やねうら日記

~日常の中にある幸福

ウタノコリ~そろりそろりと急いでまいる

2014年10月11日 | 音楽
この鬱屈した状況を、大げさに言えば、救ってくれるのは何だろう、と思った。
少しでもリラックスできて、楽しめて、気分転換できて、がんばろうと思えるのは、と。

映画、本、野球、美術館、運動、旅行、買い物、食べ物、酒・・・
どれもすっきりとはさせてくれそうにはない。それほど根深い。そんなときまた、水戸華之介のライブがあると知って、すぐにチケットを(しかも遠く2時間以上かけて)買いに行った。(そこで買うと優先的に入れるので)
全てを手放しで受け入れてくれて、受け入れられるのは、水戸さんの歌しかない、と思った。

水戸さんの歌を聴いてもう30年になる。彼の歌、詩を越えるものはいまだに出てこない。


***

小さいライブハウスで、客は6,70人。おじさんとおばさんばかりだ。その昔、アンジーやエレカマニアを聴いていた人たちが、水戸さんとともに歳を取ったのだ。「ああ、君も歳を取ったんだね」と。
ライブは「マグマの人よ」で始まった。僕は泣かなかった。泣けなかった。今の僕はこんなに傷ついているんだ。

客と水戸さんは牽制しあいながら進んでいく。客同士もそうだ、いい大人はこぶしを挙げたり、キャーと言ったりしないのだ。お行儀よく、拍手をしながら淡々と。


「青空を見たとき」

朝っぱらの散歩は 眠れない夜の次
静かな交差点を渡る

すずめ達がなけば 空は青くなる
そうだよあの頃と同じに

白い雲と 同じ青空を見た
君はどうだか知らないが 僕は今でも元気です

ちょっとしたことを 思い出したんだ
麦わら帽子あは消えたけど
河原の石で 足を切ったこと
君がビワの木から 落ちたこと

白い雲と 同じ青空を見た
君はどうだか知らないが 僕は今でも元気です

手紙なんかは書きますか
ヒマがあったら どうですか

白い雲と 同じ青空を見た
君はどうだか知らないが 僕は今でも元気です

思い出したりしてますか 空は今でも青かった


***

思いがけず涙が溢れてきて、ボロボロ泣いた。
まだ、泣けるんだ。

***

そのあとのロックンロール・タイムは、このおじさんおばさんたちを、立たせ、躍らた。羞恥心を捨てさせた。
拳を突き上げ、叫び、歌う。阿鼻叫喚、地獄絵なのだ。「天井裏から・・・」「素晴らしい、素晴らしい」と。

***

やはり水戸さんだった。
僕の15歳の選択は間違っていなかった。

***

しばらくはこれで生きていける。
くそったれ、って思う。