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2004年5月 弘前出発からリンゴジュースまで

2004-05-30 17:54:03 | 津軽三味線
2004年05月01日(土)
20040501
明日、弘前に向けて出発いたします。
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この日に向けてアドバイスくれたヤギちゃん、合奏屋さん、それと先生、ありがとうございました。
はまじ、行ってまいります。
与えられた2分半に一生懸命、心を集中させて弾きたいと思います。
よっしゃあ行くぞ、おー。
終わったら十三湖のシジミラーメン食べるぞー。

遠征の様子は観察記録にアップするので皆さん見てください。
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2004年05月02日(日)
20040502
大会前日
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朝6時に起き、東北道・館林インターから一路、津軽へと向かう。
...と思ったが、途中、秋田の田沢湖インターで下りて比内町に寄り、比内地鶏の親子丼を食べる。
最高だ。
その後、一般道を北上して再び一路、弘前へと向かう。
...ところだったが、途中、碇ヶ関で温泉を発見。ちょっと入ってみる。
げ、源泉だ。100%だ。露天風呂だ。岩風呂だ。
...最高だ。
結局,なんだかんだ言って弘前には夜の9時過ぎに着いた。
ホテルにチェックインして、持ってきたサイレント三味線で練習する。
ホテルの窓から外が見える。
道路を挟んで反対側に「いっぱい飲み屋」の看板が見える。
車の運転でアルコール禁止だったし、行って見るか。

(以下、標準語で書いてますが、ご主人はネイティブの津軽弁でした)
「いらっしゃい」
「生ビールください」
「お客さん、どちらから?」
「群馬からです」
「お仕事の関係?」
「いや実は...」
から始まって、三味線を始めたきっかけ、普段の練習、先生の事、大会申し込みにいたる経緯などをぜーんぶ話す。
ご主人は詩吟を30年近くやっているらしい。
ジャンルは違うけど、やっぱり同じ日本の芸事の話だから、共通のテーマも多く、何より向こうはキャリアがあるから、場数も積んでいて、人前だとうまく弾けない、と言うと、やっぱり詩吟も同じで、それは場数を踏むしかなくて、そういった機会を自分で作っていくしかないんだよ、など教えてもらう。当日は、うまくやろう、なんて思っちゃだめだよ、とも言われる。
(全部津軽弁だったんだけど、紹介できないのが残念っす)
津軽の地酒「蔵子」(これはうまかった)、ご主人が前の日に岩場で釣って来たホッケ、奥さんが作った竹の子の味噌汁など、たくさんご馳走になる。
気がつくと1時を過ぎていた。
ホテル帰って寝よう。
「明日、どうだったか教えてけろじゃ」と帰りがけに奥さんに言われる。
「はい。じゃあ頑張ってきます」
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2004年05月03日(月)
20040503
大会予選
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駐車場が空いてないと困るので7時にホテルを出て会場に向かった。
...ガラガラだった。
8時半に受付を済ませる。黄色いTシャツをもらった。
大会パンフレットを受け取る。
ジュニア級、シニア級、C級の順か。ま、午後だな。
弘前城公園の出店で津軽そば450円を食べる。
お堀端の松並木からキツツキの木をつつく音が聞こえる。
タラララララララララッ。

車に戻り、三味線を取り出して外で何度か弾いてみる。
まあこんなもんか。今さら一生懸命やっても手遅れだしな。
公園のベンチでボーッとする。
早く来過ぎたな。もうちょっとホテルで寝てりゃ良かった。
暇だし、大会見てこようっと。

「はまじさん、もう係の人が舞台袖に来るようにって呼んでるよ」
「へ?だってどうせ午後でしょ?」
「ジュニア級の次がC級だって。もうじきジュニア級終わるよ。はまじさん1番でしょ?」
...でーっ。
血圧、心拍数共に急上昇する。
急いで車に三味線を取りに行かなきゃ。
か、かぎ、車の鍵はどこだ。
体中のポケットを探しまくってタコ踊り状態になる。
あ、あったあったあったあった。
自分の右手に持ってた。
三味線と共に会場にとって返す。
舞台袖ってどこだ。
...ハアハア。
...あ。ここか。
「す、すんません」
「えーと何番?お名前は?」
「1番のはまじです」
「1番ね、じゃあそこの控え席に座って」
「すんません。まだ三味線出してないんです」
「あ、そう。じゃあ早く出して」
ああ、糸替える暇ない。2の糸がちょっとささくれだってる。どうしよう。
ええい、ままよ。
「じゃあ1番の方、こっちこっち。え?10分休憩?休憩だって」
た、助かった。

