Dr. Jason's blog

IT, Engineering, Energy, Environment and Management

技術的問題についてコメントする人

2005-04-30 | Mech Eng
 今回のJR福知山線の列車事故の報道の中で,色々な人(大学教授,博士,評論家,元JRエンジニア,政治家,その他)がTVや新聞等で,コメントしている.

  きさらぎけいすけ氏の4/25の記事 で言及されていた,桜井淳氏は,新幹線の安全評価に関する著書がある高名な技術評論家であり,また理学博士でもある.
 しかし,桜井淳氏の話しとして, 毎日新聞のWebの記事 にでていた以下の解説は,ちょっといただけない.
-----
◇「新幹線『安全神話』が壊れる日」(講談社)などの著作のある技術評論家、桜井淳さんの話

 事故車両が鉄製車両に比べ強度の劣るステンレス製でなければ、車両がマンションにめりこむようなことはなかったのではないか。死傷者も鉄製車両なら半分で済んだと思う。鉄道各社は、車両を鉄から薄いアルミなど軽量の素材にして、電力コストを安くしようと取り組んでいる。コスト重視の一方で、このような万一の事故の際の車両強度などを十分に検討してこなかったのではないか。
-----
 これは,「鉄製車両で車両の強度がステンレス製よりも高ければ,今回の場合のような事故でも,犠牲者が少ない」という誤解を読者に与える危険がある記述だと思う.

もし,車両が鉄製で,仮に2倍丈夫だとすると,通常はその車両は2倍以上重くなってしまう.もし2倍以上重い車両が,同じ速度で,マンションに追突したときの車両に加わるエネルギーは,概ね重さに比例して大きくなる.そうすると,

  車内の乗客のうけるエネルギーも,車両の重量に概ね比例する.
  1両目は,丈夫で重い2両目の衝突を受ける.
  2両目は,丈夫で重い3両目の衝突をうける.
  3両目は,丈夫で重い4両目の衝突をうける.
  ...
  マンション1-2Fは,現状よりももっと大規模に破壊された可能性がある.

 つまり,車両が鉄製で丈夫で簡単に車体が単体として「つぶれにくい」だけでは乗客の安全は担保できない.走行する車両が持っているエネルギーは,車両の重さの関数だから,車両が重ければ,衝突する際に,車内の乗客中が受けるエネルギー==衝撃は増えてしまい,「車両が強ければ犠牲者が減る」という簡単な話しにはならない.
 大脳や脾臓は,意外と小さな加速度で損傷を受けるので,3両目以降の乗客の被害が増えた可能性もある.
 また,おそらく,追突する車両がおもければ,マンションが受けるエネルギーも増えて,マンションはもっと壊れてしまうので,そのことによる被害も増える可能性もある.
 別の見方をすると,鉄製の重い車両では,もっと低い速度で脱線していた可能性もある.

 さらに云えば,交通システムとしての鉄道の常識からいえば,脱線したらその時点で「負け」なので,「車両が丈夫なら...」とはとてもいえないはずだ.


  桜井淳氏のプロフィール をみると,それなりに,立派な経歴である.理学博士であるだけでなく,現在,2つ目の博士号(それも社会学系)を取得するために,「東大大学院総合文化研究科在籍」というのは,1946年生まれということも考慮すれば凄いことだ.
 元々のご専門は「日本原子力研究所材料試験炉部計画課での仕事をまとめて原子炉物理学の研究で理学博士」である.当然,「材料」の「強度」そのものにはお詳しいと思われる.
 しかし,鉄道のような「移動する機械」の移動条件,強度,重量と,「衝突」のような急停車時にその「移動する機械」の中に加わる力や,そのような場合い急に大きな力が加わったときの「人」や「建物」への影響については,ご専門外なのかもしれない.また,「理学部」と「工学部」の勉強の仕方や知識の間口の違い,というのは,一般に考えられているものよりも大きいこともあるかもしれない.

 もう一人の例として,TVでよくコメントしている 工学院大学電気工学科の曽根 悟 教授 は,1967から一貫して,電気鉄道を中心とした,交通工学,交通システムとその周辺の電気機器を研究している「電車と関連技術の専門家」である.
  曽根教授の研究者プロフィール をみると,審査付論文98件,解説・論説・国際会議報告等489件となっている.


 我々は,メディアに登場する「技術的な問題の専門家」の「本当の専門分野」について,よく注意する必要があると思う.
 また,立派な経歴の先生でも,「何らかの外部の力」が働いて,「必ずしも客観的,科学的」なコメントではないお話しをしている場合もある.専門家の書いたもの,専門家の話し,だからといって,「鵜呑みにしない」ということも必要だと思う.
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Jason's Library 科学者,博士への道

2005-04-27 | Education
 海外留学してドクター(博士号)を取った人の体験記や,参考書はいくつか出ているが,日本の事情をふまえた,研究者,学者あるいは,広い意味で博士を目指す人向けの参考書は,意外と少ない.
 そういう中で,お茶の水大学理学部教授による,この2冊の本は,非常にユニークな参考書だと思う.筆者がたまたま,バイオ系の先生なので,バイオ系を中心に例示されているが,実際は,よく読むと,理工系全般向けの参考書として十分に役に立つ内容となっている.

