特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

タキオン反電話の歴史(過去に情報を送れるタキオン通信の話)

2023-07-26 01:39:51 | 日記

以下、歴史的な記述については主にういき「タキオン反電話」: https://archive.md/u7rl1 :の記述に従っています。

 

1905年 アインシュタイン 特殊相対論 発表 

何と言っても「時間は遅れる」という話の起点はここです。

その意味では「時間を物理の対象として扱える様にしたアインシュタインの仕事」は独創的ですばらしいものであります。(注1)

 

それで光速をこえる速さの通信について最初に考えたのはアインシュタインの様です。

1907年 Einstein, Albert (1907). "Über das Relativitätsprinzip und die aus demselben gezogenen Folgerungen" [On the relativity principle and the conclusions drawn from it]:相対性原理とそれから導かれる結論について

第二巻 スイス時代 著作 THE RELATIVITY PRINCIPLE 1900~1909年 265P : https://archive.md/Qk7lu :

https://einsteinpapers-press-princeton-edu.translate.goog/vol2-trans/279?_x_tr_sl=en&_x_tr_tl=ja&_x_tr_hl=ja&_x_tr_pto=sc

『速度vはcよりも小さい任意の値を取ることができます。したがって、私たちが仮定したようにW> cの場合、常にT<0となるようなvを選ぶことができます。この結果は、達成された効果が原因よりも先行する可能性のある転送メカニズムを考慮する必要があることを意味します。

純粋に論理的な観点からは、この結果には矛盾が含まれていないと思われますが、これはすべての経験の性質と相いれないほどのものであるため、仮定W> cの不可能性を証明する十分なものとなるように思われます』。

ここでのアインシュタインの結論は「ロジックでは間違いはないが、現実とは合わない」として「超光速通信は存在できない」としています。

 

1908年 ミンコフスキー 「空間と時間」

この中で「時間の遅れはお互い様」をMN図を使って説明している。

そうして「運動している観測者はY軸上にある相手の慣性系の過去の時計の時間を確認し、自分の時計の時間と比較して相手の慣性系の時間が遅れている事を見出す」と主張している。

それで実は上記の主張の中にすでに「速度無限大のタキオンを使うと過去の情報が確認できる」という内容が潜んでいる事に気が付くのです。

つまりミンコフスキーは言外に「タキオンは過去に走る」と言っている事になります。

 

1910年 アインシュタインとアーノルド・ゾンマーフェルト

アルバート アインシュタインの特殊相対性理論:出現 (1905 年) および初期解釈 (1905 ~ 1911 年)

「過去に電信する」手段として説明された。

↑↑↑

この資料については原典にまで到達できませんでした。

ちなみにアインシュタインとゾンマーフェルトは「仲良し」だった模様。

それは丁度ポアンカレとローレンツが仲良しだったことと相似的であります。

 

1917年 Tolman、「The Theory of Relativity of Motion」(カリフォルニア大学出版局、バークレー、1917年)、

『今、速度uとVの大きさに制限がなく、特に因果的な刺激が光速よりも大きい速度uでAからBに移動できると仮定しましょう。明らかに、速度uを十分に大きくとることで -(?) が1よりも大きくなり、Atは負になります。言い換えれば、系Sの観測者にとって、Bで起こる効果はAで起こる原因の時間よりも先になるでしょう。

このような状況は論理的には不可能ではないかもしれませんが、その非常識さから判断すると、因果関係の刺激は光速よりも大きな速度で移動することはないかもしれません。』

トルーマンの論文のテキストファイル

https://archive.org/stream/theoryrelativmot00tolmrich/theoryrelativmot00tolmrich_djvu.txt
Velocities Greater than that of Light 54 :54ページからこのテーマについての話が始まっています。

上記トルーマンの結論もアインシュタインの結論と同じです。

 

1962年 M.P. Bilaniuk、V.K. Deshpande、およびE.C.G. Sudarshan、「Am. J. Phys. 30、718(1962)」。

1965年  AlvagerとP. Erman、「1965 Annual Report of the Nobel Research Institute(未公開)」。詳細についてはRef. 3も参照してください。

1967年  Feinberg、「Phys. Rev. 159、1089(1967)」。

1968年 Alvager、およびM.N. Kreisler、「Phys. Rev. 171、1357(1968)」

1969年 M.P. BilaniukとE.C.G. Sudarshan、「Phys. Today 22、No. 5、43(1969)」。

196?年  MagliéとR. Schliiter(BilaniukとSudarshanへの私信);詳細についてはRef. 3も参照してください。

 

1969年 G. A. BENFORD, D. L. BOOK, AND W. A. NEWCOXB:Phys. Rev.D PARTICLES AND FIELDS 1970
(Received 23 June 1969) タキオン反電話:The Tachyonic Antitelephone*

