特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

10-2・誤解されているローレンツ収縮

2024-06-24 04:25:03 | 日記

さて前のページで示した「2つの短縮現象」についてういきがどのようにまとめているのかを以下、見ていきます。

まずは「ういき:長さの収縮」: https://archive.md/iuLEO :から引用します。

ちなみにういきではこの「2つの長さの収縮」は「2つともローレンツ収縮である」と言う立場でまとめています。

でそのページの「実験的検証」の項に行きます。

そこでは「・・・その空間的広がりが小さすぎるため収縮を直接測定することができない。しかし、共に運動しない系で間接的に確認されている。」として以下の5つの事例が紹介されています。(<--5つの事例の具体的な内容についてはページ下段の追記にまとめてあります。)

それで前のページで指摘した「本来のローレンツ収縮」に相当するものは1,3,4番目の収縮であり、これは「動いているものが収縮する例」になっています。

それに対して2、5番目の説明では「動いている物から見た場合、止まっている方の空間が収縮する例」になっています。(注1

そうしてういきでは「この2つの場合を区別せずにローレンツ短縮」と呼んでいます。

そうであれば「このようにとらえるのが今の業界のとらえ方=通説である」とみて良いと思われます。

ちなみに追記にういきからの引用を載せておきます。

 

次に「長さの収縮の実際」の項に移ります。ここではアインシュタインが

1911年、ウラジーミル・ヴァリチャクは、ローレンツによれば、人は長さの短縮を客観的に見ることができるが、アインシュタインによれば、それは「人間の時計調整と長さの測定方法によって引き起こされる、見かけ上の主観的な現象にすぎない」と主張した。事に対して「いやいや、それは客観的に測定可能な現実だよ」とアインシュタインは次のような反論を発表した。と記されています。

しかしながらこのアインシュタインの主張のういきの和訳があまり適切でないので意味がよく分かりません。それでその代わりにチャットGPTに訳してもらいました。

著者は、ローレンツの見解と私の見解との間に物理的な事実に関する違いがあると不当に述べました。長さの収縮が本当に存在するかどうかという問いは誤解を招くものです。それは「本当に」共動する観測者には存在しないため、「本当に」存在するかどうかという意味でのことです。しかし、「本当に」存在するという意味での、つまり、非共動する観測者によって原理的に物理的手段で実証できるような形で存在します。

つまりは「運動している物体と同じ慣性系に立つ観測者にはその収縮は見えないが違う慣性系に立つ観測者にはその収縮は測定可能である=客観的なものであって主観的なものではない」と言っているのです。

ちなみに右に提示されているアインシュタイン説明のイラストは小さくて見づらいので拡大してみました。: https://archive.md/7tQaB :

続いてまたういきから引用します。

アインシュタインはその論文で長さの収縮は単に時計の制御と長さの測定が行われる方法に関する任意の定義の産物ではないと主張した。次のような思考実験を提示した。

同じ固有長を持つ2本の棒の端点をA'B'とA"B"とし、それぞれx'とx"と測定する。この2本を静止しているとみなされるx*軸に沿って、これに対して同じ速度で反対方向に動かす。すると、端点A'A"は点A*で重なり、B'B"は点B*で重なる。アインシュタインはA*B*の長さがA'B'やA"B"よりも短いことを指摘したが、これはその軸に対して静止した棒を1本持ってくることにより証明することができる[22]。

この説明文もまた分かりにくいですね。で説明を追加しておきます。

>同じ固有長を持つ2本の棒の端点をA'B'とA"B"とし、それぞれx'とx"と測定する。この2本を静止しているとみなされるx*軸に沿って、これに対して同じ速度で反対方向に動かす。

↓↓↓

MN図とその上に表されたローレンツ変換を示す座標系X'-ct'と座標系X''-ct''を使って説明します。

同じ長さの棒A'B'とA"B"を静止系x*に対してA'B'は右方向に速度0.6Cで動かすとそれは座標系X'-ct'のX'軸上にのった棒A'B'として表すことができる。

同様にして棒A"B"は静止系x*に対して左方向に速度0.6Cで動いているのだが、それは座標系X''-ct''のX''軸上にのった棒A''B''として表すことができる。

 

>すると、端点A'A"は点A*で重なり、B'B"は点B*で重なる。アインシュタインはA*B*の長さがA'B'やA"B"よりも短いことを指摘したが、これはその軸に対して静止した棒を1本持ってくることにより証明することができる[22]。