 これから大学院を考えている学生だけでなく,社会人で,大学院や博士号を考えている専門職の人,大学や学会などのアカデミックな業界の仕組みについてまだよく判っていない人には,オススメである.
 「科学研究者になるための不肖・ハクラク進路ナビ」の方には,大学,大学院や学位に関する色々な統計情報や,日米の比較についても色々な情報がまとめられている. 4/17の記事に書いた「論文博士」 についても解説がある.



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ナノ粒子の健康への影響 市民シンポジウム「ディーゼル排ガスと健康」

2005-04-25 | Environment
 4/24の午後は, 酸性雨調査研究会 日本環境学会 の共催による,市民シンポジウム「ディーゼル排ガスと健康」に参加した.

パンフレットによると,
「自動車メーカーは自動車NOX・PM規制の対処方法として、ディーゼル燃料の高圧噴射化をすすめていますが、このことによつて排気ガス中のPMが、人の目に見えないナノ粒子となり、人の健康に新たな悪影響を与える可能性も指摘されています。」
ということがテーマの背景となっている.

講演は以下の4件だった.

1) 米国毒性学会(3月)報告: ナノ粒子研究の世界的な動向
  島田章則 鳥取大学獣医病理学教授
 
2) ディーゼル微粒子の呼吸器及び生殖器等への影響
  嵯峨井勝 青森県立保健大学健康科学部教授

3) 短期的健康影響を明らかにする疫学研究の動向
  山本英二 岡山理科大学総合情報学部教授

4) 常時監視データーからみた東京の画的汚染
酸性雨調査研究会/日本環境学会プロジェクトチームによる報告


1) の島田先生の講演は
 a) 呼吸器系の構造と機能の復習
 b) ナノ粒子の概要
 c) 米国毒性学会の報告
 d) 14nmのナノカーボンが肺胞の血管壁を突破した実験の報告
というもので,大変よくまとめられていた.c) では,米国ではすでに,ナノ粒子の毒性について様々な可能性が具体的に指摘されていることが報告された.d) では,マウスでの実験で,14nmのナノカーボンの粒子が肺胞の細胞壁(肺胞上皮細胞,基底膜,血管内皮細胞)を通りぬけた様子,赤血球の周辺にナノカーボンが付着した状態などの,電子顕微鏡写真が示された.
 島田先生は,獣医学がご専門であり,ナノ粒子に加わる力,ナノ粒子の肺胞血管壁突破のメカニズムの詳細や,突破される粒子の大きさの閾値については,今後の研究課題となっている.
 ウィルスの大きさは,だいたい20nm-250nmであり,その殆どは,空気感染で容易に血管内に侵入するのだから,14nmのナノ粒子が肺から血管に入っても当然かもしれない.(ヘルペスやHIVのウィルスがちょうど100nmのオーダである.)
 この発表を聞いて,神様がほ乳類の肺を設計したときには,ウィルス以外の100nmオーダーの粒子は,自然の大気中にはほとんどなかったのだろうと思った.
 
2) の嵯峨井先生は,ディーゼル微粒子の生体への影響の研究の第一人者である.国立環境研から青森県立保健大学にうつられてからの研究だけでなく,10数年前の議論や,大気汚染訴訟での被告側とのやりとりなどについてもお話があった.

3) の山本先生からは,日本の環境関連分野での疫学研究の弱さが指摘された.

4) の酸性雨調査研究会/日本環境学会プロジェクトチームからは,1985-1995年の,東京都周辺の2次元的に広い範囲における,大気汚染状況についての分析が報告された.

このままいくと,高圧噴射の軽油ディーゼルは,ちょっとあぶなくて使えないのではないかと思う.(排ガス中の粒子が100nm以下では,普通のフィルターなどの現在の技術では排気を制御することはできそうもない)

 市民シンポジウムということで,一部冗長な説明,工学的に不十分な考察もあったが,全体としては,勉強になったシンポジウムだった.

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交通システムのエネルギー消費と環境負荷

2005-04-24 | Transportation
 先日,きさらぎけいすけ氏のblogで 「国土交通省が,運輸部門関係の2010年時点での二酸化炭素排出量を250百万tに抑える為の対策を発表した」 という記事があった.

 これは,私の専門分野の一つなので,ちょっと一言書いておこう.

 まず,はっきりしていることは,
  「現在の化石燃料を使う内燃機関を動力源とする自動車を使っているうちは本質的には,二酸化炭素は減らない」
ということである.

