Dr. Jason's blog

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大学生活の意義、大学での勉強の見直し

2010-09-27 | Education
 最近、学生から、以下のような話を聞いた、

  A) 高校での進路選択の際に、高校で成績の良い科目だけを考慮して、専攻の内容や、その後の職業について十分に検討しなかった。

  B) 現在の専攻は、自分に向いていないように思う。
  
  C) 講義はなんとかこなして、単位もとれているが、本質的なこをと修得できている気がしない。

 当然、上記のような状態では、就職活動などについても、方向性を見いだせないという。


 A), B) は、昔からよくある、高校での、進路指導上の問題である。
 高校の成績は、「まじめさ」「勤勉さ」「反復練習への忍耐力」などに左右される部分が少なくないので、高校で、有る科目の成績が良いということと、その科目と関連が深い大学での専攻に「適正」が高いということは、必ずしも関連がない。安易に、ある受験科目の成績が良いからといって、大学の「専攻」を決めるのは非常に危険だと言える。
 大学での専攻は、むしろ、その分野に関する「興味」の度合い、その専攻に関連の強い職業への「関心」などを、重視すべきだと思う。
 もちろん、高校2-3年のときの、興味や関心が、その後、2-3年継続するとは限らないし、大学で勉強している間に、「方向転換」ということもあり得るが、基本的には、「興味」や「関心」がない専門分野の知識やスキルはみにつきにくい。


 C) は、高校までの勉強と、大学での勉強の「スタンスの違い」に起因していると思われる。
 高校までは、
   教科書の内容を、教師の指導に従って、天下り式に修得する。
 が、基本的なスタンスである。

 しかし、大学では、
   教科書や参考書ベースとして自ら学ぶ。
   講義はそのきっかけや指針を与えるものである。
 というのが、基本的なスタンスである。(ことになっている。)
 つまり、「自分で研究し、自分で勉強する」のである。
 ここで、「興味」や「関心」が必要になってくると思われる。

 以下は、大学の使い方、勉強の仕方についての、指針となる参考書である。
 どれも薄い本なので、一冊、1-2時間で読める。100%鵜呑みにするのは、よくないが、「こういう考え方もあるのか」という参考にはなるものだ。

大学時代に学ぶべきこと、学ばなくてよいこと (PHP文庫)
鷲田 小弥太
PHP研究所

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大学で何をどう学ぶか (PHP文庫)
飯田 史彦
PHP研究所

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頭のいい大学四年間の生き方 (中経の文庫)
和田 秀樹
中経出版

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大学生のための知的勉強術 (講談社現代新書)
松野 弘
講談社

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 また、色々な意味で、迷いが生じた結果、どうもモチベーションがあがらないということもあろう。そのような場合に、以下のような本も参考になるだろう。


答えが見つかるまで考え抜く技術 (サンマーク文庫)
表 三郎
サンマーク出版

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なぜモチベーションが上がらないのか [ソフトバンク新書]
児玉 光雄
ソフトバンククリエイティブ

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モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか
ダニエル・ピンク
講談社

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 大学生活も後半戦に入ってから「この専攻は自分にはあっていなかった」というのは、ちょっと気がつくのが、遅いような気もするが、そのような場合でも、途中で投げ出してしまうのは、ちょっともったいない。なんとかがんばって卒業するようにした方が良い。
 # 1年次で、きづいた場合には、退学して、他の大学をうけなおすという選択肢もあろう。

 では、「より自分にあった専攻分野の勉強」はどうするのか?
もし、経済的に可能であれば、一つ目の大学を卒業したあとに、もう一つ、改めて、別の分野の大学を卒業するという方法がある。
一つ目の大学をちゃんと卒業していれば、二つ目の大学は、ほとんどの場合、学士入学で、2年あるいは3年生に編入できる。3年に編入して、2年間で卒業すれば、6年間で、2つの分野を勉強して、2つの学士号が得られるわけである。
 これは、2浪して2年間予備校にフルに通ったあとで、一つの大学を4年で卒業するのと、時間もお金も同等だが、その、学びの内容は相当に違う。もちろん、就職には若干不利かもしれないが、「この専攻は自分にはあっていない」と思ったまま、就職するよりは、ずっと良いのではないだろうか?
 また、たとえ、一つ目の大学が「自分にはあっていない」と思われる分野であったとしても、卒業できる程度までは勉強してあるというのは、その分野について「大学レベルの高等教育を受けていない人」とは、相当に差があるわけだ。それをふまえた、上で、2目の大学で「より自分にあっている」と思われる分野で、2つ目の学士号を得るというのは、十分に意義のあることだと思う。

 この場合、一つ目の大学の後半に在学中に、色々見聞を広めて、2つ目の大学の専攻分野や、そのあとの職業について、十分に検討する必要がある。

 また、分野によっては、2つ目の大学は、通信教育課程を選択肢に入れることもできる。医薬系、理学、工学系以外の分野であれば、相当に広い範囲の専攻分野で、通信過程で大学学部の勉強をして、学士号を取得することができる。教師などの職業を視野に入れた場合でも、教職課程をもった通信の大学も色々ある。

 大学の通信教育課程は、
  入学審査は書類上の手続きだけ
  学費が安い
  図書館などの施設は通学の場合と同様に使うことができる
  大学卒業の者は、ほとんどの場合3年次に編入できる
という特徴がある。

 また、2つ目の大学を通信教育課程とした場合には、パートタイムの仕事などをしながら、大学で勉強することも比較的容易である。
 ここまで考えてみると、
  卒業までに、二つ目の大学の専攻をしっかり選ぶ。
  可能であれば、通信教育課程も考慮に入れる。
  自宅あるいは大学に近いところで、パートタイムの仕事を探す。
 といことを、4年生の秋までに進めるというのが、一つの戦略ということになるのではないだろうか?


