金沢発 あれやこれや

-ヒントをくれる存在に感謝しつつ物語をすすめます-

地球防衛軍出動

2008-02-23 01:25:13 | 燃えだす人
異形の者達は北米を代表する自然神であった。
長老神が王子に近寄ってきて言った。

「この地で再び地球防衛軍の出動式が行われることは
光栄であるとともにまことにめでたい。お祝い申し上げます。
皆獅子奮迅の働きをする覚悟です。」
「ひさびさとはいえ、いざ出動を迎えると前回の事が思い出され
て感慨深い。」王子は犬の姿で背のびしながら答えた。
「地球の神が、薬師如来様が太陽系守護のためにたてた誓願
に感激して協力を誓い、始まった軍隊です。
そこで役割を果たすことはこのうえない喜びです。」
「そうなんだなあ。軍参加は義務をとうに超え、己の存在
証明に等しい。だからみなめらめらと燃えるんだ。」
「封印がとかれ薬師様が地球にもたらした時の姿に戻った虫と
合体してちからを100%開放しているときは、太陽系創造時、
地球がまだ熱かったときに開拓のために忙しく働いていた
時代を思い出します。」

カノンは祈りの座にすわり、地球をとりまく諸仏、
とりわけ東方の薬師如来と脇侍の日光、月光菩薩と
の交信を高めていた。
その周囲を集まってきた神々が囲む。その数はどんどん
増えていき草原を埋め尽くすかと思われるほどとなった。

しばらくしてのちカノンは皆に伝えた。
「十二神将が地球をとり囲む所定位置に鎮座し、東方との
 パワーリンクが完成して薬師如来の力が満ちるまであと
 6時間はかかる。
 さきの思惟にて、地上および地球近辺に潜む
 敵宇宙船とおぼしき存在を確認した。各大陸および
 各大洋の地球軍は今から示す座標のまわりに集まり
 待機せよ。
 王子よ、虫たちの覚醒までまだ時がある。シスコの
 下街にある今からいう店を調べるのだ。何か情報が
 得られるかもしれない。」
「わかりました。地球防衛隊地上部隊の精鋭と地球北米
 空軍の虫たちをつれて行きます。」

王子は長老神に声をかけた。
「ここはは地球防衛軍の指令塔となります。
 情報担当としてかけつける神々の面倒を頼みます。」
「王子様、ここの守りは北米の衆におまかせください。」

王子は太陽の照りつける街頭へ向かった。





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侵略の足音

2008-02-06 00:17:49 | 燃えだす人
「ここに被害が及ぶとは予想もしてなかった。」
さきほどの惨状の説明を聞き、王子は大きく息をついた。

王子は世界各地で人が突然燃える事件が相次いで発生しており、
未知の奇病への不安が広まっていること。その病気が人伝いに
伝染するうわさがでて社会が混乱して営みが崩壊しかかっている
こと。この都市で事件発生が続いており、真相を探るために
地球防衛隊地上チームを出動させていたことを話した。

するとそこにカノンが姿を現わして言った。

「地球王子よ。地球防衛軍代表のそなたの周囲は、
目に見えないサイズの虫が常に警護している。
眼前の灰について虫たちの声に耳を傾けてみなさい。」

王子は虫に灰を調べてもらった。

「カノン様。虫たちは、灰に混じってカノン様が無力化した
ナノマシン以外には特に異常は無いと言っています。」
「ナノマシンは侵略者が行動情報の送信と発火装置として植えつけた
もの。それ以外には地球外の物質は残っていない。」 
「身体を石炭のように変えた物質が消えたということですか。」
「遺伝子を書き換えて細胞の質を変える遺伝子操作ウィルスが
使われたと考えるのが自然だ。王子よ、この街のどこか
人が行きかう場所に怪しい建物がないか調べてみるのだ。」

「カノン様わかりました。世界的な規模で地球外からの侵略が
明らかになった今、防衛隊だけでは対処は困難でしょう。
地球防衛軍の出動をお願いします。」
「うむ。そうしよう。」

カノンがそう言った瞬間、草原の大地が震えた。

四方からは、歓喜の声とも野獣の叫びともとれるうなりが聞こえてきた。
しばらくすると異形のものがひとりまたひとりとそれぞれの
方角から集まってきた。





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