ちょっと、落ち着こう、落ち着こうぜ、おい。
深呼吸してさ。
すってー。
はい、はいてー。
肩の力抜いて。

よーしよーし。その調子。大丈夫だいじょうぶ。
すぐ終わるから。終わったら十三湖でシジミラーメン食べに行くんだから。
「はいじゃあ1番の方ね。名前呼ばれたら、そのまま真っ直ぐ舞台真中の椅子に座ってね」
「はい(裏声)」
「それでは群馬県からお越しの...」
いよいよだ。
足が勝手に舞台中央の椅子に向かって歩き出す。
舞台に一歩足を踏み入れたら、トンネルから出た瞬間みたいにまぶしい。

一礼して椅子に座るが、恐ろしくて目を上げられない。
音合わせして、そこから先は、いったい自分は何を考えながら弾いていたのか。
あ、失敗した、とか、指が動かない、とか、音がはずれた、とかだと思うけどあんまり覚えていない。

今回もダメでした。
終わってヘロヘロになって階段を上ってたら、階段の上でPママとおけいさんが笑いながらわしの事をビデオで撮っていた。
「お疲れさま~」
わずか2分半の間に100曲弾いたような気分だった。
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2004年05月04日(火)
20040504
本選
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昨日は、午後から会場を抜け出し、十三湖に行ってシジミラーメンを食べる。










...最高だ。
その後、鯵ヶ沢のイカ焼き屋さんでイカ焼きを食べる。
店の奥で「ご自由にご試食ください」の張り紙を見つける。
発砲スチロールの箱をのぞき込むと、中に海藻がいっぱい入っていた。
2ミリぐらいの粒がたくさん付いている。
適当なのをつまんで口の中に放り込み、噛んでみるとバチバチと粒が弾ける音が、頭蓋骨の内側に響いた。
「なんじゃこりゃ」
「ツブコ」
鯵ヶ沢から岩木山に向かう。が、ちょっと時間が足りない。
リンゴジュースも買わなくては。
弘前市方面に引き返し、郊外のスーパーマーケットでリンゴジュースを3ケース買う。近所に温泉センターを発見。
速攻で入ってすぐ出る。
弘前市内に戻って夕方、やっさん達の飲み会に参加した。
KANKOさんがあがっちの曲を弾いたり、Pちゃんの曲弾きをやったり、
SINNさんがJOEさんの三味線で本荘追分を歌ったり、上村さんがじょんがら節を唄ったりした。
...なんて豪華なんでしょうか。
その後、一人で先日のいっぱい飲み屋に行って結果報告する。
「予選敗退しました」
と言うと、残念だったね、とか、また来年に向けてがんばりなさい、とか励ましてもらい、「蔵子」を飲みながら三味線の事、詩吟の事、ねぶたの事、お山参詣の事など、奥さんと3人で遅くまで話しをした。
楽しかった。

