=(V1+V2)/(1+V1*V2/C^2)の式が成立する事を持って「光速は越えられない」とするのは「話が逆」なのですよ。 


注1:具体的な計算内容については次のページを参照願います。
http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26973

ちなみに V2=(V-V1)/(1-V*V1/C^2) の計算式によれば

V2=0.975609756C となります。


注2:ボブとアリスがお互いの距離と相対速度を知るのにレーダーを使った場合はそうなる、という事になります。

そうして多分今のところ人類は光以上に早く相手を知る手段を知らない為、これが事実上は「最速で相手との距離と速度を知る方法」となります。

しかしながら、その方法によっては基準慣性系に対する速度を知る事はできない、という事も了解しておくことが必要です。


追伸
V=(V1+V2)/(1+V1*V2/C^2)の式を成立させるV2の値を持って「良し」とする立場と、V1+V2=Vであり、したがって「左からアリスが0.8Cで、右からボブが0.8Cで真ん中の基準慣性系めざして進んでくる時に、アリスから見たボブの相対速度はどれぐらいになるのか?」の答えとして「それは1.6Cである」とするものとの間には「実質上の差はない」のです。

それはつまり「2Cの距離をおいて向き合った両機が0.8Cで接近するならば1.25秒後にすれ違う」のであって、この結論は「アリス号がボブ号を「-0.97560975Cでこちらに接近してくる」と認識しても変わる事はありません。

但しその様に認識したアリス号は2Cの距離を「0.97560975Cで1.25秒走ったらすれ違う距離である=1.21951219Cである」と認識するだけの事です。

それはつまり実質上は「1.6Cの相対速度」というのと「0.97560975Cの相対速度」と言うのは単に「表現形式の差」という事になります。


しかしながら相対論が言う「光速は超えられない」の教義のもと「相対速度であっても光速は超えられない」と言うのが主流になっています。

ただしそのようにいう事は「多分に心理的なもの」の様に見えます。

そうしてその為に「光速を超えるタキオンは過去に飛ぶ」などという「間違った認識」を多くの方々が何の批判もなく受け入れているのが現状であるように見えます。

PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.fo/shM7y