独り合点(ひとりがてん)

きもの業界をステージとした、ビジネスと生活スタイル、および近況。

ゆかた(7)インクジェット

2010-06-22 | きもの
以前から注目していたアーティスト・高橋理子が「ソロモン流」に出演。予想通り刺激、示唆されることが多かった番組ですが、その中で画期的だったのが、インクジェツトを使用したゆかた制作を紹介していたこと。彼女がこだわる円と直線、幾何学模様を正確に表現するには、型染めでは不可能なので、表現したいモノによって注染や手染め、型染めとそれぞれの良さを活かした染織方法を選択すると躊躇がない。すごく素敵な浴衣ですが、値段は126,000円。ちょつと引いてしまう価格ですが、彼女がブログでインクジェツトのことでも浴衣より夏着物という法がふさわしいかもと説明しているように、絵羽付けで柄を合わせているし、仕立てのこだわりもあり、モノ作りしている職人たちのことも諸々考えて…そのジレンマは痛いほどわかる。『技術に見合った適正な費用を支払い、適正価格で販売する。逆に言えば、職人の方に適正な費用を支払うために、適正価格で購入して頂けるようなデザインをする必要がある。』とブログには切実にオリジナルの物作りの困難さ、きもの作りの現場のことなど、ビジネスとの狭間の諸々、切実な問題について素直に書かれている。素敵な浴衣だけに、なんとか継続が見えるいいのですが。
それにしてもとつくづく感じるのが、伊勢丹のバイヤーのこと。高橋理子も伊勢丹の呉服売り場で個展を開催していましたが、アレコレで注目し、リストアップしている小さな工房や作家、職人たちのほとんどに伊勢丹が早くも着目し、発表の場を与えたり、商品をオファーしている。全国のデパートの中でも屈指の情報力とプロデュース力を持っている伊勢丹の呉服売り場、最新のきものが出現する場として目が離せません。新宿に行った折、必見ですよ。

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1 コメント

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はじめまして (fu~)
2010-07-11 10:21:39
本当にそう思います。
価格だけが先行するのではなく、技術に見合った価格、価値を分かるバイヤーであり消費者であってほしいと思いますが、実際はなかなか難しいですね。
呉服業界のことはあまり分かりませんが、伊勢丹本店の呉服売り場の催事はいつも注目しています。
新しい風を感じますよね。
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