 過去10数年をみても,日本で新しく発売される自動車の燃費は少しづつよくなっている(例えば,国産乗用車の平均燃費は,1991年に12.4km/lだったものが,2001年には14.3km/lになっている.単純に計算すると約15%の伸びだ.).しかし,それにも関わらず,日本の全二酸化炭素排出量に,運輸関係が占める割合,特に自動車による交通システムが占める割合は,着実に増加している.
 1990年から2001年をみると,日本の全二酸化炭素排出量に運輸関係が占める割合は,約19%強から約22%に増加している.2001年時点の自動車による交通システムによる二酸化炭素排出量は全体の約19%である.また,1990年から1997年にかけての日本の二酸化炭素排出量の増加分に占める,交通機関を起源とするものは46%を占めている.
 これは,日本では,不況でGNPが伸びなやんだ期間も,自動車の保有台数が増え(自動車保有台数は1990年では5700万台強だったものが2000年には7200万台強となった),自動車全体での活用==走行距離もずっと増えているということである.さらに,今後多少人口が減っても,少なくとも2020年ぐらいまでは,自動車の保有台数は増え続けると推定されている.
 自動車が増え続けている,現在の自動車交通システムで,確実に二酸化炭素排出量を押さえる効果があるのは,実は,信号や渋滞時などの交通流中での短時間停車時のアイドリングストップである.我々の実験では,1500ccクラスの乗用車の場合,適切な交通流中での短時間停車時のアイドリングストップによって,市街地走行で4-9%程度の燃費改善効果==二酸化炭素削減効果があることが判っている.仮に日本のすべての自動車が適切にアイドリングストップすると,自動車の実走行での燃費が4%改善されるとすると,それだけで,日本全体の二酸化炭素排出量の0.9%==1%近くの削減となることが試算されている.

 また,鉄道の代替えをバスというのは,エネルギーおよび環境負荷の観点からみると,現時点の技術では「ナンセンス」としか云えない.
 2002年の資源エネルギー庁の関連研究機関による公式の統計データ 2002年度版 EDMCエネルギー・経済統計要覧によると,2000年度の輸送機関別の乗客1名を1km運ぶのに消費されるエネルギーは,鉄道46kcal/人キロに対して,バス158kcal/人キロであり,約3倍である.鉄道の電力が石油系のものだとすると,3倍のエネルギーを使えば3倍の二酸化炭素が出ることは小学生でもわかる算数の問題だ.
 ちなみに,10年で15%も燃費がよくなってきている自動車だが,実は,上記と同じデータでは,乗用車は592kcal/人キロ,航空(つまりほとんどジェット機)は436kca/人キロである.つまり乗用車はジェット乗客機よりも乗客一人あたりのエネルギー消費が多いということである.

 自動車特に乗用車は確かに自由で便利だが,エネルギー消費の側面からだけみても,その使い方には,十分な配慮が必要であると思う.
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情報通信政策フォーラム(ICPF)セミナー第2回 の お知らせ

2005-04-23 | Weblog
  情報通信政策フォーラム から,次回のセミナーのお知らせです.

--------------------------------------------
情報通信政策フォーラム(ICPF)セミナー第2回
「ハードディスク録画サービスと著作権」

昨年10月、「録画ネット」という会社に業務停止を命じる仮処分が東京地裁で言
い渡されました。この会社は海外在住の日本人向けに、日本のテレビ番組を録画
できるパソコンを売り、それを自社内に置いて海外から操作できるようにする
「ハウジング・サービス」を行っていたのですが、それに対してNHKと在京キー
局5社が、サービスの差し止めを求め、裁判所が認めたのです。

録画ネットのユーザーは、わずか250人。こんな「すきま商売」をテレビ局がそ
ろって訴えるのは、同様の録画代行サービスが国内でも広がることを恐れている
ためです。しかし業者は、インターネット経由で録画の操作をしているのはユー
ザーであり、著作権は侵害していないと主張しています。

ハードディスクとブロードバンドが普及した今日、それを利用した便利なサービ
スが登場していますが、著作権上の紛争も引き起こしています。どこまでが合法
なのか、また制度を見直す必要はないのか、いくつかのケースをもとに考えます。

講師:原田昌信(エフエービジョン取締役)
モデレーター:真野浩(ルート社長)

日時:5月19日19:00~21:00
場所:東洋大学白山キャンパス 5号館5202教室
東京都文京区白山5-28-20
   地下鉄三田線「白山」駅から徒歩5分
   地下鉄南北線「本駒込」駅から徒歩5分
   地下鉄千代田線「千駄木」駅から徒歩15分
入場料:2000円
    ICPF会員は無料(会場で入会できます)

申し込みはinfo@icpf.jpまで電子メールで。
くわしいことは、ホームページをご覧ください:http://www.icpf.jp/
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情報通信政策フォーラム

2005-04-22 | IT
 4/22の夜は, 情報通信政策フォーラム の最初のセミナーに参加した.

今回のセミナーは 「長野県栄村にみる通信と放送の融合」 というタイトルで,長野県で行われている,TV地上波の有線放送とインターネットの仕掛けを使ったIPマルチキャストによる配信の概要と,それにまつわる様々な問題についての解説があった.
 東京,文京区,東洋大学白山キャンパスの60名ほどの教室で,立ち見が出るほどの盛況だった.講演のあとの議論も活発で非常に勉強になるセミナーだった.