***
一夜明けて、本選の日。
もう予選落ちしちゃったので、一日ヒマだ。
今まで弘前に来てもずっと会場に缶詰めだったから、もうちょっと市内の色んなところを見てみたい。と思ったが、やっぱり気になって朝から会場に向かう。
さすが予選とは雰囲気違いますね。
この世界では有名な人達がそこここにゴロゴロいて、ロビーの隅にシートを敷いて練習してる。
その様子を目の前で見られるなんて、素晴らしい。
話しかけたいが恥ずかしい。
木下伸一さんや渋谷和生さん、進藤正太郎さんがさりげなく通り過ぎる。
ひやー。
笹川さんと進藤さんのよされ節唄付けに感動し、団体戦の途中で会場を後にした。
これから秋田へ向かいます。
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2004年05月05日(水)
20040505
秋田 男鹿温泉郷
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秋田に向かう。
途中、男鹿の温泉センター「ゆっこ」でひとっ風呂浴びる。
...最高だ。
風呂上りに休憩用の部屋を借り、サイレント三味線でひとり稽古をした。
ひそかに撥打ちに悩んでいて(先生にその撥打ちでは速さについて行けない、と言われているんだけどなかなか直らない)、会場で見た他の人の撥打ちを自分で試してみる。
夜、なまはげさんのところにお邪魔する。8時半からのライブで、なまはげさん親子の生保内節を聴いた。
優しい、いい音だなー。
ドイツで飲むビールと同じで、ここでしか聴けない音色だ。
間も、ためも、撥付けも群馬で聞くのとは違うし。
なんとも言えない、いいもんだな。
こなまさんに三味線を借りてちょっと弾いてみた。
やっぱり皮の貼りや、皮の厚み自体も、津軽とは違う。
余韻が軽くて、柔らかくて、いい音がした。
撥も厚くて硬いのより、もうちょっとしなやかなヤツの方がいいんだろうな。
こなまさんのところと、今、自分が習っている先生で、生保内や船方の長さが違うとか、色々発見があってためになった。
夜と、翌朝と、なまはげさん一家と話しをした。
店に大きな漢詩が飾ってあった。演奏に感激した人が、書いて送って来てくれたのだそうだ。
「書いて、恐らく何度も書き直しただろうに、それをまた、わざわざ送ってくれた人の手間ひまを考えると、本当にうれしいもんだ」
と言っていた。
送る側の人のそういうところにまで心が至るなまはげさんが、僕は逆に素晴らしいと思います。
***
秋田を9時半に出発し、7時過ぎに群馬に着きました。
車の中で、この3日間にあった事をひとつずつ思い出してました。
結果はアレだったけど、自分の中で何かが変わった気がします。
今回は、三味線を通じて知り合った人達から、三味線に関する事だけじゃなく、多くの大切なものをもらったような気がします。
明日からまた、日常に戻るけど、今の気持ちを忘れないようにしたいです。
ありがとうございました。

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2004年05月11日(火)
20040511
弘前大会の反省
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<大会の反省>
・音出し最初の一発目、またしくじった。大阪大会の時もそうだった。
練習の時にはめったにないのに、本番でそうなるらしい。
椅子に座って、すぐ打つからかも知れない。
・稽古できちんとできていない手も本番でやってやっぱりできなかった。
・難しい事はやらないと決めていた。それでも間違った。

<これからどうするか>
できないところを自覚して、そこを集中的に練習して、できるようになることを目指そう。できないところを練習しよう。
次の大会までにやっておくことを指標化して目標設定しよう。
例えば、
・三枚撥できるようになる
・1の糸、下のツボまで行ける様にする
とか。

・ひとつひとつの音をていねいに、正確に弾こう。また練習できると思うから今の練習がおろそかになっていると思う。
・三味線持ったら人格変えよう。ふだんはいい加減でも、三味線を弾いている時は、音に集中しよう。


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2004年05月13日(木)
20040513
稽古は続く
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三枚バチの練習。打率2割。
秋田荷方節の稽古。
「名人による日本の伝統芸 浅野梅若」のCDを聴いて感動する。
うーんいいな。かっこいい。
よく聴くと先生が言っていた通り、単純な8ビートじゃなくて、もたってるというか、シャッフルが入っている。
ツボも単純じゃない。ずれているのかなまっているのか。
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2004年05月31日(月)
20040531
はまじ様
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「先日は、はるばる弘前までお疲れ様でございました。また、この度はお酒をお送りいただき誠にありがとうございました。津軽は今、リンゴの花が満開です。リンゴジュースを送ります。りんご農家生産者組合のジュースです。なお、三味線の大会では残念な結果であったようですが、稽古に励み次回は入賞するよう頑張ってください。遠くより応援しています。秋にはおいしい青森りんごを送ります。またお会いする日を楽しみにしています。
弘前市「いっぱい飲み屋」店主より」

瓶詰めにされた黄金色のリンゴジュース。
ラベルは何も貼っていない。
冷やして飲む。
濃くて甘かった。

よーし。がんばるど。
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