Dr. Jason's blog

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牛海綿状脳症(BSE) 問題

2005-04-16 | Environment
  牛海綿状脳症(BSE) 対策への見解の相違等から,日本では米国産の牛肉の輸入を禁止している.
 先月来日した,米国のライス国務長官は,米国牛肉の輸入再開を強く求めていた.小泉首相は「食の安全の視点から必要な国内手続きを進める」と述べ、再開の期日を示さなかった。
 ライス国務長官は,米国がBSE発生国からの牛の生体輸入を原則的に禁止していることを,日本人は知らないとおもっているのだろうか?
 米国では2003年5月にカナダで牛海綿状脳症(BSE)が発見されて以来,一部の牛肉だけを輸入解禁し,生体輸入は禁じていた.この3月に輸入が幸いされそうになったが,結局 輸入禁止のまま になっている.そのあと,米国では, 「米農務省はBSE秘匿」 しているとの疑いまで出ている.「また米加両国の肉牛の生産・飼育システムがほぼ共通だと指摘。カナダで一昨年から4頭のBSEの牛が見つかったのなら、米国でもっと多くのBSEが見つかるのが自然だ.」というのは,スジの通った指摘であろう.
  全頭検査 が科学的かどうかは別だが,米国の多くの牛は実際には月齢管理されていないので,全頭検査以前の問題である.
 いずれにしても,米国がカナダからの牛の輸入を原則禁止しているうちは,日本が米国からとやかくいわれるのはフェアではないだろう.

 たまたま,プレジデント誌の 2003.12.29 号 35.pをみていたら,「9頭 狂牛病の恐怖は終わらない」というBSEの記事がでていた.2005.3.17には 16頭 目が確認され,2005.4.4 には北海道で 17頭目 が発見された.実際にはこの2-3倍発生しているのではないだろうか?
 日本には,肉用牛は280万頭ほどいる.もし,現在確認された2倍近い数のBSE牛がいるとすると1000頭に1.2頭いる見当になる.
 そのプレジデント誌の記事中,感染ルートについて"例えば,イギリスの有機農業のマーク・パーディ(Mark Purdey)氏は,独自にBSEや羊のスクレイブーが群発する地域を調査した結果,「有機リン系農薬などの酸化力の強い環境因子がプリオンタンパクの形を変え,BSEを引き起こす」と結論づけている"という解説がある.この説は,有機農業や農薬問題に取り組んでいる人の間ではよく知られているようだが,日本ではその後この説はあまり議論されていないように思う.インターネット上の情報も少ない,何故だろう?


 厚生労働省では, BSE等に関するQ&A をまとめている.結構くわしく書かれているが,あまり読み易さは考慮されていないようだ.
 それに比べると,動物衛生研究所の BSEのサイト は,情報量も多いが,見易いし,外部の情報へのリンクも充実している.


誤記訂正しました:マーク・バーディ -> マーク・パーディ

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