 一般の視聴者の立場からみると,CATV業者だろうが,ネットワーク業者だろうが,TV番組の再配信については,全く同じだと思うが,どうも放送業界では,そうではないらしい.今日はっきり判ったことは,総務省,文化庁とも,甚だ無責任であるということだ.
 「放送と通信の融合」にかかわる,法的問題は,郵政民営化の前に,先にかたづけてほしい問題だと思う.

 私は,これを機会に 情報通信政策フォーラム に正式に個人会員として入会申し込みをした.
 
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Jason's Library ソフトウェアエンジニアの条件

2005-04-20 | Software
 技術評論社のMook  「Software People」 は,ソフトウェア開発に関わる雑誌のなかでは,ちょっと変わっていて,設計手法やプロジェクト管理など,IT以外のトピックに力をいてている.短期的な流行のフローの知識ではなく,本質的なストックの知識となるような面白い特集が多い.

 最新の Vol.6 は,以下のような特集と記事がある:
 特集1   PMBOK徹底入門 プロジェクトマネジメントに明日を見た
 特集2   アークテクトに未来を賭けた
 特別企画 ソフトウェアエンジニアの条件 新人・若手のための成功戦略
 
 この中でも,春らしい特別企画の「ソフトウェアエンジニアの条件」の第1章「プロフェッショナルエンジニアの条件  先へ進んでいく人,立ちどまったままの人」という記事は,新人や若手以外にも参考になる内容で,普段私が考えている「プロの心構え」に非常に近い.

 この記事には,以下のようなトピックスが含まれていた:

  コンピュータサイエンスの基礎
  頭の中でソフトウェアの動きをきちんと理解する
  継続した学習
  正しい専門書を読む
  一つの言語をきちんとマスターする
  原書を読むための英語力
  技術書を読むうえでの注意点
  英語学習は継続が必要
  読みやいコードを書く
  プログラムは「臭う」
  最初の一年が勝負
  追い越される人,追い抜く人

 前半の部分は,経験年数に関係なく本質的な指摘である.

 筆者の 柴田芳樹氏 は,翻訳,著作等も多いソフトウェアエンジニアである.個人的には全く存じ上げないが,同年代のせいか?私と同じような問題意識を持っていると感じられた.
 特に,以下の指摘については,100%同意見だ.
  o 「プログラミング作法」の第二章に書かれている程度の内容は理解し,かつ,説明できるようになっておく
  o ある程度のハードウェアの知識も習得する必要がある
  o プログラムのロジックをきちんと理解して,それを実行するとどのように動作するかを,ソースコードを調べながら頭の中でシミュレーションできる能力が求められる
  o 他人の書いたソースコードであっても可能な限り調べる
  o できるかぎりその技術を作りだした人たちが書いた書籍を選んで読む

 2つの特集記事も,それ以外のコラムもよくまとまっている.
 特集1のプロジェクト管理については,PMBOK的手法だけでは不十分だと思うが,定量的に管理できる範囲については,最新の話題をコンパクトにまとめている.
 特集2のアーキテクトについては,第二章の「アークテクトに向いている人,向いていない人」でアーキテクトに必要とされるスキルについて解説が目を引いた.一番に,「ピープルスキル」をもってきている点が他のアーキテクト論とはひと味違う.ごれが,結果的に,特集1を補うかたちになっていると思った.

 新人,若手ではなくても,現状に少しでも疑問や不満のあるソフトウェアエンジニアには,是非読んでもらいたい一冊である.

Software people―ソフトウェア開発を成功に導くための情報誌 (Vol.6)

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牛海綿状脳症(BSE) 問題 続編1

2005-04-18 | Environment
 きらさぎけいすけ氏のblogで 私のBSEに関する記事(4/16)へのフォロー があったので,さらに調べてみた.

 イギリスの有機農業家マーク・パーディ(Mark Purdey)氏は,伝達性海綿状脳症 (transmissible spongiform encephalopathies : TSE) について,様々な研究をおこなっており,その成果は, パーディ氏のWebサイト(英文) にまとめられている.
 [TSEとは,牛のBSE、人のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD),変異CJD(vCJD),ゲルストマン・シュトラウスラー・症候群(GSS),クールー病,羊のスクレイピー,鹿やカモシカの慢性消耗病(CWD),猫の猫科海綿状脳症(FSE)などの様々な神経退行性の病気の総称である.]

 このWebによると,パーディ氏は,有機リン系農薬がBSEに影響しているという仮説や,土壌や環境中のマンガンの過剰と銅の不足がBSEの原因になっているという仮説を発表している.
 また,英国ケンブリッジ大学の追試によって,プリオンたんぱく質の銅が減少した部分にマンガンが過剰に付着することが確認されているという.それから,米国ケース・ウエスタン大学の調査では,CJDに侵された脳組織中で通常の10倍のマンガンの増加と銅の50%の減少が記録されているらしい.さらに,神戸大では,紫外線照射によるマンガンのプリオン細胞培養実験を行っているともいう.
 
 日本においては,一部の 食の安全に関する活動家 有機農業の団体 だけが,パーディ氏の活動や講演を取り上げているように見える.また,それに対して,日本の学会の主流派の先生には, これらのパーディ氏の仮説とそれに関する追試等の報告はあまり評価されていない ようだ.

