竹の記憶
2014-01-16 | 日記
今日の朝イチで阪神淡路大震災の特集をしていて、
竹の灯籠に火を灯して黙祷を捧げる様子が映し出されていた。
その竹を見ていたら、
竹の匂いや手触りが遠い記憶から蘇ってきた。
昔、母方の祖父母は中国地方の山の中で暮らしていて、
まわりは竹林で囲まれていた。
家は茅葺き屋根で、いろりもあり、
足で踏む木製の餅つき機もあり、
トイレは離れにあって、お風呂も外で五右衛門風呂。
お爺ちゃんが薪で風呂を焚くときに、
竹の筒でぶお~っと息を吹き込むのをさせてもらい、
竹と煙が一緒になったような匂いがしたのを今でも憶えている。
レンゲの花が咲き乱れる場所もあって、
栗の木もたくさんあって、
朝は外の竹の筒から流れて来る冷たい湧き水で顔を洗った。
お爺ちゃんはイノシシ獲りの名人だった。
名人だったのに捕獲したイノシシに
腿を牙で刺されて亡くなってしまった。
背の低いちっちゃな優しいお爺ちゃんとお婆ちゃんだった。
遠く離れて暮らしていたから滅多に会えなかったけど、
毎年秋になると大きくて太った栗を箱いっぱいに送ってくれた。
あの竹林に囲まれた山の家に行きたい。
もう道もなくなってしまったと叔父が言っていた。
だけど記憶の中にはその情景がいまだに生きている。
竹の匂いも、踏みしめる乾いた土の音も、流れる水の音も
今もそこに確かに在る。