若旦那は筆ペンを書き書きしている。
芸能人のサインのように名前を絵画すべく
試行錯誤を繰り返しスケッチブックに書きつけていた。
なぜそんなことをするようになったか。
それは一通の手紙から始まった。
薄ピンクの封筒を郵便屋さんが届けてくれた。
表には筆ペンで住所と若旦那の名前が書いてあった。
裏には男女それぞれの名前と住所が書いてあり
「INVITATION]と書かれたシールで封がしてあった。
ペーパーナイフを取り出し
中身を切らないよう慎重に封をあけてみると、
1枚の招待状とピンク、ブルー、グリーン3枚の紙が入っていた。
結婚式の招待状だ。
ブルーには式の集合時間が
グリーンにはバスのご案内が
そしてピンクには
「誠に恐れ入りますが当日一言ご挨拶を賜りますよう
よろしくお願い致します」とあり
裏に小さく「当」と書いてあった。
どうやらもれなくスピーチが当たったらしい。
結婚式のスピーチ。
若旦那ともなればスピーチくらいできなくてどうする。
おおいに引き受けようと思ったところで気がついた。
結婚式に出るには受付があって、そこに記帳しなくてはならん。
ご祝儀にも名前や金額を書かねばならん。それも筆で。
準四級の若旦那がガチャガチャとした調和のない
歪んだ字で名前を書くわけにはまいらん。
恥ずかしいじゃないか。みっともないじゃないか。
受付の人にクスクス笑われたらかっこ悪いじゃないか。
そういうわけで近くの文房具屋で筆ペンを購入し
スケッチブックに練習してみたけれど楷書は奇麗に書けない。
手が震えて線も震えて情けないありさま。
これはいかん。こうなりゃ!と
さささささささささっささと一気に筆を運んだらこりゃ不思議。
かっこいい行書風の字が書けて嬉しくなって
もう少し口を大きくしてみよう、とか
この線は左に大きくはみ出して、とか
さくさくさくさくさくさくさくさく
さくさくさくさくさくさくさくさくとやっていたら
楽しくなってエスカレートしたらサインの練習になっていたというわけ。
記帳にサインで書いたら叱られるかしらん。
芸能人のサインのように名前を絵画すべく
試行錯誤を繰り返しスケッチブックに書きつけていた。
なぜそんなことをするようになったか。
それは一通の手紙から始まった。
薄ピンクの封筒を郵便屋さんが届けてくれた。
表には筆ペンで住所と若旦那の名前が書いてあった。
裏には男女それぞれの名前と住所が書いてあり
「INVITATION]と書かれたシールで封がしてあった。
ペーパーナイフを取り出し
中身を切らないよう慎重に封をあけてみると、
1枚の招待状とピンク、ブルー、グリーン3枚の紙が入っていた。
結婚式の招待状だ。
ブルーには式の集合時間が
グリーンにはバスのご案内が
そしてピンクには
「誠に恐れ入りますが当日一言ご挨拶を賜りますよう
よろしくお願い致します」とあり
裏に小さく「当」と書いてあった。
どうやらもれなくスピーチが当たったらしい。
結婚式のスピーチ。
若旦那ともなればスピーチくらいできなくてどうする。
おおいに引き受けようと思ったところで気がついた。
結婚式に出るには受付があって、そこに記帳しなくてはならん。
ご祝儀にも名前や金額を書かねばならん。それも筆で。
準四級の若旦那がガチャガチャとした調和のない
歪んだ字で名前を書くわけにはまいらん。
恥ずかしいじゃないか。みっともないじゃないか。
受付の人にクスクス笑われたらかっこ悪いじゃないか。
そういうわけで近くの文房具屋で筆ペンを購入し
スケッチブックに練習してみたけれど楷書は奇麗に書けない。
手が震えて線も震えて情けないありさま。
これはいかん。こうなりゃ!と
さささささささささっささと一気に筆を運んだらこりゃ不思議。
かっこいい行書風の字が書けて嬉しくなって
もう少し口を大きくしてみよう、とか
この線は左に大きくはみ出して、とか
さくさくさくさくさくさくさくさく
さくさくさくさくさくさくさくさくとやっていたら
楽しくなってエスカレートしたらサインの練習になっていたというわけ。
記帳にサインで書いたら叱られるかしらん。