 まさに,「なんか,変」ではないだろうか?

 私にとっては,大元が「有機リン系の農薬」だけかどうかは別としても,「環境中の金属イオンのアンバランスが,神経組織中のタンパク質に著しい悪影響を及ぼした結果TESが発症する」という,メカニズムは,工学的にも直感的に理解し易いモデルなのだが...

 

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大学院と博士号

2005-04-17 | Education
 最近,中央教育審議会が 「論文博士の廃止」を答申したことが話題になっている.
 論文博士については「学位のため研究を狭い分野に限定してしまう恐れがある」「日本独自の制度で国際的な通用性に欠ける」などの批判があったと報じられている.
 また,海外の研究者からは,(博士課程を経ない)「論文博士」は,アンフェアだとう声もあったらしい.
 しかし,元来,大学院の博士課程のシステムは,米国,英国,ドイツ,日本で,それぞれ異なっている.細かくみれば,大学の学部のシステムも相当に違う.博士号の出し方だけで,一概に,「国際的な通用性に欠ける」とは云えないはずだ.(Wikiペディアに 大学院 学位 についてのまとまった解説がある.)

 一般に,日本の博士課程は,米国よりも学位が取りにくい.理工系は最近はそうでもないが,社会科学系,人文系はいまだに,70%近くが単位取得,満期退学であり,課程の期間内では博士号を取得できない.そのため,海外留学生から(博士が取れないので)評判が悪いという話しもある.また,逆に,米国で Ph.D. をとるチャンスを逃した研究者が,査読付きの発表論文が沢山ある場合,日本の「論文博士」の制度を知って,わざわざ日本まで「論文博士」を取りにくるという例もある.

 元来,日本の「論文博士」は「課程博士」に準ずるものであり,「大学院の行う論文の審査に合格し,かつ,大学院の博士課程を修了した者と同等以上の学力を有すると確認された者に授与することができる.」ことになっている.(私の母校の「博士学位授与の要件」より抜粋)
 また,日本の殆どの大学では,「学位審査の条件」として,学会誌や国際学会に数編の「査読付き論文」が発表済みであることを「前提」としているところが多い.この条件においても「論文博士」は,課程博士よりも「求められる論文の本数」が多くなっている(概ね2倍程度).つまり「論文博士」の審査の前提の方が厳しいということだ.
 殆どの米国のドクターコースではコースワークとそのテスト,それからドクター論文そのもの審査に重点があって,日本のように学会誌や国際学会に通った「査読付き論文の数」が課程博士の「審査着手の前提」となっていたりはしない.このことを考慮すれば,単純に,課程を経ない「論文博士」がアンフェアだとは云えないと思う.

 しかし,「論文博士」の善し悪しは別としても,「課程博士」重視のトレンドは,べつに最近急にはじまったことではない.十数年前にできた大学院大学,例えば,北陸先端大学院大学(JAIST),奈良先端大学院大学(AIST-NARA)では,原則として「課程博士」だけだ.国立情報学研究所や国立天文台でも総合研究大学院大学として博士課程を運営しているが,ある程度論文がある場合でも「博士課程」に在籍することを薦めている.

 答申どうりに制度を変更するかどうか?変更するとしたら制度をいつ切り替えるのか?にもよるが,従来から沢山の「論文博士」を授与している大きな大学では,駆け込みの「論文博士」の申請が増えることは間違いなさそうだ.

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牛海綿状脳症(BSE) 問題

2005-04-16 | Environment
  牛海綿状脳症(BSE) 対策への見解の相違等から,日本では米国産の牛肉の輸入を禁止している.
 先月来日した,米国のライス国務長官は,米国牛肉の輸入再開を強く求めていた.小泉首相は「食の安全の視点から必要な国内手続きを進める」と述べ、再開の期日を示さなかった。
 ライス国務長官は,米国がBSE発生国からの牛の生体輸入を原則的に禁止していることを,日本人は知らないとおもっているのだろうか?
 米国では2003年5月にカナダで牛海綿状脳症(BSE)が発見されて以来,一部の牛肉だけを輸入解禁し,生体輸入は禁じていた.この3月に輸入が幸いされそうになったが,結局 輸入禁止のまま になっている.そのあと,米国では, 「米農務省はBSE秘匿」 しているとの疑いまで出ている.「また米加両国の肉牛の生産・飼育システムがほぼ共通だと指摘。カナダで一昨年から4頭のBSEの牛が見つかったのなら、米国でもっと多くのBSEが見つかるのが自然だ.」というのは,スジの通った指摘であろう.
  全頭検査 が科学的かどうかは別だが,米国の多くの牛は実際には月齢管理されていないので,全頭検査以前の問題である.
 いずれにしても,米国がカナダからの牛の輸入を原則禁止しているうちは,日本が米国からとやかくいわれるのはフェアではないだろう.

