《ビトロス8世の日記4-王子との出会い-》
昼寝から覚め、重い気持ちで身体をひきずりながら示された家に
向かったのは陽もとっぷり暮れた夜8時過ぎだった。
通行人に場所を聞くわけにもいかず、番地標識をたよりに目的の
家を探し当てた時にはもう夜もふけていた。
その家は居間にぽっと明かりがついていた。
連絡書によると対象は子供なのでとっくに寝ている時間である。
2階に子供部屋らしき部屋を見つけ中をのぞいてみた。
寝姿だけをおがんで帰ろうと思ったのだ。
その時である。背後から突然声がした。
「おい、なにのぞいてんだ」
振り返ると人らしき黒影がある。
「犬」の振りをしてやり過ごそうとしているとその声はさらに続いた。
「お前さん、もしかして新しい担当かい」
「神の都合がつかないとは聞いたが、代理に犬をよこすたなあ。
よっぽど隊員不足なんだな。しかたねえ。まあ今日は初対面だ
からな、こっちきて一杯飲めや」
雲が去って月光に照らしだされた屋根の上には右手に缶ビール、
左手にたばこを持った小学生がいた。
「で、お前さんどこに住んでるの」
久しぶりの酒でうつろになった私はなかなか返事ができないでいた。
もじもじしている私の肩をその子がポンと触った。
私は返す言葉をやっとのことで絞り出した。
「み、み、み、南烏山です。あれっ、喋ってる。」
テレパスで答えようとしてたら、急に言葉が喋れるようになってびっくり。
きょとんとしている私をその子がにっこり笑って見ていた。
(初稿2007-02-24 14:46:07)
昼寝から覚め、重い気持ちで身体をひきずりながら示された家に
向かったのは陽もとっぷり暮れた夜8時過ぎだった。
通行人に場所を聞くわけにもいかず、番地標識をたよりに目的の
家を探し当てた時にはもう夜もふけていた。
その家は居間にぽっと明かりがついていた。
連絡書によると対象は子供なのでとっくに寝ている時間である。
2階に子供部屋らしき部屋を見つけ中をのぞいてみた。
寝姿だけをおがんで帰ろうと思ったのだ。
その時である。背後から突然声がした。
「おい、なにのぞいてんだ」
振り返ると人らしき黒影がある。
「犬」の振りをしてやり過ごそうとしているとその声はさらに続いた。
「お前さん、もしかして新しい担当かい」
「神の都合がつかないとは聞いたが、代理に犬をよこすたなあ。
よっぽど隊員不足なんだな。しかたねえ。まあ今日は初対面だ
からな、こっちきて一杯飲めや」
雲が去って月光に照らしだされた屋根の上には右手に缶ビール、
左手にたばこを持った小学生がいた。
「で、お前さんどこに住んでるの」
久しぶりの酒でうつろになった私はなかなか返事ができないでいた。
もじもじしている私の肩をその子がポンと触った。
私は返す言葉をやっとのことで絞り出した。
「み、み、み、南烏山です。あれっ、喋ってる。」
テレパスで答えようとしてたら、急に言葉が喋れるようになってびっくり。
きょとんとしている私をその子がにっこり笑って見ていた。
(初稿2007-02-24 14:46:07)