Dr. Jason's blog

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環境安全工学 5 空気、水、土壌の安全

2006-10-30 | Mech Eng
 某大学の機械系の学科での「環境安全工学」の5回目の講義。
 概要は、以下のとおり。

1. 本日の参考書等
 この記事の最後に示した。

2. 地球環境問題
 地球生態系へのアンバランス
 (独)国立環境研究所 地球環境研究センター(CGER)によるモニタリング
 主な地球環境問題
  主な地球環境問題:
   1) 人口爆発
   2) 海洋汚染
   3) 地球温暖化
   4) オゾン層破壊
   5) 酸性雨
   6) 砂漠化・熱帯雨林の消滅
   7) 黄砂
   8) 野生生物減少
   9) 汚染物質の越境移動
   10) ヒートアイランド現象
 人口爆発(Exolosive Population Growth)

3. 色々な環境の安全
 空気(大気)の安全
 水の安全
 土壌の安全
 食の安全

3.空気の安全
 a) 大気の組成
 b) 大気汚染の現況
  大気汚染のスケール
   地球規模の大気汚染
   地域規模の大気汚染
   室内等の大気汚染
  有害大気汚染物質(優先取組物質)として、22物質選定。
   アクリロニトリル ベンゼン
   アセトアルデヒド ベンゾ[a]ピレン
   塩化ビニルモノマー ホルムアルデヒド
   クロロホルム 水銀及びその化合物
   酸化エチレン ニッケル化合物
   1,2-ジクロロエタン ヒ素及びその化合物
   ジクロロメタン ベリリウム及びその化合物
   ダイオキシン類 マンガン及びその化合物
   テトラクロロエチレン 六価クロム化合物
   トリクロロエチレン クロロメチルメチルエーテル
   1,3-ブタジエン タルク(アスベスト様繊維を含むもの
   ※ これらの物質について、各自復習すること。
 c) 自動車の排気ガス
   増え続ける自動車
   排ガス技術の限界
   次世代自動車への移行が必要。
 d) 室内空気汚染の現況
   喫煙
   シックハウス:
    のどの痛み、頭痛、目のチカチカ、傾眠、集中力欠如、
    めまい、涙目、目の充血、目の乾燥、鼻づまり、鼻汁、
    吐き気、呼吸困難、発疹、皮膚乾燥、かゆみ.....等
   主な原因:
    室内の内装等につかわれる建材、接着剤、塗料等。
    ホルイムアルデヒド (HCHO)
    トルエン (C6H6-CH3)
    キシレン (C6H6-(CH3)2)
    酢酸ブチル (CH3COO(CH2)3CH3) ......等
 e) 悪臭防止

4. 水の安全
 a) 水資源
 b) 水環境の現状
 水の環境パラメータ:
  水素イオン濃度 (pH)
   酸性か、アルカリ性か? 
  生物化学的酸素要求量(BOD biochemical oxygen demand)
   微生物が水中の有機物を分解するために必要な酸素
  化学的酸素要求量(COD chemical oxygen demand)
   水中の被酸化物を酸化剤で酸化するために必要な酸素
  浮遊物質量 (SS suspeded solids)
   単位容積当たりの浮遊物の重さ
  溶存酸素量 (DO dissolved oxygen)
   水中に溶存する酸素
  大腸菌群数
  ※ これらは、常識として憶えること。
 c) 水の汚染
  汚染物質:
   人間の活動、農薬等による、窒素、リン
   藻、カビの繁殖
   水道消毒の塩素による有機塩素系化合物
   ゴミの焼却、塩素系農薬によるダイオキシン類
   工場や家庭の洗剤、界面活性剤
    アルキル硝酸ナトリウム
    陽イオン陰イオン系界面活性剤
    非イオン系界面活性剤
    直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム
    ノニルフェノールポリエポキシレート
 d) 飲料水の安全
  飲料水はとても少ない:
  安全な飲料水はとても少ない:
   この10年間に、安全な飲み水が手に入る人の割合は、世界
   全体で77%から82%に増えた。
   ・・・しかしまだ11億人以上が安全な水源を利用できない。
  安全で美味しい水:

5. 土壌の安全
 a) 土壌の一次汚染
 b) 土壌の二次汚染
 c) 土壌汚染の事件
 d) 土壌物質と環境基準値一覧
  第一種特定有害物質
  特定有害物質の種類  土壌溶出量基準(mg/L)
  四塩化炭素    0.002以下
  1,2-ジクロロエタン 0.004以下
  1,1-ジクロロエチレン 0.02以下
  シス-1,2-ジクロロエチレン 0.04以下
  1,3-ジクロロプロペン 0.002以下
  ジクロロメタン 0.02以下
  テトラクロロエチレン    0.01以下
  1,1,1-トリクロロエタン 1以下
  1,1,2-トリクロロエタン 0.006以下
  トリクロロエチレン    0.03以下
  ベンゼン           0.01以下

 e) 放射性廃棄物地層処分
   原子力発電総発電量容量: 4822万キロワット
   原子力発電所: 17箇所
   原子炉: 54基 (米国 103、フランス 59に次ぐ)
   原子炉からは、「使用済み核燃料 」が出る。
   使用済み核燃料 == 高レベル放射性廃棄物
   現在、使用済み核燃料は海洋投棄できず、地層処分する必要がある。
   ガラスで固化、オーバーパック、30~50年間冷却のために貯蔵
   最終処分法に従って地下300m以深に地層処分
   本当にこのようにうまくいくのか??
   
