特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

ドリフトしながら円運動する場合の時間の遅れ

2022-08-24 01:41:30 | 日記

円運動する対象物の時間の遅れは円周の接線方向の速度 V で固有時間軸方向の速度 Vt を書く事ができるのでした。

Vt=sqrt(1-V^2)



さてそれで単振動での時間の遅れ・相対論 : https://archive.is/FJO5M http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=27477 :によれば

『例によって光速=C=1としますのでVの最大値は1、したがって

V=Cos(ω*t)

ω*tは単振動している対象物が実は円運動している、それを横から見ているから単振動に見える、そう解釈した時のx軸からの回転角Θになります。したがって

Θ=ω*t

これを改めてxとおき0から2π(2パイ)まで単位時間で動く、つまり「一周する」とします。

さてそうすると

V=Cos(x) ・・・③式

が単振動の速度を表す式、最大速度が±C=±1となっています。』でした。

③式がx軸方向から円運動をみた場合の速度Vyだとすると同じ円運動をY軸方向からみると

Vx=Sin(x)

となっていそうです。

そうであれば光速C=1で円運動している場合は

sqrt(Vx^2+Vy^2)=sqrt(Sin(X)^2+Cos(X)^2)=1

が接線方向の速度Vを与える式となります。

同様にして速度Vで円運動している時は

V=sqrt((V*Sin(X))^2+(V*Cos(X))^2)

となり、その時の時間の遅れは

sqrt(1- ((V*cos x)^2+(V*sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%28%28V*cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%8B%28V*sin+x%29%5E2%29%EF%BC%89%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは 

2π*sqrt(1-V^2)

V=1=C の時は ゼロとなり、つまり「光速で回ると時間は止まる」

V=0の時はVt=1であって、それを0から2πまでの範囲で積分すれば2πになる

という訳です。



まあここまでは復習みたいなもの、問題はここからです。

この円運動している中心が一定速度Bで一定方向に動いていたら、つまり「ドリフトしていたら」=「慣性運動していたらどうなるか?」と言うのが今回のテーマですね。

この場合を式で書くとこんな感じ

sqrt(1- ((V*cos x-B)^2+(V*sin x)^2))

ウルフラムに入れて積分すると

sqrt(1- ((V*cos x-B)^2+(V*sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%28%28V*cos+x-B%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%8B%28V*sin+x%29%5E2%29%EF%BC%89%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

・・・ハイ、見事に積分してくれませんでした。



例題の1:それで速度Bで光速円運動がドリフトするとどんな風な軌跡になるか、というのはこれ。

(cos t-0.02t, sin t)の媒介変数表示  0<t<5π 

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%28cos+t-0.02t%2C+sin+t%29%E3%81%AE%E5%AA%92%E4%BB%8B%E5%A4%89%E6%95%B0%E8%A1%A8%E7%A4%BA+%E3%80%800%3C%EF%BD%94%3C5%CF%80%E3%80%80

速度B=0.02C=0.02 でx軸マイナス方向にドリフト、2.5周分の表示です。

その場合の軌跡の長さは15.74953・・・と計算されています。

円運動の場合ですと 円周(2π)*2.5=15.70796・・・ですのでこの円運動+ドリフトの場合は軌跡の長さが円運動の1.0026462倍の長さになっている事が分かります。



さてそれでは、ということで上記B=0.02の時の時間の遅れはどうなるか、計算しましょう。

sqrt(1- ((cos x-0.02)^2+(sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%28%28cos+x-0.02%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%EF%BC%8B%28sin+x%29%5E2%29%EF%BC%89%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

・・・時間切れ・・・だそうです。



何故かと言いますと積分対象の関数のルートの中がマイナスに落ちるからですね。

(1- ((cos x-0.02)^2+(sin x)^2))   をウルフラムに入れますと

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%281-+%28%28cos+x-0.02%29%5E2%EF%BC%8B%28sin+x%29%5E2%29%29

見事にマイナスに落ちている部分があり、その部分が積分不可になっています。

これは、実際の場面で言いますと「光速で円運動している状況で円運動の中心を速度0.02Cで移動させると光速を超えてしまう部分が出てくる」という事に相当しています。

そうであれば相対論はその部分を許容しないのです。

したがって「そのような状況では時間の遅れは計算できない」という事になります。



さてそうであれば円運動の速度を落としてやればよい、という事になります。それで速度を光速Cから0.8Cにまで落としますと

(1- ((0.8cos x-0.02)^2+(0.8sin x)^2))

