特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その2・ 完全非弾性衝突

2022-06-16 01:10:36 | 日記

特殊相対論のシンプルなまとめなら

特殊相対論の要点―相対論的力学を中心として― :http://www.mns.kyutech.ac.jp/~okamoto/education/physicsIIB/relativisticsummary031112a.pdf :か。(注1)

それで今、注目すべきは(8)式である。

E^2=P^2*C^2+M^2*C^4

=(P*C)^2+(M*C^2)^2

これが粘土玉の全エネルギーEを示す式である、と思ってよい。



それで静止系で見た2つの粘土玉のうちの1つの粘土玉にこれを当てはめると

E^2=(C*V/sqrt(1-V^2))^2+(1*1^2)^2

=(V/sqrt(1-V^2))^2+1 ・・・①式

となる。

ちなみにC=1、M=1(kg)という単位系である。



この粘土玉が真ん中でぶつかって合体しV=0となる。

従って粘土玉一つ当たりでは

E^2=(0/sqrt(1-0^2))^2+1=0+1

=1<(V/sqrt(1-V^2))^2+1

となってしまい、このままではエネルギー保存則が成り立たなくなる。

従ってここでも質量Xを増加分として加えなくてはいけない。



それで衝突後の粘土玉一つ当たりの全エネルギーを

E^2=(1+X)^2 ・・・②式

とするのである。(合体してひとかたまりになっているが、その半分を考える。)

そうなるとエネルギー保存則は ①式=②式 となり

(V/sqrt(1-V^2))^2+1=(1+X)^2

となる。

これをXについて解くためにウルフラム : https://ja.wolframalpha.com/ :に上記式を入れる。

そうするとXの解として

X=1/sqrt(1-V^2)-1

を得るのである。



合体後の粘土玉は勿論、この2倍の質量が増加しているので、増加分は

2*X=2/sqrt(1-V^2)-2

となり、まえのページで行った「運動量保存則から導いた結論と同じ結論に至る」のであります。



ふむ、こうして「相対論は良くできている」という事が分かるのでした。(注2)



注1:もう少し丁寧に、というならば

第2章 光子とニュートン力学 :http://www.sp.u-tokai.ac.jp/~yasue/ffn/soutairon-2.pdf :なところか。

注2:「双子のパラドックス(加速度運動なし)」及び「三つ子のパラドックスを除いて」という事ではありますが、、、。


追伸
ニュートン力学では粘土玉の全エネルギーは運動エネルギーと位置エネルギーの和で書かれる。

しかしこの書き方では合体後の粘土玉の全エネルギーを表す式からは運動エネルギーの項目が消えてしまい、「衝突の前後でエネルギー保存則が式の上では成立しなくなる。」(注3)


しかしながら相対論においては「静止質量の増加」を認める為、「式の上においてもエネルギー保存則が成立する」のである。

ちなみに粘土玉のこの質量増加分を実際に測定する、と言ことは「ダークマターの直接検出と同程度に」「至難のワザであろう」と思われる。


注3:非弾性衝突 :  https://archive.fo/54Saa :参照のこと


PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.fo/UiKkU