ネット記事から拾った画像。
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40年前 最初のアップル・コンピューター Apple I と II に使われたのは、モトローラ系の8ビット CPU の MOS 6502 (今は消滅した会社のモステクノロジー社) です。 なぜ そんなメジャーでない CPU にしたかというと、創業者の1人で天才設計者のウォズニアックがメジャーな i8080 より単に価格が安いからという採用理由でした。
その流れは Mac にも受け継がれ、1984年に発売された初代 Macintosh にもモトローラ製の MC68000 を採用します。 1994年からは、IBM・モトローラとともに共同開発した PowerPC 系に切り替えます。
但し 圧倒的な Windows PC 市場に比べ、1割以下の市場にしか供給されない PowerPC は量産しても価格が高く、開発も遅れがちで Intel CPU に性能や消費電力などでも見劣りするようになります。
そして 2006年からは Intel CPU に切り替えます。 という具合に ほぼ十年毎に CPU を切り替えてきたのが Mac の歴史でした。
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「アップル、自社設計チップ搭載 Mac 年内発売 - インテル製から移行」(6月23日 Bloomberg)
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今回 アップル設計の ARM 系独自 CPU に切り替え (製造を恐らく TSMC に委託す) るという決定は、どのような背景から出たのでしょうか? シロウトながら 考えてみました。
1) 第一の理由は、既に採用している iPhone と iPad の ARM 系独自 CPU との互換性を高めること。
2) ARM 系 CPU は、Intel CPU よりも低消費電力性能で優れている。
3) ARM 系 CPU の方が Intel CPU よりも単価が安い。
4) ARM 系 CPU の方が Intel CPU よりも技術的な性能が高い。
私は 4) の理由が最も大きいのではないかと想像します。 下記の各社の開発状況を見て下さい。
主要ファウンドリー各社のプロセスロードマップ (出典:IC Insights 時期は2019年?)
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Intel・Samsung・TSMC 御三家の中で、最先端を行くのが TSMC で、最も遅れているのが Intel らしいのです。 かつては最先端といえば 長らく Intel でしたが、その流れは変わってきているようです。
数年前から Intel の最先端チップは 14nm で留まり (?)、なかなか次のステップに進まない中 TSMC が微細化で最先端の 7nm に躍り出てきています。 こうなると 同じ回路でも消費電力は低い、チップ面積は小さいから安価になる、とイイことづくめになります。
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低消費電力を求められるスマホの iPhone には最初から Intel 系を採用していません。 最初は Samsung 製の CPU (ARM 系?) を採用し、その後 TSMC 製を採用しています。 CPU の設計は最初からアップルの設計かと想像しますが、初代の “Samsung 32-bit RISC” もそうなのかどうかは分かりません。
もっとも ARM 系の CPU というのは、ベースに ARM 社が設計したコア部分に、必要な回路をベタベタと付加する形で採用企業がカスタマイズするものと理解していますから、どこまでがアップルの設計なのか何ともいえないですけどね。
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アップルが2007年に販売したスマートフォン iPhone (初代) と第2世代 iPhone 3G (2008) の CPU は Samsung 32-bit RISC。 第3世代 iPhone 3GS (2009) では ARM Cortex-A8 (製造は不明)。 第4世代 iPhone 4 (2010) は Apple A4 (シングルコア ARM Cortex-A8 は Samsung 製)。 第5世代 iPhone 4S (2011) は Apple A5 (Samsung 製)。 第6世代 iPhone 5 (2012) は A6 (Samsung 製)。 第7世代 iPhone 5s (2013) は A7 (Samsung 製)。 第8世代 iPhone 6 (2014) は A8 (TSMC 製)。 第9世代 iPhone 6s (2015) は A9 (Samsung と TSMC 製)。 第10世代 iPhone 7 (2016) は A10 Fusion (TSMC 製)。 第11世代 iPhone 8 (2017) は A11 Bionic (TSMC 製)。 第12世代 iPhone XS / XS Max (2018) は A12 (TSMC 製)。 第13世代 iPhone 11 (2019) は A13 (TSMC 製)。
2016年発売の iPhone SE は第9世代と同じ Apple A9 を採用。 2020年発売の iPhone SE (第2世代) は第13世代と同じ Apple A13 Bionic を採用 (ウィキペディアから)。
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最先端の座から滑り落ちて、なかなかその座に戻れない (?) Intel の勢いを見ていると、やはり どの業界にも “永遠” はないのかも知れません。 但し Samsung・TSMC に業界を牽引するパワーがあるかというと、それはまだ “ないだろう” としかいえません。
特に TSMC は、顧客の設計図に従って製造するだけですから。 でも かつては米半導体メーカー (A) の下請けに過ぎなかった会社 (B) ですから、Aが師匠なら Bは小僧っ子です。 でも 小僧っ子の作る半導体の方が、師匠の作る半導体より優秀になってしまったんですね。
今日はここまでです。