ぼちぼち歩く旧山陽道

旧山陽道を歩いて制覇する記録です。

山陽道(西国)第62回目(三石~有年)

2019-02-02 | 日記

山陽道(西国)第62回目(三石~有年)

2018.10.22(月曜日)晴れ

前回歩いたのが5月、約半年ぶりの山陽道になる。今年の夏は、7月の西日本豪雨災害、9月の北海道地震、度重なる台風の襲来など大変な災害に見舞われた。特に倉敷市の真備町は2年前に歩いた所でよけいに心が痛む。いつもの電車と新幹線を乗り継いで、10時に三石駅に到着。身支度を整えて15分後にスタート。駅の石段を下り左折、橋の手前に戻り右の道へ。7分位歩いて船坂川に架かる亀甲橋を渡る。「これって亀の甲に見える?」と言いながら、二股の道を左に行く。少し行くと左手に「深谷瀧道」と書かれた明治十四年の道標がある。そこから10分行くとJR山陽本線の第一船坂踏切(通称かまぼこ型踏切)。渡るとすぐ先の国道2号と合流する。

                     

    亀の甲にみえます?          深谷瀧道の道標      何所が「かまぼこ型?」    

国道の「相生22km 姫路43㎞ 神戸105km」と書かれた道標を見て、15分程行く。道は「自転車・歩行者専用道」の標識の先で分かれ、左を行く。これが船坂峠の道だ。峠を10分程登ると、左側に「船坂山義擧之跡」碑がある。「元弘2 (1332)後醍醐天皇が隠岐に配流される途中、備前の武将児島高徳は、ここで待ち伏せしてこれを奪おうとしたが果たせなかった。・・」と書かれてある。その先に「雲水の井戸」と石碑があり、側に井戸らしきものもあった。

                    

相生22キロ、姫路43キロ      「船坂山義擧之跡」の碑      「雲水の井戸」

その先左手に「縣界 東宮殿下行啓祈念 岡山縣」と書かれた県境碑がある。ここから先は兵庫県になる。岡山県は前回の三石までが91.1km。本日が2.5kmだから合計で93.6kmということになる。兵庫県側の船坂峠を下っていると、道路標示に勾配を表す最高「9%」の表示が見られる。これは兵庫県側から来たら大変な坂道だ。船坂峠の頂上から約30分、梨ヶ原国道踏切を渡り国道と合流するが、すぐに左手の旧道に入る。旧道に入ってすぐ左手に民家のような梨ヶ原大師堂がある。軒下に「本尊不動明王」と書かれていた。(見落とすとこだった)

                       

県境碑          「勾配が9%だって」        梨ヶ原大師堂

大師堂から4分、左手に大きな「明治天皇駐輦之碑」が建つ。陸軍大将田中儀一書とある。その先左側に「梨ヶ原一里塚跡」がある。十数年前一歩さんが歩いた時はなかったのでそれ以降に立ったようだ。5~6分行くと左に船坂神社の常夜燈があり、その奥に神社の鳥居が見える。

                       

明治天皇駐蓮輦之碑        梨ヶ原一里塚跡           船坂神社の鳥居

ここで丁度12時になる。今日は船坂峠と有年峠の2つの峠越えをするし、梨ヶ原付近は食堂がないので、事前に「むすび」を買っていた。応神前橋の手前「梨ヶ原健康広場」で昼食休憩。腰掛とトイレ・水道があって助かった。                                12時35分再出発。 橋を渡り、5分歩くと右手に「梨ヶ原宿遺跡」の看板がある。その先小さな道の十字路を右折する。道標があるので有年の道は迷わないで行ける。

                       

 梨ヶ原健康広場       梨ヶ原宿遺跡        道標と「俺の道ニャン」の猫

国道2号を横切り、道なりに行くと有年峠だ。私たちが目指す西宮までの最後の難関と思われる峠なのだ。今までの難関は、山口県の岩国から広島県の大竹に抜ける「苦の坂」と、広島県の西條から湯坂温泉に抜ける松子山峠だ。いずれも道に迷い、大変苦労をした。今回有年峠を越えるため、いろいろ資料を探したが4~5年前のものしか探せなかった。それによると、「道は随分整備されている。」と書かれてあった。しかし、問題は今年の西日本豪雨災害だ。有年峠の看板の先、右手に地蔵尊がある。そこから5分で入口ゲート(12時56分) に着く。最初は割と整備された道で、ゴルフボールがいくつもころがっているのを見つけて騒いでいた。20分位行くと、雨のためか道は削られ倒木があり、2本~3本と道が別れて迷いそうになった。その都度4人で相談をして進んで行く。(1人なら、絶対に迷っていただろう)30分程過ぎて整備された道を発見する。しばらく行くと、右側に坂折池が見えてきた。出口ゲートを通過したのが14時20分。有年峠の入口ゲートから出口ゲートまで2.5kmあるが、1時間20分で歩いた事になる。