   
参考書等:
人間・環境・安全―くらしの安全科学
及川紀、北野(著)
共立出版

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環境安全科学入門
玉浦 他 (著)

講談社

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環境安全論―持続可能な社会へ
北爪 他 (著)

コロナ社

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参考URL:
http://www-cger2.nies.go.jp/
http://www.erc.pref.fukui.jp/topic/earth.html
http://www.virtualglobe.org/jp/info/env/
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/index.html
http://www.s-yamaga.jp/nanimono/taikitoumi/taikinokouzo.htm
http://www.erca.go.jp/
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/
http://www.securitynet.jp/water/index.htm
www.unicef.or.jp/library/pdf/toukei_2.pdf
ja.wikipedia.org/wiki/土壌汚染
http://www.landsolution.co.jp/whats/wht_list.html
http://www.numo.or.jp
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環境安全工学 4

2006-10-22 | Mech Eng
某大学の機械系の学科で「環境安全工学」の4回目の講義。

概要は、以下のとおり。

1. 本日の参考書等
 この記事の最後に示した。

2. スペースシャトルの事故から学ぶ
 2限目の講義の冒頭で、YouTubeのチャレンジャー号爆発の様子のビデオ流した。
 # 1限目はネットワークの設定が不十分でYouTubeに接続できませんでした。
 ※各自、是非自宅等で、以下のビデオを見る事。
 a) 1986/1/28 チャレンジャー号
  Challenger Video (CNN, 02:23)  
   http://www.youtube.com/watch?v=9maWcIatweM
  Challenger Video (NASA: 05:13)  
   http://www.youtube.com/watch?v=OZy8YC7QBvc
 b) 2003/2/1 コロンビア号
  Columbia Memorial Video (NASA and etc. 07:21)
   http://www.youtube.com/watch?v=Gloa6yeG2C8
  Challenger/Columbia Comparison Video (09:59)
   http://www.youtube.com/watch?v=hS5hUgCHdUw
 c) 教訓
  原理、原則を重視する。
  小さな失敗/トラブルを軽視しない。
  環境変化を考慮して、構造や素材を選ぶ。
  これまでに経験していない外部要因/環境を甘くみない。
  現場、業者の声に耳を傾ける。
  スケジュールと品質は引き換えられない。
  入札では、価格だけでなく品質を十分考慮する。

3. 安全設計
 a) 安全設計とは
  機械、システムの故障、使用者のミス等があっても、機械、システム側で安全を確保する「しかけ」を施す。設計の中に、安全設計を織り込む。
 b) 安全設計の原則
  安全方策
  リスクアセスメント
  本質的安全設計
  安全防護
  付加防護
  使用上の情報

 c) 安全設計の寸法
  押し潰し回避
  人体の危険領域侵入防止
  トリップ装置の安全距離

 d) 安全設計のコンポーネント
  インタロック装置
  トリップ装置
  手動操作制御装置
  制御コンポーネント
  ※ 各コンポーネントの詳細は、各自、参考書、図書館、インターネット等で調べること。試験に出る可能性大です。

4. 宿題 提出
  未提出のみなさん、10/23の講義でも受け付けます。


参考書:
衝撃のスペースシャトル事故調査報告―NASAは組織文化を変えられるか
中央労働災害防止協会

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スペースシャトルの事故の内容ととNASAの問題がコンパクトにまとめられている。エンジニアを目指すすべての人に「教訓」としてオススメできる。

はじめて学ぶ機械の安全設計
長岡技術科学大学 (編)
日刊工業新聞社

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機械の安全設計の入門書。教科書「機械安全工学」だけでは判りにくかった人、安全設計の基礎についてさらに学びたい人に好適な良書。


参考URL:
http://shippai.jst.go.jp/fkd/Detail?fn=0&id=CA0000639
http://www.kanazawa-it.ac.jp/dawn/198601.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/チャレンジャー号爆発事故
http://shippai.jst.go.jp/fkd/Detail?fn=0&id=CB0011019
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/20030203301.html
http://iss.sfo.jaxa.jp/shuttle/sts_accident/nasda_reports/prompt_report0826.html
http://astro.ysc.go.jp/sts-107.html
http://www.tri.jspmi.or.jp/safety/index2.html
http://www.sys.cs.meiji.ac.jp/~masao/kikaianzen/chuusaibou-0410gatsugou-keisaiyou.pdf
http://www.kosaibo.or.jp/sub/topics_hokatu_b2.html
http://safety.mri.co.jp/colum/vol093.html
http://www.suzuden.co.jp/gijyutu/pdf/pdf33_01.pdf
http://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/safety/safety_technical_guide_3.pdf




