特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

ドリフトしながら単振動する場合の時間の遅れ

2022-08-12 02:46:25 | 日記

単振動での時間の遅れは 単振動での時間の遅れ・相対論 : https://archive.is/FJO5M :で扱いました。

次のテーマはドリフトしながら単振動したら時間の遅れはどうなるのか、と言うものになります。

何に対してドリフトしているのか、といいますれば「地上で行う単振動実験では基準慣性系に対してドリフトしている可能性がある」が答えになります。

つまり「地球が基準慣性系からずれていたとしたら、地上で行っている単振動による時間の遅れ測定実験にその影響が出るだろう」ということになり、「それではどれくらいの影響が出るのか計算しましょう」という事になります。

その場合の単振動の速さですが ドリフトしながら円運動する場合の時間の遅れ・相対論 : https://archive.is/t1o1v :の例を見習って0.9994Cで単振動する場合を取り上げます。



まずはドリフトがない場合を確認しておきます。

sqrt(1- ((0.9994cos x)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

をウルフラムにいれます。

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.9994cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは4.0102

ちなみに静止している場合、時間の遅れがない場合は 答えは2π(2パイ)になります。



さてドリフトさせましょう。ドリフト量が0.0006Cで最大速度がCになり、これが限界です。

まずは振動方向にドリフトしている、としていますので

sqrt(1- ((0.9994cos x-0.0006)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

をウルフラムにいれます。

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.9994cos+x-0.0006%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは4.00937

ドリフトがあると0.00083 遅くなります。(注1)



ドリフトしながら単振動する場合の軌跡のイメージはこんな感じ。

(t,0.9994sin t-0.06t)の媒介変数表示  0<t<5π 

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%28t%2C0.9994sin+t-0.06t%29%E3%81%AE%E5%AA%92%E4%BB%8B%E5%A4%89%E6%95%B0%E8%A1%A8%E7%A4%BA+%E3%80%800%3C%EF%BD%94%3C5%CF%80%E3%80%80

ドリフト量が0.0006ですと小さすぎて良く分からないのでドリフト量を100倍に増やして表示させています。



さてそれで、実はドリフト量が0.001Cの場合を計算したいのです。

それで素直にドリフト量を0.001Cまで上げますと

sqrt(1- ((0.9994cos x-0.001)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

をウルフラムにいれます。

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.9994cos+x-0.001%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

積分の視覚的表現をみますと、いかにも積分できそうな形をしていますが、ルートの中がマイナスに落ちている部分があり、このままでは積分してくれません。



そういうわけで、ここで相対論的な速度の加算式の登場となる訳です。

この合成則を使えば、光速以下のドリフト量であれば単振動と合成してもその結果は光速を超えることは無いのは保証されています。

合成則のおさらい

V=(V1+V2)/(1+V1*V2)

ここで

V1=0.9994cos x

V2=-0.001

従って

V=(0.9994cos x-0.001)/(1-0.001*0.9994cos x)

それで積分対象はsqrt(1-V^2)ですので

sqrt(1- ((0.9994cos x-0.001)/(1-0.001*0.9994cos x))^2)をxが0から2πまでの範囲で積分

をウルフラムにいれます。

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%EF%BC%880.9994cos+x-0.001%EF%BC%89%2F%EF%BC%881-0.001*0.9994cos+x%EF%BC%89%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは4.0102

見事に積分はできましたが、答えがドリフトなしの場合の数値と同じになりました。

しかしながら例によって桁落ちしていますので本当に同じなのかどうか、差分を取って確かめます。

sqrt(1- ((0.9994cos x)^2))-sqrt(1- ((0.9994cos x-0.001)/(1-0.001*0.9994cos x))^2)をxが0から2πまでの範囲で積分

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.9994cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29-sqrt%281%EF%BC%8D+%28%EF%BC%880.9994cos+x-0.001%EF%BC%89%2F%EF%BC%881-0.001*0.9994cos+x%EF%BC%89%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは6.63976*10^-7=0.000000663976・・・・

小数点表示したように、たぶんこの桁数以下も数値があるはずですが、「お試し無料版」ではここで手打ちです。

まあそれでも12ケタの精度はありますから、当面は十分でしょうか。

そうしてこれが0.001Cのドリフトによる時間遅れ分の効果になります。



それで、このままでは相対論的な速度の加算式の効果が分かりませんのでドリフトが0.0006Cの場合も同様にして確認してみます。

sqrt(1- ((0.9994cos x)^2))-sqrt(1- ((0.9994cos x-0.0006)/(1-0.0006*0.9994cos x))^2)をxが0から2πまでの範囲で積分

をウルフラムにいれます。

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.9994cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29-sqrt%281%EF%BC%8D+%28%EF%BC%880.9994cos+x-0.0006%EF%BC%89%2F%EF%BC%881-0.0006*0.9994cos+x%EF%BC%89%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは2.39031*10^-7=0.000000239031・・・

下記注1で示しました様に 相対論的な加算式を使わない場合は

答えは0.000833577

こうして相対論的な加算式を使う事によって約4万分の1にドリフトの効果が抑えられる事が分かります。



ちなみに単振動による時間の遅れを測定したレポートもありましたが、その精度は地球が基準慣性系に対してドリフトしているのかどうか、その事を確かめるには遠く及ばなかった、という事がこの計算結果の示す所となります。(注2)

さて、しかしながらその事は逆に「単振動での時間の遅れ測定の精度を上げれば、地球が基準慣性系なのかどうか、確かめられる」という事を示しています。(注3)



注1:この結果は桁が丸められています。

より正確には

sqrt(1- ((0.9994cos x)^2))-sqrt(1- ((0.9994cos x-0.0006)^2))をxが0から2πまでの範囲で積分

をウルフラムにいれます。

https://ja.wolframalpha.com/input/?i=%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.9994cos+x%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29-%EF%BD%93%EF%BD%91%EF%BD%92%EF%BD%94%281%EF%BC%8D+%28%280.9994cos+x-0.0006%29%EF%BC%BE%EF%BC%92%29%29%E3%82%92x%E3%81%8C0%E3%81%8B%E3%82%89%EF%BC%92%CF%80%E3%81%BE%E3%81%A7%E3%81%AE%E7%AF%84%E5%9B%B2%E3%81%A7%E7%A9%8D%E5%88%86

答えは0.000833577・・・・

より精度を上げる事もできるのでしょうが、「お試し無料版」ではこのあたりが限界の様です。

注2:単振動での時間の遅れ・相対論 : https://archive.is/FJO5M :の注2を参照願います。

注3:但し、話が少々複雑ですので「ページを改めて検討」とします。

「単振動を使った基準慣性系の判定・相対論」

https://archive.is/tlT3x
http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=27607

PS:相対論の事など 記事一覧


https://archive.fo/5nTue