     

峠入口の案内板    右手にお地蔵様    入口ゲート    「あっゴルフボール」

     

             大変な峠の道       右手に坂折池が・・  出口ゲート     

出口ゲートから右手に坂折池を見る。道なりに上組集落を歩いていると、地元の人に「有年峠を越えたの、猪に出会わなかったかね?」と声をかけられた。右手に火の見櫓がある。長谷川を上組橋で渡って行くと、右手の田圃の中に白い標柱の一里塚跡がある。「東有年横尾からここまでが一里で、現在ではこの塚跡を塚の元と呼ぶ。」と書かれてある。

                       

 坂折池            火の見櫓            一里塚跡

その先、左側の墓場の前に石造宝篋印塔(せきぞうほうきょういんとう)がある。14世紀末~15世紀初頭の作と推定され、赤穂市の指定文化財になっているらしい。少し先二股の道を右に進む。右手の金網の奥に「西有年向山五輪塔」が安置されている。五輪塔は一般的には供養塔だが、往来者の安全などを願って建てられたものだそうだ。これも14世紀の作と推定され、赤穂市指定文化財となっている。

                       

  石造宝篋印塔           右側の細い道を行く        西有年向山五輪塔   

国道筋のコンビニで小休止した後15時15分再出発。国道を横切り西中野集落に入る。左側に大避(おおざけ)神社があり、赤穂義士の絵馬が奉納されている。狛犬は備前焼だ。神社から5分、左手畑の前に「西有年・宮東遺産」と書かれた白い標柱がある。平安時代末から鎌倉時代頃の掘立柱建物跡が多数見つかったと書かれている。長谷川を中野橋で渡り有年小学校の方向に行く。小学校の西側の畑の中に「西有年・堂場ヶ市遺跡」と書かれた標柱がある。ここは室町時代の建物跡が多く見つかったらしい。

                       

      大避神社      「西有年・宮東遺産」の標柱    「西有年・堂場ヶ市遺跡」の柱     

道なりに小学校から5分程度歩くと右手に5基の石塔群があり、名号石や一石五輪塔も見られる。市立有年幼稚園のあたりに地蔵立像があるはずだが、見当たらない。地元の人に聞くと「あれは光明寺さんに移されました。」との事。幼稚園の前の道を通り、光明寺の前で右に折れて行く。この附近が片山集落だ。この集落の中ほど、左手に有年(ありとし)家がある。大きな白壁と見事な長屋門が目を引く。説明板には「有年家は大庄屋を務めた家柄で、赤穂市に残存する長屋門は大石良雄宅、近藤源八宅とここの三軒しかなく、赤穂市指定文化財になっている。」と書かれてある。その先、国道2号線の手前、左手に八幡神社がある。入口に「明治天皇聖徳碑」がある。鳥居は「延亨元年甲子年(1744)のものだ。」と書かれてある。神社は山の上にある。巨大な木製の灯台があり、千種川を航行する高瀬舟のために設けられたもので、川の灯台は珍しいと聞くが、先日の豪雨で上は通行止めになっていた。

                       

5基の石塔群         有年(ありとし)家        八幡神社の鳥居  

東有年の信号機で国道2号を横切り少し南下し、直ぐ左折する。ここが旧有年宿だ。1~2分歩くと左手に東有年自治会館があり、そこに有年宿と八幡神社の灯台の説明版がある。その側に「有年宿番所跡(旧松下家宅跡)」の標柱がある。街道の中央付近、右手の有年中学校の北側(住宅の裏側)に「明治天皇駐輦之碑」と「有年宿本陣跡(旧柳原家宅)」の標柱があるはずだが、住宅が建ち並びなかなか発見できない。一人で住宅の裏手に回り有年中学校附近を捜して、やっと見つけた。

                           

有年宿の説明板          有年宿番所跡         この先国道と合流              

その先、東有年出口付近に「有年村役場跡」の標柱があった。街道はその先で国道と合流する。千種(ちくさ)川を有年橋で渡り、200m先の矢野川を渡る。矢野川を渡ると右の水路の向うに池魚塚が見える。池の魚を売って道路改修費にあてたので、魚への感謝と供養の塚らしい。隣には地蔵立像がある。

                       

有年村役場跡          千種川を渡る         池魚塚と地蔵立像 

池魚塚から国道を5分程度歩くと、「赤穂市有年横尾」と書かれた歩道橋がある。歩道橋の反対側に昭和3年の道標がある。「御大典記念」「右上群鳥取道」「左岡山廣嶋道」と書かれてある。その歩道橋の所にある旧道を右に折れ5~6分行くと左手に有年駅がある。有年駅に到着が17時過ぎ。今日は有年峠の石ころ道のせいか、万歩計では17km、良く歩きました。

                       

有年横尾の歩道橋       歩道橋の側の道標               有年駅      

 

今日のコースは14.5 km (岡山県の計93.6 km 兵庫県12km 総計435.1km)