参考として、以下に日本の通信教育開設大学の一覧のサイトを示す。
http://www.gakkou.net/spc/daigaku/spc005/


 
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講義: 情報教育の研究 2010-02

2010-09-26 | Informatics
 母校での、「情報教育の研究」の講義の2回目。

 この講義では、教師から学生への一方通行的な座学ではなく、できるだけ、学生と一緒に、学生が考え、自分の言葉で発言し、ディスカッションすることを心がけたい。


 講義の概要は、以下のとおり。

 ・学生の皆さんのレポートから、「情報」に関わる
   普段疑問に思っていること
   学習で困っていること
  についての口頭発表とディスカッション

 ・再び、情報とは何か、情報学とはなにか?
  色々な文献のコピーを参照しながら、情報、情報学、さらに、
  情報の媒体としてのメディア、メディア学についても解説した。



宿題

以下の内容について、レポートする。
本日の配布資料を参考に、さらに自分の調査と考察を
くわえて、 自分なりの「情報」および「情報学」について
考えをまとめる。
800-1600文字程度レポート(A4ワープロ横書き)にまとめ、
次回、講義開始時に提出すること。

レポートのスタイルは以下のとおり。
 学籍番号 学年 学科 氏名 提出年月日
 まえがき
 本文
  情報とは
  情報学とは
 まとめ
 参考文献



参考書

以下は、高校の「情報科」の教員に限らず、「情報」や「情報学」について、有る程度本格的に勉強しておきたいという方には、広くおすすめできる本ばかりです。
特に「基礎情報学」、「メディア学の現状」は必読の定本。
「人間・社会・コンピュータの情報処理原論」は、大妻女子大学での基礎科目のひとつであった「情報処理言論」の講義で、実際に話されていた内容を、教科書としてまとめたものです。
「情報学とは何か」は、国立情報学研究所の先生方による本ですから、日本政府の運営する研究所が、「情報学」をどうとらえ、どう研究しているかがわかります。
「情報って何だろう」は、高校生ぐらいを対象とした、新書ですが、とても濃い内容です。エピソードとしてとりあげられているトピックの選び方がとてもいい。
「メディア社会学」は、現代社会における、さまざまなメディアとITについてコンパクトにまとめられています。
「メディア・リテラシー」は、現在の日本の中学、高校での言語、情報、メディアについての教育で欠けているものを考えさせられます。


人間・社会・コンピュータの情報処理原論
野? 昭弘
ベレ出版

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情報って何だろう (岩波ジュニア新書)
春木 良且
岩波書店

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基礎情報学―生命から社会へ
西垣 通
NTT出版

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情報学とは何か (情報学シリーズ)
小野 欽司,根岸 正光,安達 淳,上野 晴樹,坂内 正夫
丸善

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メディア社会―現代を読み解く視点 (岩波新書)
佐藤 卓己
岩波書店

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メディア学の現在 (SEKAISHISO SEMINAR)

世界思想社

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メディア・リテラシー―世界の現場から (岩波新書)
菅谷 明子
岩波書店

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講義: 情報教育の研究 2010-01

2010-09-26 | Informatics
 この秋から、母校で、教職課程の科目である「情報教育の研究」の後半部分を講ずることになった。

 教職課程の科目であるから、本来は、高校の「情報科」の教員を目指す学生向けに、「情報教育」のあり方、方法などについての指針を示すためのものであるが、私は実務家でもあるので、もう少し広い視点にたって、「何らかの立場で、他者に情報、情報学、情報システムについて、指導する人」のための、基礎となる内容にしていこうと考えている。

 最初の講義の概要は以下のとおり。前半とは担当教員が交代になっているので、自分自身の自己紹介と、それぞれの学生の自己紹介も含めた。
 

 ・私の自己紹介
 ・連絡先等
 ・学生のみなさんの自己紹介
 ・情報とは何か、情報学とはなにか?
 ・この講義の進め方


 シラバス上での、講義の日本語の科目名は「情報教育の研究 A」である。これが、英語では、

 Study of Information Communication Technology Education A

となっている。「A」とあるのは、通年の科目であり、私はその後半の担当。夏休みに集中講義として行なわれる別のクラスがあって、そちらは「B」となっている。

 私の感覚でいうと、本来は、
 
 Study of Informatics Education A

であるべきなではないだろうか?


 また、宿題として、以下のレポートを課した。

宿題

以下の内容について、レポートする。
 ・自己紹介の要約、情報教育への抱負 
 ・前半の講義の自なりの要約
 ・前半の講義で特に印象に残ったこと
 ・「情報」に関わることで、普段疑問に思っていること。 
 ・「情報」に関わる学習で、困っていること。

800-1600文字程度レポート(A4ワープロ横書き)にまとめ、次回、講義開始時に提出すること。

レポートのスタイルは以下のとおり。
 学籍番号 学年 学科 氏名 提出年月日
 まえがき
 本文
 まとめ

※講義で提出できない者は、メールで提出のこと。 


 参考書、参考文献については、講義の中で、随時提示、解説する。シラバスで提示している、教科書、参考書は、以下のとおり。

この講義の教科書 (シラバスでの指定)

実践 情報科教育法―「ものづくり」から学ぶ
坂口 謙一,丸山 剛史,村松 浩幸,本多 満正,長谷川 元洋
東京電機大学出版局

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この講義の参考書 (シラバスでの列挙)

人間・社会・コンピュータの情報処理原論
野? 昭弘
ベレ出版

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情報システム基礎 (IT Text)
神沼 靖子
オーム社

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ソフトウェア入門 (岩波新書)
黒川 利明
岩波書店

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