特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その2・ タキオン通信

2022-04-28 09:50:27 | 日記

さてタキオンレーダーとタキオン通信機を登場させましょう。

タキオンのスピード設定ダイヤルはとりあえず光速の100倍でいいでしょう。

まずはO君の立場で状況を確認します。

時計リスタート15日経過した所でタキオンレーダーとタキオン通信機でR君に「元気かい?」と呼びかけます。15日経過ですから光速の50%で進行中のR号機はO君から7.5光日の距離にいます。(時計リスタート時点ではR号機とO君との距離は15光日でした。)

それでO君発のタキオンレーダー波とタキオン音声波は送信から0.075日経過した所でR号機に届きます。(本当はもう少し前に届くのですが、ここはネグっときます。)0.075日経過でR号機は0.035光日分、さらにO君に近づきます。このときO君とR君の距離は残り7.465光日になっています。O君から出たタキオン波は0.075日経過で7.5光日分、R君に近づきますので、実は0.075日経過するより前にタキオン波はR君に届いていますが、そこはR君に時間調整、少し待ってもらいます。

R号機に届いたタキオンレーダー波はR号機の内部時間には関係なく機体の外壁で反射されO君に戻り始めます。 7.465光日分先で反射したタキオンレーダー波は0.07465日後にO君に届きます。従ってO君はタキオンレーダー波の戻りを15日+0.075日+0.07465日=15.14965日に確認する事になります。(タキオンレーダー波は行きと返りは同等時間のはずですが、タキオンレーダーにも少し時間調整してもらいました。)

15日に発信した情報は15.14965日に受信されました。この場合「情報は過去には戻らず」、「因果律は安泰」であります。



さてつぎは「タキオン通信を使えば過去に情報を送れる(場合がある)」と主張する方々の計算手順に従います。

O君の立場では上記で示した様に15日に発信したタキオン波が15.075日にR号機に届く事になります。(ここまでは上記といっしょです)

それでこの時、O君から見れば「R号機の時計は13.05232日経過」となります。R号機は光速の50%で近づいてきていますから、R号機の内部時間は遅れるのです。

https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228694 :物体の時間 T0 に13.05232をセット。相対速度は毎秒15万キロで計算ボタンをポチる。答えは15.07500。

つまりO君経過時間15.075日はR君経過時間では13.05232日となるのです。

ここで観察主体をO君からR君に変更します。これがこの計算手順のポイントです。

そうするとR君は「近づいてくるO君が当初距離の半分に到達した所で情報を発信した」と見るでしょう。そうしてその情報が自分に届いたのは13.052322日だ、と確認します。

さて、即座に反射されるタキオンレーダー波と少し遅れて返信されるのは「元気だよ!」のタキオン音声波です。

それでこの時R君はO号機との距離を最初の計算で示した「残り7.465光日」と見るのではなく、ローレンツ短縮がかかりその分短く「6.46339光日」と見ます。

https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228696 : 静止時の長さ L0に7.465をセットし相対速度は毎秒15万キロで計算ボタンをポチる。答えは6.46339。

6.46339光日を光速の100倍でタキオン波が走りますから、返信のタキオン波は0.06434日でO号機に届きます。

従ってR君の時計では13.052322日+0.06434日=13.11666日にO号機に情報が戻った事になります。

さてここで「動いているのはO号機だ」とR君は見ますから、当然O号機の内部時間はR君時間よりも遅れます。

https://keisan.casio.jp/exec/system/1161228694 :物体の時間 T0 に11.35675をセット。相対速度は毎秒15万キロで計算ボタンをポチる。答えは13.11667。

こうしてR君は「O君から送られてきた情報がO号機に戻ったのは、O号機の内部時間で11.35675日である」と確認するのでした。

これが「特殊相対論を使いながら、かつ計算途中で観察主体を切り替えて計算する手順を使った結果」です。



さて、一貫してO君の立場で見た場合は15日に発信した情報は15.14965日にO君に戻るのでした。

しかしながら信号がR君に届いた時点で観察主体をR君に変更しますと、O号機にもどる信号はO号機の時計で11.35675日になります。

そうしてこれが「タキオン通信では情報を過去に送る事ができる(場合がある)」と主張する立場の人たちが行う「特殊相対論を使った計算手順の結果」であり、こうして無事(?)に「因果律の破れ」が確認できました。



しかしながらこのように恣意的なやり方、「双子のパラドックスで示した片方の計算方法のみに基づいて」「タキオンによる通信は因果律を破壊する」と決めてしまうのは「あまり公平な結論とはいえない」のであります。

くわえて「そのように恣意的な計算手順による」にもかかわらず多くの方がそのような結果を受け入れ、「それゆえにタキオンは存在しない」と言います。

あるいは「超光速通信は因果律を破壊するゆえに存在しない」と言います。

これは相対論が「情報=エネルギーの伝達速度の上限は光速である」という様に主張している様に見える事によるものと思われます。

しかし相対論は「光の速度はどの慣性系で測定しても毎秒30万キロメートルである」と言っているにすぎないのです。



さてそういう訳で「個人的な感想」を言わせていただくならば「2番目の計算手順は相当に恣意的」であり「それによる計算結果は現実的でなく、宇宙はつねに最初の計算結果を支持するであろう」という事になります。

そうであれば「超光速通信が存在しても因果律は壊れない」と思われます。

従って「タキオンが存在」し「タキオン通信機が出来ても因果律は破られず」それゆえに「安心してタキオン通信機は使える」あるいは「エンタングル通信は使える」という事になります。

そうしてそのような状況になっても「誰も困らない」、「ただ単に光通信より早い通信手段を手に入れた」という事にすぎない様に思われます。


・・・しかしながらそのような当方のコメントは鳳凰院凶真クンには受け入れがたく「残念な見方である」と言われてしまいそうではあります。



追記:上記の設定条件ではタキオン速度を光速の100倍から1000倍に持ち上げても「あまり過去への戻り分は増えず」「15日に出した信号を11日すぎに戻す」あたりがこの場合の限界かと思われます。



追伸:いろいろな方がいろいろな前提で同じような「超光速通信についての計算結果」をネット上で公表されています。

それで、ほぼ当方の前提条件と同じ状況での計算結果を見つけました。但しロケットの進行方向は当方の前提とは逆向きですが、「これがこの問題に対する従来から行われている設定の仕方」となります。

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ご参考までに。

PS:相対論の事など 記事一覧


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