 たまたま,プレジデント誌の 2003.12.29 号 35.pをみていたら,「9頭 狂牛病の恐怖は終わらない」というBSEの記事がでていた.2005.3.17には 16頭 目が確認され,2005.4.4 には北海道で 17頭目 が発見された.実際にはこの2-3倍発生しているのではないだろうか?
 日本には,肉用牛は280万頭ほどいる.もし,現在確認された2倍近い数のBSE牛がいるとすると1000頭に1.2頭いる見当になる.
 そのプレジデント誌の記事中,感染ルートについて"例えば,イギリスの有機農業のマーク・パーディ(Mark Purdey)氏は,独自にBSEや羊のスクレイブーが群発する地域を調査した結果,「有機リン系農薬などの酸化力の強い環境因子がプリオンタンパクの形を変え,BSEを引き起こす」と結論づけている"という解説がある.この説は,有機農業や農薬問題に取り組んでいる人の間ではよく知られているようだが,日本ではその後この説はあまり議論されていないように思う.インターネット上の情報も少ない,何故だろう?


 厚生労働省では, BSE等に関するQ&A をまとめている.結構くわしく書かれているが,あまり読み易さは考慮されていないようだ.
 それに比べると,動物衛生研究所の BSEのサイト は,情報量も多いが,見易いし,外部の情報へのリンクも充実している.


誤記訂正しました:マーク・バーディ -> マーク・パーディ

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Jason's Library 大人の勉強法

2005-04-16 | Education
  4/11の記事 に「スキル・アップ」について,普段考えていることを書いた.
 それをみた知人からは,「日本人って,もう自分から勉強する習慣,取り戻せないかもしれない.」という,将来を憂う感想がきたが,私はそれほど悲観してはいない.
 私の業界では,ビジネスの環境や技術の変化が激しいので,広い意味で「継続的に勉強する」ことができない人は結果的に淘汰されてしまう.30代,40代こそ,継続的な「大人の勉強」が必要だと思う.
 西山昭彦氏は自己啓発や勉強法の本を沢山出している.以下にあげる一連の著作は,彼自身が,サラリーマンをつづけながら,自分のスキルアップ,キャリアップのために,実際に様々な勉強をしてきたことを下敷きにしており,スキルアップに問題意識を持っている人には,専門分野にかかわらず参考になると思う.(私自身も参考にした.)

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30歳から本気ではじめる大人の勉強法―人生の分岐点で得する人・損する人

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本気ではじめる大人の勉強法

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 以下の桝井一仁氏の著作は,西山氏とは少しアプローチが異なるが,「仕事」と「勉強」について,色々なノウハウをまとめたもので,「自分を活かす」勉強という視点でこちらも参考になる.

自分を高く売る「勉強法」

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SEA & FSIJ 合同フォーラム (4/25)

2005-04-12 | Software
 SEA & FSIJ 合同フォーラムのお知らせです.会員以外の方でも参加できます.

----------------------------------------------------------------------


開 催 案 内

SEA & FSIJ 合同フォーラム
~開発最前線シリーズ: Eclipse3で楽々Java開発~
~セキュリティシリーズ: Trusted Keyserver OpenPKSDの開発~

主催
ソフトウェア技術者協会(SEA)
フリーソフトウェアイニシアティブ(FSIJ)


***************** 開 催 要 領 *****************

1. 日時: 2005年4月25日(月曜日) 18:30 ~ 20:30

2. 場所: 東京都体育館 第四会議室
〒151-0051 東京都千駄ヶ谷1-17-1
http://www.tef.or.jp/tmg/
(注意)会場の場所は右側に植込があるゆるやかなスロープを降り半地下の
入口から入った奥の方になります。
http://www.tef.or.jp/tmg/data/mapn.gif のトレーニングルーム
健康体力相談室、サブアリーナ 入口とかいてある所からが下りスロープ
で、研修室と書かれているのが会議室です。

交通:
*JR中央・総武線各駅停車* 千駄ヶ谷駅より徒歩1分
*地下鉄大江戸線* 国立競技場駅より徒歩3分(A-4出口)


3. 講演内容

今年3月に水島さん著の「Eclipse3によるJavaアプリケーション開発」(秀和
システム)が発行されるという絶好のタイミングでお話をいただけることになり
ました。

・テーマ: Eclipse3で楽々Java開発

話者: 水島 和憲

3.0になってますます便利になったEclipseの機能について紹介します。
特に心憎いと思う機能をできるだけ紹介したいと思います。

・テーマ: Trusted Keyserver OpenPKSDの開発

話者: すずきひろのぶ (OpenPKSD.ORG)

OpenPKSDはOpenPGP公開鍵サーバのフリーソフトウェア実装の一つで、現在
openpksd.orgで稼働しています。 現在、OpenPGP公開鍵サーバに大幅に
機能を加えて新しいコンセプトをもった次期OpenPGP公開鍵サーバTrusted
Keyserver OpenPKSDの開発を紹介したいと思います。


4. 参加費: SEA会員(正/賛助)、及びFSIJ会員(正/賛助) 1,000円、
  OSSAJ会員(正/賛助) 、JLA会員 1,000円
一般 2,000円 (釣銭のないようにお願いします)

5. 定 員: 30 名 (先着順に申込みを受付け、定員になり次第、締切)

