Dr. Jason's blog

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牛海綿状脳症(BSE) 問題 続編1

2005-04-18 | Environment
 きらさぎけいすけ氏のblogで 私のBSEに関する記事(4/16)へのフォロー があったので,さらに調べてみた.

 イギリスの有機農業家マーク・パーディ(Mark Purdey)氏は,伝達性海綿状脳症 (transmissible spongiform encephalopathies : TSE) について,様々な研究をおこなっており,その成果は, パーディ氏のWebサイト(英文) にまとめられている.
 [TSEとは,牛のBSE、人のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD),変異CJD(vCJD),ゲルストマン・シュトラウスラー・症候群(GSS),クールー病,羊のスクレイピー,鹿やカモシカの慢性消耗病(CWD),猫の猫科海綿状脳症(FSE)などの様々な神経退行性の病気の総称である.]

 このWebによると,パーディ氏は,有機リン系農薬がBSEに影響しているという仮説や,土壌や環境中のマンガンの過剰と銅の不足がBSEの原因になっているという仮説を発表している.
 また,英国ケンブリッジ大学の追試によって,プリオンたんぱく質の銅が減少した部分にマンガンが過剰に付着することが確認されているという.それから,米国ケース・ウエスタン大学の調査では,CJDに侵された脳組織中で通常の10倍のマンガンの増加と銅の50%の減少が記録されているらしい.さらに,神戸大では,紫外線照射によるマンガンのプリオン細胞培養実験を行っているともいう.
 
 日本においては,一部の 食の安全に関する活動家 有機農業の団体 だけが,パーディ氏の活動や講演を取り上げているように見える.また,それに対して,日本の学会の主流派の先生には, これらのパーディ氏の仮説とそれに関する追試等の報告はあまり評価されていない ようだ.

 まさに,「なんか,変」ではないだろうか?

 私にとっては,大元が「有機リン系の農薬」だけかどうかは別としても,「環境中の金属イオンのアンバランスが,神経組織中のタンパク質に著しい悪影響を及ぼした結果TESが発症する」という,メカニズムは,工学的にも直感的に理解し易いモデルなのだが...

 

コメント (3)
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