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環境安全工学 3

2006-10-08 | Mech Eng
 某大学の機械系の学科で「環境安全工学」の3回目の講義。

 概要は以下のとおり。

 1. これまでの講義
  都合で、今回から参加の学生さんがいたので、前回2回分の講義についてまとめ。
   [第1回]
  ・初回ガイダンス
   [第2回]
  ・安全のイメージ
  ・トラブルの確率とパターン
  ・信頼性工学 その1
  ・教科書、参考書等

 2. 信頼性工学 その2
  前回講義の「信頼性工学 その1」の続き。
  ・信頼性工学の枠組み
  ・信頼性への要求
  ・アイテムの信頼性
  ・故障解析
  ・抜取検査
  ・信頼性試験

 3. ソフトウェアの信頼性
  ・品質
  ・設計と実装
  ・ソフトウェアのテスト
  ・ソフトウェアの検査

 4. 安全とリスク (自動回転ドアのケース)
  ・自動回転ドア事故 事故の状況
  ・間違いだらけの「安全」
  ・安全への低い関心
  ・自動回転ドアの安全規格

 5. 宿題
  4の回転ドア事故のケースに関する宿題を出した。

  さて、どんなレポートがでてくるか楽しみですね。



参考文献
入門 信頼性工学 - 確率・統計の信頼性への適用
福井 泰好
森北出版株式会社

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「信頼性工学」を学びたい人には、特にオススメの新しい入門参考書(2006/7/13発売)。


信頼性工学入門
真壁 肇
日本規格協会

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信頼性工学の定番教科書。

機械系のための信頼性設計入門
清水 茂夫
数理工学社

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定量的信頼性設計の実践的最新の入門書

ソフトウェア工学
中所 武司
朝倉書店

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ソフトウェア工学のコンパクトな入門書。
ソフトウェア開発に関して、歴史や動向、開発技法、要求、設計、品質評価、オブジェクト指向技術等、幅広い内容。
ソフトウェア工学について、「最初の一冊」としてオススメ。

安全とリスクのおはなし―安全の理念と技術の流れ
中嶋 洋介(著), 向殿 政男(監修)
日本規格協会

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2004/3/24、六本木で起きた「自動回転ドアの事故」のケースを詳しく解説。
機械の安全やリスクについて、国際規格や考え方を簡潔にまとめている。
学生や若いエンジニアに是非読んでもらいたい。

インターネット上の参考文献
http://www.webstore.jsa.or.jp/webstore/top/index.jsp
http://www.jaxa.jp/press/2004/01/20040109_h2af6-01_j.html
http://www.sea.jp/SPIN/Reports/SPIN040226-Nara-handout3d.pdf
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環境安全工学 2

2006-10-01 | Mech Eng
 この9月から、某大学の機械系の学科で「環境安全工学」という科目を講じている。
  最初の講義では、講義の概要の説明や評価方法等のガイダンスをおこなった。

 2回目の講義では、以下のような話しをした。

 1. 安全のイメージ
  ・安全についての考え方
    安全についての考え方は、国、人、その他によって色々違う
  ・日本と欧米の「安全」
    日本の「安全」に対するアプローチの弱点
  ・電気機械類の安全の国際規格
    IEC 61508

 2. トラブルの確率とパターン
  ・事故や災害の確率 
    ハインリッヒの法則 1:29:300 ゴキブリの法則(by Jason)
  ・高度技術集約型システム 
    ハイテクの場合 1:2:10
    新技術や設計の見落とし、人間の理解/操作ミス、経済効果優先のミス
  ・労働集約型技術システム 
    ブロの場合:医療、情報システム、プロでない場合:建築現場
  ・都市構造技術システム  
    都市の問題、自然、火災、交通災害

 3. 信頼性工学 その1
  ・信頼性工学の基礎
    信頼性工学とはなにか?
    指数分布、ガンマ分布、ワイブル分布
    正規分布、二項分布、ポアソン分布
    バスタブ曲線
    MTBF、MTTR、MTTF、稼働率



 教科書、参考書、参考URLは、以下のとおりである。

 教科書(初回でも提示)
機械安全工学―基礎理論と国際規格

養賢堂

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 参考書(初回でも提示)
国際化時代の機械システム安全技術

日刊工業新聞社

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 参考書(今回のトピックス)
国産ロケットはなぜ墜ちるのか

日経BP社

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 参考書(今回のトピックス)
安全学の現在―村上陽一郎対談集

青土社

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 インターネット上の参考 URL
  http://ja.wikipedia.org/wiki/ÉnÉCÉìÉäÉbÉqÇÃñ@ë•
  http://www.mitsue.co.jp/case/marketing/03.html
  http://www.chuo-u.ac.jp/chuo-u/randdev/f02_05_74_j.html
  http://www.semiconductor-sanyo.jp/reliability/index.htm
  http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/lecture/Bunpu/
  http://www1.harenet.ne.jp/~noriaki/link73.html
  http://msugai.fc2web.com/pgm/robast.html
  http://jp.fujitsu.com/microelectronics/quality/ad00-00003/index_p6.html
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