6. 申込み方法:下の申込用紙に必要事項をご記入の上、
SEA SIGOSS 事務局 <sea-sigoss-office@media.osaka-cu.ac.jp>まで
E-Mailでお申込みください。
申込受付後のキャンセルは、原則としてお断りします。

尚、満員でお断りするなどの事情がない限り、こちらから参加申込の確認
等のご連絡を差し上げることはありません。

7. 今後のスケジュール

SEA & FSIJ 合同フォーラムは毎月開催しております。今後のスケジュール
は以下の通りです。いずれも場所は東京都体育館第四会議室、時間は18:30
からです。

予定日時: 5月23日 6月23日

......................................................................
To: SEA SIGOSS 事務局 <sea-sigoss-office@media.osaka-cu.ac.jp>
Subject: [参加申込]SEA & FSIJ Forum
--------------------
SEA & FSIJ 合同 Forum (Apr. 2005) 参加申込書

※氏名(ふりがな): ( )
所属:
連絡先郵便番号:
連絡先住所:
※Tel:
Fax:
※E-Mail:
※種別(該当欄を黒四角(■)に変更してください):
 □ FSIJ会員(正/賛助) (会員No. )
 □ SEA会員(正/賛助) (会員No. )
 □ OSSAJ会員(正/賛助) (会員No. )
 □ JLA会員
□ 一般
先頭に"※"がある項目は必須項目です。他はオプショナル項目です。
......................................................................
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エンジニアとビジネス・パースンのスキル・アップ

2005-04-11 | Education
 最近,エンジニアやビジネス・パースンのスキル・アップ,キャリア・アップについて考えることが多い.
 
 私自身エンジニア出身であるし,エンジニアのスキルやキャリアについては,先輩の事例や自分の体験をふまえて色々考えることができる.
 エンジニアの場合,以下のように考えることができると思う.
  A) 自分の専門とする工学的領域についての自分の技量や知識
  B) 自分の専門の周辺の工学的領域についての自分の技量や知識
  C) A, B 以外の工学的領域についての自分の技量や知識
  D) ビジネス的な自分の技量や知識
 普通の人は,Aで差がつくと考えるかもしれないが,Aで「本物のスペシャリスト」となって,差を付けるのはそう簡単ではない.むしろ,Aだけでなく,B, Cについての能力で差がつく,あるいは,さらにDも加えて差がつくといえる.つまり,広く,深くカバーして,対応できる領域の面積が広い方が差別化につながる.
 もちろん,本物のスペシャリストとなるべく日夜研鑽を積むということは大切だ.
 各分野の専門的な資格を取る,技術士,PE,CEのようなプロのエンジニアとしての公的資格を取る,あるいは,博士の学位を取得するという方法もある.技術士の資格や学位は看板だけでなく,それを取得するための学習や知的訓練が重要である.
(特に,海外のエンジニアとのやりとりでは,ある程度の経年年数で,技術士あるいは,博士をもっていないようでは,プロとして相手をされない恐れがある.)
 いずれにしても,日常毎日こなしているAの領域以外にも,B~Dについて,どれくらいいつも学習しているかが重要だ.
 
 これに対して,ビジネス・パースン(特にエンジニアでないホワイトカラーの人)については,これからは,いままでの方法では,スキルやキャリアを上げることが難しくなっているように思う.米国では,ある程度上昇志向のある優秀な人であれば,大学を出てある程度経験を積んだあとは,ほっといても以下のうちのどれかの道を選ぶ.
  a) ビジネス・スクール等の大学院へ進む.
   MBAまたは自分の仕事に関連のある社会科学系分野の修士を取る.
  b) ロー・スクールへむ.
   弁護士資格を取る.
   パテント・アターニー(特許弁護士)の資格もとる.
  c) 会計学関係の大学院へ進む.
   CPA(公認会計士)の資格をとる.
  d) 優秀な仲間と独立して,自分たちの会社を作る.
 しかし,私のまわりをみると,日本のビジネス・パースンの大半は,日常の目の前の仕事をこなすことに手一杯で,上記のような,自分のための勉強や,資格等について,あまり考えていない人が多い.
 日本の社会のトレンドは,米国の10-20年遅れぐらいであることが多いので,そろそろ日本でも,ホワイト・カラーのビジネス・パースンでも,自分を差別化するための勉強や資格といぅったものについて,真剣に検討する必要があると思う.
 米国流のMBA一辺倒が良いとは思わないが,現場の仕事の経験による叩き上げ,というだけで,新しいことも勉強せず,何の資格ももたないようでは,これからは生き残っていけないだろう.

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Jason's Library  リー・リトナー OVERTIME  30年の蓄積と若手との競演

2005-04-11 | Weblog
  リー・リトナー(Lee Ritenour) は,1976年にレコードデビューして以来,ジャズを中心に幅広く活躍している30年のベテラン・ギタリストである.私も彼の音楽を聴くようになってからもう28-29年になる.

