家具の学校

『家具の学校』から始まったモノづくり
現在は、ダニエル元町本店にてワークショップ体験をご案内

上級特派員便り2011年10月15日

2011年10月18日 | Weblog
今週も引き続きキャビネットの製作。
本日の作業は、扉の框組のほぞ穴加工(角のみ盤)、裏桟、帆立柱の合板を嵌め込む溝彫り(昇降盤)、扉框の内側にはめ込む鏡板用の溝彫り(スピンドル)。
扉框のほぞ穴は、留めがあるので加工位置に精度を要す。試し彫りして穴位置を決める。
框組の鏡板のように内部にはめ込む場合は、鏡板の延び縮みを考慮して溝深さを決める。材の延び、または縮みは、繊維と直角方向の方が繊維方向より、それが大きいことに留意。
裏桟の合板用溝彫りと、扉の框は、組んだ後に溝が外部から見えないように彫るため、昇降盤の刃、スピンドルのビットに材を途中から入れて途中で抜く。この加工は、途中から入れるときに材がはねられることがあるので、慎重にゆっくり入れることが肝要。

本日でほぞ穴加工がすべて終わったところで、角のみ盤について、加工時の注意事項、ポイントなどを復習しよう。
角のみ盤は、手工具のノミに比べ、穴あけ作業が能率的に、かつ正確に角穴をあけることができる加工機で、箱のみの中に錐(ドリル)が入っており、押し込みレバーを押し下げて、ドリルで丸い穴をあけ、その周りの残った角の部分を箱のみで同時に削っていく、見たところボール盤のような機械である。
作業途中で、角のみの錐の切削が悪くなり、正野先生が、錐先端のけづめ部分を金工やすりで磨いた。なるほど、こんな方法があるのですね。
角のみのサイズは、(メーカーに依って違うのかもしれないが)何種類か決まっており、ほぞを先に加工するか、ほぞ穴を先に加工するか、どちらでも良いが、当然のことながら、ほぞ寸法は角のみの箱のみのサイズに委ねられる。

加工に当たっては、留意点として次のことを習った。
1. 材料押さえで加工材をしっかり固定する。固定には当て木をする。その際、加工材がテーブルから浮いていないことに留意する。また、ストッパーにきちんと当てる。
2. 箱のみの辺が、ほぞ穴に対して一直線になっていることに留意。
3. ほぞ幅の両端から彫り始める。ほぞの中心から彫り始め、両端を最後に彫ると、のみが垂直に入らず内側に曲がってしまうことがある。ほぞ穴の一方が開いているほぞ(ほぞ先接ぎのほぞなど)は、その反対側から彫り始める。
4. 穴開けは、力を込めて一気に彫るのではなく、無理なく徐々に開ける。一気に激しく押し込むと、切りくずの排出が悪く、角のみに焼けが生じる。
5. ほぞ穴深さは、ボンドの逃げのためほぞ高さより3mmほど深く彫る。加工後、ほぞ穴の底が、ほぞ高さに対して十分な深さであることを確認し、必要に応じて手のみで彫る。特にほぞ穴の角。
と、こんなところでしょうか。まだあったかもしれないが筆者の記憶ではこんなところ。

今日の(すっかり恒例となった)佐宗おやつは、ブルーべリーのトッピングのチーズケーキ。
レモンの酸味と甘みが適度に融合し、チーズの香り豊かでこくがあり、まさに絶品(本人の弁)。
たしかに、旨い。

写真1: 角のみ盤で、扉框留め部分のほぞ穴加工

写真2: 角のみ盤の錐先端、けづめの研磨」

写真3: 帆立柱の溝彫り加工
  
写真4: スピンドル加工機

写真5: 本日のおやつ


『お道具拝見コーナー』その2(三枝氏投稿)
今回は玄翁の紹介
写真6の玄翁、左は佐宗先生の物で銘は馬場正行、右は上級生S氏の物で、銘は無く浅草水平屋で入手した物。 
どちらも似た様に見えるが、左の正行玄翁は付け鋼と言って、軟鉄の胴に打面だけ鋼を鍛接した物である。 右は鋼材を鍛造して焼入れし、頭を磨いてそれらしく見せた物。
その違いは、強く打撃したときに、その衝撃が手に柔らかく伝わるか強く伝わるかの違いらしい。 詰まり良い物は 打撃の振動が軟鉄部分に吸収されて手にその反動が来ない。 従って長く使い続けても、疲れ難いと言われている。

玄翁の柄を挿げる時、楔(くさび)を使うかどうかも意見の分れる所であるらしいが、この写真の玄翁は何れも楔を使っている。 格好を付けて楔無しで柄を挿げて、もし頭が抜けて他人に怪我させる心配が有るなら、迷わず楔は入れた方が良いと思う。

玄翁は実用的には 安物で十分用が足せる道具だが、其処にお金をかけ、名の有る鍛冶の名品を求め、柄を挿げて、自分の使い易い様に仕立て、ここ一発の大事な仕事にその玄翁を振るって道具を調整し 穴を掘り、組立を行う。 玄翁は所有者の、道具に対する実用以上のこだわりを示す大事な看板道具かもしれない。 頭を錆びさせない様に、時々砥石の粉で胴を磨き、打面も砥石で研いで鏡面とし置く事が手入れのコツと思う。

写真6: 玄能

文責・編集  堀江

コメント
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