「タキオン反電話」と言い出したのは上記のベンフォードの様です。

この論文についてはページを改めて提示する事と致します。

まあしかしながら「書かれている内容は難解」です。

ちなみに上記の「関係する論文リスト」はこのベンフォードの論文からの引用になります。

 

2008年 ティプラー、ポールA。; Llewellyn、ラルフA.(2008)。現代物理学(第5版)。ニューヨーク州ニューヨーク:WH Freeman&Co。p。54. ISBN 978-0-7167-7550-8。...したがって、粒子の存在v > c ...タキオンと呼ばれる...相対性理論と深刻な...無限の創造エネルギーと因果関係のパラドックスの問題を提示します。

現代物理学(第5版)のpdfアドレスはこちら

http://web.pdx.edu/~pmoeck/books/Tipler_Llewellyn.pdf

P54を見ろ、と言ってますのでそこを見ます。
『Tachyons and Reversing History
Use tachyons and an appropriate spacetime diagram to show how the existence of such particles might be used to change history and, hence, alter the future, leading to a paradox.・・・』

タキオンと逆転の歴史
タキオンと適切な時空図を使用して、そのような粒子の存在が歴史を変え、したがって未来を変え、パラドックスにつながる可能性があることを示します。・・・

・・・という出だしに続いて

Figure 1-42
『A tachyon emitted at O in S, the laboratory frame, catches up with a spaceship moving at high speed at P. Its detection triggers the emission of a second tachyon at P back toward the laboratory at x = 0. The second tachyon arrives at the laboratory at ct < 0, i.e., before the emission of the first tachyon.』

実験室の座標系であるSの(原点)Oで放出されたタキオンは、点Pまで高速に移動し、そこで宇宙船に追いつきます。宇宙船はその検出により、点Pで2番目のタキオンをx=0(原点位置にある)実験室に向かって放出します。2番目のタキオンは実験室に到着します。 ct <0で、つまり最初のタキオンが放出される前に。

と説明している図1-42が出てきます。

この図をこの本(初版)が出た後での世の中の諸氏方が参照しているものではないのか、と思われます。(ネット上で確認できる図はたいていがこの図のコピー、あるいはそれを多少、修飾したものになっている模様。)

なお本文内容につきましては該当ページをコピーされグーグル翻訳などにてどうぞ。

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1969年のベンフォードの論文は難解でしたが「現代物理学(第5版)」の説明は分かりやすいものになっています。

そうして多分、ここでの説明でもベンフォードのタキオン反電話の本質を伝えていると思います。

ちなみにこれ以降「タキオンがあれば過去に情報が送れる」はういきの説明も含めて大方はここの記載のコピペになっている模様です。

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2021年9月26日 entangle1「その1・ タキオン反電話」: https://archive.md/zEk7d :にて『計算の途中で計算の主体を入れ替える事が原因で情報が過去に飛んだように見える事』をしめす。

つまり「タキオンが情報を過去に運ぶ」のではなくて「計算のやり方が情報が過去に飛ぶように見せているだけ」という事です。

ちなみに「何故計算の途中で計算の主体を入れ替えてよい」とされているか、といえば「アインシュタインの『全ての慣性系は平等である』という宣言による」という事になります。

 

2021年9月29日 entangle1「その2・ タキオン反電話」: https://archive.md/G5rZH :にて『ういきで提示されているタキオン反電話の計算手順をつかうと、普通の無線通信でも情報を過去に送れる設定がある事』を示す。

これもまた「計算手順があたかも情報を過去に送れるように見せているだけ」という主張を支持する結果になっています。

 

上記entangle1の主張は否定できないものであるにも関わらず、何故いままで多くの人が「タキオンを使うと情報を過去に送れる」と主張してきたのか、個人的には本当に不思議に思うのであります。

たぶんこれは「アインシュタインが言った事だからそこには間違いはないのだろう」という先入観が大いに影響している様に思われます。

それはつまりアインシュタインの「全ての慣性系は平等である」に基づいて「従って計算途中で計算の主体を入れ替えても問題ない」と解釈している所にこの間違いの基本的な原因があります。

 

2023年 7月20日 karel2 「6-2・静止系が客観的な存在だと何が困るのか?(超光速通信or因果律違反)」: https://archive.md/CieG2 :にてMN図とタキオンを使って「光速を超える通信が出来ても情報を過去には送れない事」を図形的に明示した。

 

注1:アインシュタインにして初めて「時間と言うものの本質に一歩迫れた」という事が出来ます。

 

追記:「タキオンがあれば過去に情報が送れる」を主張しているネット記事一覧

・英語版ういき:タキオン反電話: https://archive.md/u7rl1 :

・「超光速通信と因果律の破れ」: https://archive.md/SxbeP :

・タキオンがあれば過去に情報を送れる: https://archive.md/oHkcI :

・タキオンと因果律: https://archive.md/6U3w8 :

・超光速ニュートリノで因果律が破れるワケ: https://archive.md/L6E9K :

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/73DA4