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%281-+%28%280.8cos+x-0.02%29%5E2%EF%BC%8B%280.8sin+x%29%5E2%29%29

はい、これであればルートの中はマイナスに落ちません。

それでは積分しましょう。

sqrt(1- ((0.8cos x-0.02)^2+(0.8sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%28%280.8cos+x-0.02%29%5E2%EF%BC%8B%280.8sin+x%29%5E2%29%EF%BC%89%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは3.76595・・

注3:但しうまく計算してくれない時は注3参照の事


ドリフトしていない時は

sqrt(1- ((0.8cos x)^2+(0.8sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%28%280.8cos+x%29%5E2%EF%BC%8B%280.8sin+x%29%5E2%29%EF%BC%89%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは3.76991 (注2)

今回0.8Cでの円運動の場合は、0.02Cのドリフト成分があると時間は0.9989496・・≒0.11%遅れる、という計算結果になりました。

ちなみにこの計算例では「相対論が言う所の『速度の加法則』は考慮されていない」という事に注意が必要です。(注1)



次は例題の2:0.9994Cで円運動していて、ドリフト速度が0.0006Cの場合をみます。

(0.9994cos t-0.0006t, 0.9994sin t)の媒介変数表示  0<t<5π 

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%280.9994cos+t-0.0006t%2C+0.9994sin+t%29%E3%81%AE%E5%AA%92%E4%BB%8B%E5%A4%89%E6%95%B0%E8%A1%A8%E7%A4%BA+%E3%80%800%3C%EF%BD%94%3C5%CF%80%E3%80%80

ドリフト量が少ないので軌跡が重なって見えます。

ルート内の積分対象関数の状況をみます。

(1- ((0.9994cos x-0.0006)^2+(0.9994sin x)^2))

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%281-+%28%280.9994cos+x-0.0006%29%5E2%EF%BC%8B%280.9994sin+x%29%5E2%29%29

値の最小値がゼロであり、マイナスに落ち込んでいないので積分可能です。

時間の遅れを計算します。

sqrt(1- ((0.9994cos x-0.0006)^2+(0.9994sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=sqrt%281-+%28%280.9994cos+x-0.0006%29%5E2%EF%BC%8B%280.9994sin+x%29%5E2%29%29%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは0.1959

ドリフトがない場合を計算します。

sqrt(1- ((0.9994cos x-0.0000)^2+(0.9994sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=sqrt%281-+%28%280.9994cos+x-0.0000%29%5E2%EF%BC%8B%280.9994sin+x%29%5E2%29%29%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは0.217623

静止している場合の時間の経過は2π≒6.28319ですのでそれに対して円運動だけですと3.46358%まで時間が遅れます。

方やドリフト0.0006Cが加算されると3.11785%まで時間が遅れ、増加した時間の遅れ分は0.34573%となりました。

円運動の速度が0.9994Cでドリフト速度が0.0006Cでしたのでドリフト増加分は0.06%、その増加分で0.34573%の時間の遅れ増加分が発生した事になります。

ただしこの場合でも相対論的速度加算則は考慮されていません。(注1)


注1:円運動する対象、たとえば加速器の中を回転しているミュー粒子ですがそこにドリフトの速度が加算、あるいは減算される事になります。

それでその場合ですが、もちろん加算・減算計算は相対論的速度の合成則による必要があります。

ちなみにこれは何を計算しているのか、と言いますれば「基準慣性系に対して地球が移動していた=実は地球は基準慣性系ではなかった、としたならば、地球上での円形粒子加速器を用いた素粒子の寿命測定実験は地球の基準慣性系に対する運動の影響を受けるだろう」という話の内容の具体的な検討という事になります。

そのような見方をした場合、かつてはマイケルソンーモーリーさん達がやった実験は、実は今では粒子加速器を用いてやられている、という事になります。

マイケルソン・モーリーの実験: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%B1%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%81%AE%E5%AE%9F%E9%A8%93


注2:
sqrt(1- ((0.8cos x)^2+(0.8sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

sqrt(1- ((0.8cos x)^2+(0.8sin x)^2))
=sqrt(1- (0.8^2))
ですので
sqrt(1- (0.8^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%8D+%280.8%5E2%29%EF%BC%89%E3%82%92%EF%BD%98%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは3.76991・・・・

となります。

 

注3:ウルフラムのトップページに移動
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sqrt(1- ((0.8cos x-0.02)^2+(0.8sin x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分


一回でうまく行かなくても、何回か行う。

それでもダメなときはしばらく時間を空けるとうまく行く。

 


PS:相対論の事など 記事一覧

https://archive.fo/t1o1v