↓↓↓

端点A'A"は点A*で重なり、B'B"は点B*で重なる。ーー>イラストにある様に端点A'と端点A"は点A*で重なり、端点B'と端点B"は点B*で重なる。

>アインシュタインはA*B*の長さがA'B'やA"B"よりも短いことを指摘したが、これはその軸に対して静止した棒を1本持ってくることにより証明することができる[22]。

↓↓↓

静止系x*に置かれた棒A'B'とA"B"の2つと同じ長さを持つ棒LoをMN図上の適切な位置に置くとその棒の長さと棒A'B'とA"B"の長さを「静止系視点で」比較する事が出来る。

そうすると棒A'B'とA"B"の長さは「静止系視点では」いずれも棒Loより短く観測される。

同時にまた棒A'B'とA"B"の「静止系視点での」短縮程度は同じである事がわかる。

ちなみに速度0.6Cでの短縮率=ローレンツ因子は

sqrt(1-0.6^2)=0.8 である。

そうであればそれぞれの座標系に置かれた棒の長さは「5目盛り」なのであるが「静止系視点での」棒A'B'とA"B"の長さは「4目盛り」となっているのです。

くわえてここでのアインシュタインのローレンツ短縮の説明の仕方は前ページの1、に沿った形のものであって「本来のローレンツ収縮の説明方法」となっています。(注2

つまりはアインシュタイン曰く「静止系に対して動いている棒の長さは縮む」と言っているのです。

但し「動いている棒の上に立っている観測者は、棒の短縮を観測しない」とも言っています。

そうしてここで注意すべきは「アインシュタインは空間が短縮する」とは言っていない点にあります。

そうではなくてあくまで短縮するのは「空間の中を移動している棒=オブジェクト」なのです。

 

注1:2番目の例が前のぺージで取り上げた「ミュー粒子の例」になります。

注2:歴史的には話が逆であって「アインシュタインが始めたローレンツ短縮の説明方法をその後、皆さんが踏襲している」というのが正確な所でしょうか。

 

追記:「ういき:長さの収縮」の「実験的検証」から 以下引用

1、有名な実験の否定的な結果であり、長さの収縮を導入する必要が出たマイケルソン・モーリーの実験(後にKennedy–Thorndike実験)。特殊相対性理論においては次のような説明になる。その静止系において干渉計は相対性原理にしたがい静止しているとみなすことができるため、光の伝播時間は全方向で同じである。干渉計が動いている系では横方向のビームは動かない系に対してより長い対角線の経路を通らなくてはならず、移動時間は長くなるが、縦方向のビームは順方向と逆方向でそれぞれ時間L/(c-v)とL/(c+v)をとるため、遅延する要因はさらに長くなる。それにより縦方向では否定的な実験結果に従い、両方の移動時間を等しくするために干渉計を収縮させることになる。こうすることで2つの経路での光速は一定となり、干渉計の垂直なアームに沿った往復伝播時間はその運動と向きに依存しない。

2、地球の基準系で測定した大気の厚さを考えると、ミュー粒子の寿命は非常に短いため光速であっても地表に到達することはできないはずであるが、到達している。地球の基準系からはミュー粒子の時間が時間の遅れにより遅くなることによってのみこれが可能になるが、ミュー粒子の系では大気が収縮して移動時間が短くなることでこの効果が説明される[13]。

3、静止時には球形をしている重イオンは光速に近い速度で運動すると「パンケーキ」や平らな円板の形をしていると推測される。また、実際には粒子衝突から得られる結果は長さの収縮による核子密度の増加を考慮しなければ説明できない[14][15][16]。

4、大きな相対速度を持つ荷電粒子のイオン化の能力は予想より高い。相対論以前の物理学では、運動中のイオン化粒子が他の原子や分子の電子と相互作用できる時間が短くなるため、速い速度ではこの能力は下がるはずである。しかし、相対論においては予想より大きいイオン化の能力は、イオン化粒子が運動している系のクーロン場の長さが収縮し、運動線に対して垂直な方向の電場強度が増加することにより説明される[13][17]。

5、シンクロトロンや自由電子レーザーでは、アンジュレータに相対論的電子を注入することでシンクロトロン放射を発生させている。電子の固有の系では、アンジュレータが収縮し、放射周波数が増加する。さらに、実験室系で測定される周波数を知るには、相対論的ドップラー効果を適用する必要がある。そのため、長さの収縮と相対論的ドップラー効果の助けを借りてのみ、アンジュレータ放射の極めて短い波長を説明することができる[18][19]。』

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PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/icLIe

 


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