鏡海亭 Kagami-Tei  ウェブ小説黎明期から続く、生きた化石?

孤独と絆、感傷と熱き血の幻想小説 A L P H E L I O N(アルフェリオン)

生成AIのHolara、ChatGPTと画像を合作しています。

第59話「北方の王者」(その1)更新! 2024/08/29

 

拓きたい未来を夢見ているのなら、ここで想いの力を見せてみよ、

ルキアン、いまだ咲かぬ銀のいばら!

小説目次 最新(第59)話 あらすじ 登場人物 15分で分かるアルフェリオン

最新話プロローグの方向性、試案?

こ、これは……。もしや、本ブログの連載小説『アルフェリオン』の最新話・第59話のプロローグ部分のイメージイラストですか!? 画像の生成時にChatGPTさんにお願いしたモノクロの鉛筆画風のタッチも、なかなか味わい深いです。

第59話から始まる新章「ミルファーン編」、そのミルファーン王国に主人公ルキアンがそもそも向かうことになったのは、彼にとって、上掲の画像の女性・シェフィーアさんしかもはや頼れる人がいなくなった(彼の主観的に)ためでした。

そして「君は、なぜいばらに棘があると思う?」というのは、第34話において、シェフィーアがルキアンに告げたセリフです。彼女が語ったのは、ミルファーンに伝わる「いばら」の伝説でした。シェフィーアさんは、当時、「シェリル」という偽名で脇役っぽく登場していましたが……。

第59話の冒頭に置かれる予定の題辞(エピグラフ)は、その「いばら」の伝説から引用した一節にしようと思っています。

イメージとしては、こんな感じです。

「やぁ、私がシェフィーア。遠くない未来に、この物語のヒロインになる者だ」

「第59話は、もはや私の独壇場というところだな。ほれ、こんな画像もあるのだ」

このセリフは、第53話の中で実際にルキアンが語ったものだ。ちなみに「会いたい人」というのは、当然、私のことだが。この物語の真のヒロインが誰なのか、確定した瞬間(笑)といえるだろう(作者注: 違います)。

第34、35話あたり、ミトーニアでの戦いにおいてルキアンは私に色々と借りを作ったからな。

 

「ちなみにボツ画像として、こんなのもあるぞ」

「ちなみに第34話で私が語った《いばら》の伝説の部分を、以下に引用しておこう。少し長くなるが……」

 

シェリルはしばらく言葉を返さなかった。そして意外な問いを投げかける。
 ――君は、なぜ荊(いばら)に刺があると思う?
 唐突な質問に面食らうルキアン。
 ――ミルファーンに、こういうおとぎ話がある。君はオーリウムの人間だから聞いたことはないかもしれないが……。
 入り江にひたひたと打ち寄せる波のように、静かに、淡々と、ルキアンの胸にシェリルの思念が伝わってくる。
 ――世界に人間が現れるよりも昔、生きとし生けるものすべて、草や木にまでも心があったという。そこに《いばら》がいた。その頃のいばらには、まだ刺がなかった。いばらは優しく強い心の持ち主だった。だから自分と同じような他の草木が獣に踏みつけられたり食べられたりして、いつも泣いているのを、黙って見ていられなかった。そこである日、いばらは神に願ったという。

  私に《とげ》をください。
  私を踏みつけ、むしり取ってゆく獣たちが、
  それと引き替えに刺されて痛みを知ることになれば、
  獣は草木にも鋭い爪があるのだと怖れ、
  木々や花たちに簡単には手を出さなくなるでしょう。
  それができるなら、私はどんなに傷ついてもかまいません。
  他の草木がもう辛い思いをしなくて済むのなら。

 シェリルは尋ねる。
 ――こんな夢物語と同じようなことを、現実の中で行おうとでもいうのか。ならば覚悟はあるか? 他の者の痛みを代わりに己の身に受け、自らの血と敵の血にまみれた、孤独で傷だらけの荊の戦士になる覚悟が。
 さらに彼女は念を押すように言う。ルキアンに対して賞賛も呆れも、肯定も否定も感じさせない、とても気持ちの読み取りにくい透明な心の声で。
 ――敵に傷つけられ、敵を傷つけることでますます傷ついてゆくのは君だ。疲れ果てた君が、結局、現実の中では英雄でもなんでもない、ただのお人好しにしかなり得なかったとしても……それでも戦うか?
 ――でも、あの……。
 ルキアンは彼女の話を遠慮がちに遮った。
 ――人のためとか、自己犠牲とか、英雄的な振る舞いだとか、多分そんなんじゃなくって……。単に《自分自身がそうしたいから》なのかもしれません。《いばら》だって本当はそうだったんじゃないでしょうか。平気で他人を力で踏みにじる、身勝手な人や狡い人ばかりが大きな顔をし、穏やかに暮らしている人がどこまでいっても割を食うような……そんな世の中を目の前にして、そういう状況を一番見ていられないのが僕自身だから、というだけかもしれません。
 この間の様々な事件が、ルキアンの脳裏に浮かんでは消える。師のカルバが《神帝》ゼノフォスのバンネスクに対する攻撃によって行方不明になり、ルキアンたちの住んでいた彼の研究所も何者かに破壊され、みんな散り散りになってしまった。ルキアンを暖かく迎えてくれたシャノンやその母・弟も、理不尽にならず者たちの犠牲になった。そしてルキアンが知った旧世界のことも――光に満ちた《天上界》の影で、あの《塔》の残虐な人体実験に送られた人々、衛星軌道上から降り注ぐ破壊の光によって命を奪われていった《地上界》の人たち。
 彼の脳裏に浮かんでは消える生々しい記憶が、言葉にならぬイメージのまま、シェリルの心に突き刺さる。
 嘆きながらも、ルキアンは断固としていった。
 ――そういうの、黙って見ているだけなんて、もう嫌だと思ったんです。もっと、こんなふうに世の中が変わっていけばいいなって、僕にも夢ができた。だから戦うんです。

  《優しい人が優しいままで笑っていられる世界のために。》

 ――そうか。そんな大それた考えが出てくるとは思っていなかったが。夢想ばかりしているようでいて、《拓きたい未来》があるのか、君にも。
 シェリルは仕方なさそうに心の中でつぶやく。
 ――やれやれ。私も甘い。

 

「以上の《いばら》の伝説をChatGPTさんに画像化してもらったぞ」

「なかなかに味わい深い。おとぎ話に見合った絵柄になっている点もポイントだ。ChatGPT、良い仕事をしてくれる」

「では最後に、第59話の最新広報画像をもうひとつ、挙げておくのだ」

 

「どうだろうか。ダークファンタジーの雰囲気に満ち満ちているぞ。待ち遠しいな。第59話……。おや?」

「申し訳ありません、読者様方。我が主君がまた例によってけしからんことを……」


「れ、レイシア……ではないか(汗)」

 


「何をしているのですか、シェフィーア様! またヒロインのふりをして、いつもいつも、本当にけしからん人ですね」(レイシアに無理やり連れていかれるシェフィーア)。

「こんな調子ですが、第59話、乞う……御期待」

「鏡海さんに代わって、最後にご挨拶を。本日も鏡海亭にお越しいただき、ありがとうございました! 次回もお待ちしております」

ではまた。

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