 このDVDは,リー・リトナーが,昔の仲間と,今の自分のバンドメンバー,それにゲストを加えて収録した,特別なスタジオ・ライブセッションである.アーティストは,お互いに顔をみるように配置されて,観客はその周りにいる.カメラワークもアーティストの手元がよく見えるように工夫されている.
 参加アーティストは,リー(g, eg, arrange)の他,御大デイヴ・グルーシン(p, arrange)をはじめ,アレックス・アクーニャ(perc),クリス・ボッティ(tp),デイヴ・カーペンター(ab),メルヴィン・デイヴィス(eb),バーバビー・フィンチ(key),ステーィヴ・フォアマン(perc),グラディ・ハレル(vo),ケニヤ・ハザウェイ(vo),アンソニー・ジャクソン(b),イヴァン・リンス(vo,p),エリック・マリエンサル(ts,as,f),ハービー・メイソン(ds),パトリース・ラッシェン(p),オスカー・シートン(ds),アーニー・ワッツ(ts,as)と豪華メンバー.
 リズム隊は,ベテランのメイソン,ジャクソンも凄いが,現在のリトナーバンドのシートン,デイヴィスも要注目.ダニーハザウェイの娘ケニヤ・ハザウェイ(レイラの妹)は歌も曲も素敵.

 リトナーを知っている人はもちろん,Jazz,フュージョン,ブラジルの音楽を好きな人,ギターやベースを演奏する人に広くオススメの一枚.


アンソロジー・ライヴ~ジェントル・ソウツ・リユニオン

ビデオアーツ・ミュージック

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「空飛ぶ教授」の研究者として成功する条件

2005-04-10 | Education
 知人のblogを通じて知った「空飛ぶ教授」こと,九州大学の生物(生態科学)の教授, 矢原徹一先生 のblogが面白い.

 4/9の記事は,新学期らしく「研究者として成功する条件」である.この条件には,研究者に限らず,広い意味での知的専門家に共通するポイントがあると思ったので紹介しよう.
 
 その条件とは,「...好きなことに没頭できること、人と違った道を歩けること、そして人並み以上の実行力。もちろん、これだけで十分ではないが、この3点を満たせば、研究者としてやっていけると思う。」とのことだ.
 この3つの点は,「専門家」にはとても重要だと思う.でも,この3点を満たせば「研究者としてやっていける」?かどうかは,私には判らない.

 研究のテーマについては,「学生と議論し、学生の興味・関心を見極めながら、ある程度は確実性があり、なおかつチャレンジングなテーマを考える。私はどうも、後者に重点を置きがちなのかもしれない。自分でやっても、苦労しそうなテーマを出したりする。しかし、先がすっかり見えているテーマは、やる気がしないのだ。」「学生も、私も、ともにわくわくできるテーマに相談が落ち着けば、その研究は6割程度成功したに等しいと思う。あとの4割は学生の実行力が左右する。」とある.
 基本的には賛成だ.チャレンジグな命題の方がワクワクする.しかし,大学院の研究は「人材育成」の視点も重要なので,(ここでは,さらっと「確実性」としてしか言及されていないけど)手持ちの設備,研究室のスタッフや生徒の能力を見極めた上でテーマを選び,規定の期間内にちゃんと修士や博士の学位が取れるような研究指導ができるかどうかもポイントだと思う.
 
 私の独断では,日本の大学教授には,おおまかにいって,以下の3つのタイプがある:
  A  学生の能力をうまく活かした研究指導をしコンスタントに博士を出せる
  B  自分の研究はするが研究指導がヘタで教え子に博士を出せない 
  C  教授になるともう研究しない
 世の教授をよく観察すると, B, C のタイプの教授がとても多くて,実は博士取得者の多くは,Aのタイプの教授の研究室から偏って輩出されている.そういう意味では,生徒の側からみた,成功の条件には,Aのタイプの「教授を選ぶ目」も重要だと思う.(矢原教授は当然Aのタイプだと思う)
 
 さらに,実行力について,「たとえば論文。毎日必ず1時間、論文の原稿を書ける人は、数ヶ月程度で原稿を完成できる。これを実行できない人は、1年かかっても、論文が書けない。このような、ちょっとした実行力の差が、1年経てば大きな差になり、5年も経てば圧倒的な差になる。」という.この,「ちょっとした実行力の差」がその実行の継続によって「圧倒的な差」を生むというのは,本当だと思う.そういえば,私も,修士課程2年目のころは,シミュレーションプログラムの開発,シミュレーションの実行と解析,論文の執筆などを毎日していた.社会人として兼業で博士課程をやっていたときは,さすがに「毎日,論文執筆」とはならず,学位取得には4年かかった.
 私は,情報系が大学での専門ではないのに情報系の仕事についた.それを補うために,殆どの情報工学/ソフトウェア工学のことはずっと独学している.例えば,同僚や友人が酒を飲んでいる時間に,こっちは,毎日とは云わないが,睡眠時間を削って本を読んだり,仕事とは別のソフトウェアをいじったりしてきた.こんなことを20年も続けると,やはりその蓄積の差はまさに「圧倒的」である.
 
 それから,矢原教授には"「不機嫌なジーン」南原教授のモデルだという「うわさ」がある"らしい.
コメント (2)
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