試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

モハ100-163[ツヌ133F] 動力ユニット整備 (異音解消:モーター軸受部注油,屋根板嵌合爪修復施工) ※旧製品

2019-12-13 21:32:48 | 国鉄/JR101系
複合要因。

2006年4月にリリースされたKATO製国鉄101系ツヌ118F(Mc155:旧製品)の経年は約13年8箇月まで達する。
走行距離の伸びたモハ100形用動力ユニットは気付かないうちに性能が低下していた。
まだ動力ユニット整備施工車は少数派だがが何れも性能復元を果たしている。


国鉄101系モハ100-163(ツヌ133F:動力ユニット搭載車)。
※旧製品。

在籍するKATO製101系ではモハ100-206(ラシ106F:Mc191)が初の動力ユニット整備施工車である。
入場は2019年1月と比較的遅く基本構造の確認に追われながらの作業が続いた。
その後クモハ100-150(ツヌ104F:Mc159),モハ100-208(ツヌ118F:Mc155)にて基本工程が確定した。
2019年11月に入場したモハ100-103(ツヌ101F:T'c30)では先入観の払拭が課題に挙がる。
改めて整備工程を見直し状態に関わらずモーター軸受部への注油とDT21動力台車の分解が必須項目へ格上げとなった。
そしてウエイト防錆対策と共にKATO製101系第二次改修の重点項目へと組み入れられている。


入工中のモハ100-163。

モハ100-163(ツヌ133F:Mc118)は派手な駆動音が難点だったが走行には何ら問題無かった。
よって個体差の範囲内と考えており以前の基準に従えばモハ100-163(旧製品)は入場させていなかったと思う。
今入場が異音解消若しくは低減へ繋がるかは不明だが第二次改修の基本に則り各部への経年対策を施す。
入場したモハ100-163は1-3位側,2-4位側とも車体裾が外側へ撓み動力ユニットとの嵌合も甘くなっていた。
吊掛駆動車のような音色は車体が共振している可能性も考えられこれの矯正も工程に含めた。
なおモーターの単独駆動試験では低回転から唸り音を発し早くも第一要因が判明している。


注油のため分解したモハ100-163用動力ユニット。

モハ100-163用動力ユニットには灰色成形モーター支持部品が取り付けられていた。
灰色成形モーター支持部品はモーター軸受部の約1/2を覆う形状が特徴である。
そのため軸受部への注油がし難く分解出来なかったモハ100-206(ラシ106F)では強引な投入を行った。
後のモハ100-208(ツヌ118F)で台枠裏面側はモーター軸受部が全て露出していると判明した。
そこで灰色成形モーター支持部品を持つ動力ユニットに限り台枠裏面側からの注油に変更している。
代わりにモーター一式の取り外しが欠かせなくなりユニットカバー撤去も連動となった。


埃の混入が著しいDT21動力台車(1エンド側用)。

そのユニットカバーだが若干プラスチックの硬化が進んでおり着脱には十分注意を払っている。
またモーターの反転装着を許容してしまう構造でもありモハ100-208(ツヌ118F)では駆動試験まで極性逆転に気付けなかった。
一応1-3位側の磁石断面だけ赤色に塗り潰されているがモーター一式での注油で誤装着を防ぐ手段とした。
注油後は約15分に渡る低回転域でのON/OFF試験を繰り返しどうにか低騒音化へと漕ぎ着けている。
導電板の酸化は発生しておらず台枠も腐食する気配すら感じられなかった。
仮組立後に再びモーターの単独駆動試験を行い無負荷条件下での完全低静音化が確認された。


新品同様だった台車集電板。

DT21動力台車は台車集電板の断面及びピボット軸受部が正式な整備対象に組み込まれた。
ギア類の清掃や注油は状態が悪かったクモハ100-150(←旧クモハ100-144:元ツヌ113F)で既に確定済だった。
台車集電板は高経年品には見えない光り輝く表面が保持されていたが新工程に従っている。
歯ブラシでピボット軸受部を払ったところ乾いた油脂皮膜が削ぎ落ち無瑕ではないと判った。
一方断面はその現状からラプロス#4000からラプロス#6000に番手を上げて研磨を行った。
従来工程を踏襲した各ギア類の整備だが1エンド側用DT21動力台車は埃に塗れていたため入念な清掃が必要となった。


溶着剤で復旧した屋根板車体中央部嵌合爪(2-4位側)。

エアーダスターが通用しないほど埃とグリスは一体化しスパイラルギア軸用ワッシャーまて固着していた。
グリスは役目を終えている状態と言え2エンド側用DT21動力台車と共にクリーナーにて脱脂した。
スパイラルギア自体の表面劣化は少なく整備前後で殆ど見栄えが変わらない珍しい個体であった。
ただ摺動抵抗は確実に軽減されたはずでモーターへの負荷も小さくなると期待された。
最後に微量のユニクリーンオイルを投入しモハ100-163用動力ユニットを組み立てている。
ここでの試験走行でも駆動音は増幅されず車体整備で完全解消へ至る確率が高まった。


垂直に戻った側板(1-3位側)。

動力ユニットとの嵌合を改善させるためにも側板の湾曲は修正しなければならない。
ところが側板矯正へ取り掛かる前に折損した2-4位側屋根板車体中央部嵌合爪の修復が必要となる。
側面窓セルの撤去と同時に屋根板嵌合爪が落下し2-4位側は2箇所しか車体との固定箇所を持たなくなった。
寄りによって動力ユニットとの共振防止対策中の出来事となったため溶着剤で屋根板と接合した。
1-3位側,2-4位側とも側板の垂直復旧を要した関係で屋根板は約10分後に車体へ取り付けている。
この時間に効果があったかは判らないが再折損には至らず修復前と同程度の車体剛性を保てた。


[[北イケ 定員144]]:2-4位側。


[[北イケ 定員136]]:クモハ100-131(ツヌ133F)。

屋根板嵌合爪は側面窓セルを補助的に支持しているがこの入力にも耐えられる水準まで達した。
また側板湾曲も無事解消し車体内側から側面窓セルは浮かなくなり動力ユニットの嵌合改善へと繋がった。
モハ100-163は今回が初分解でありかなり以前から2-4位側の屋根板嵌合爪に問題を抱えていたと思われる。
これで共振が解消するか見当が付かずボナファイデプロダクト製[北イケ 定員144]標記インレタへの変更を先行させた。
[ツヌ]電略標記跡の塗装被膜はクモハ100-131(ツヌ133F:旧製品)に近くペイントリムーバー式で[定員144]標記印刷を消去した。
その後[ツヌ 定員144]標記印刷消去痕全体に残る黒ずみを事務用消しゴムで除去している。




モハ100-163(動力ユニット整備,屋根板嵌合爪修復,側板湾曲修正施工)。
※旧製品:車体改修。

最後となるボナファイデプロダクト製[北イケ]電略標記インレタ転写も滞りなく終えられた。
これでツヌ133Fからグリーンマックス製電略標記インレタ(68-1)が消え去りボナファイデプロダクト製インレタに統一された。
そして駆動試験結果は低騒音化と性能復元が両立する目標を上回った答に結び付いた。
1エンド側用DT21動力台車の清掃は中速域から高速域に掛けての加速度向上となって現れた。
モーターそのものも異音を発しなくなりモハ100形,クモハ100形動力ユニット整備施工車と同等に達した。
一度に修正を行ってしまったため屋根板嵌合爪修復と側板湾曲修正が機能したかは不明である。
だが車体の瑕疵解消は確実であり安堵感と共にモハ100-163(ツヌ133F)の竣工を迎えられている。
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