新渡戸稲造記念 さっぽろがん哲学外来

さっぽろがん哲学外来の活動予定や活動の様子などを
皆さんにお伝えします。皆さんの参加をお待ちしています。

がん哲学校たより・56(0093)

2015年04月06日 | 樋野先生からのメッセージ
樋野先生からのおたよりです(2015.4.5配信)
第105回「がん哲学学校」
「北陸新幹線開通記念講演会」~なすべきことをなそうとする愛~

週末の午後(2015年4月4日)、北陸新幹線開通記念講演会【がん哲学外来“とやま”~なすべきことをなす~】(冨山県立中央病院に於いて) で、講演【がん哲学外来~なすべきことをなそうとする愛~】をする機会が与えられた。筆者にとっては、冨山県は初めての訪問である。北陸新幹線の窓から見える、雪に蔽われた立山連峰の壮大な風景は、感動的であった。富山市街地を流れる松川の両岸の川べりのソメイヨシノは満開であった。良き想い出となる日であった。

会場には、金沢・東京・神戸からの参加者もあり、各テーブルは、満席であり、大盛況であった。早速、地元のテレビ局のニュース番組( KNBニュース|北日本放送|KNB WEB )に『――― 樋野興夫教授は、医師には病気を直接治療することと、人間的な責任で手を差しのべる2つの使命があり、患者が「病気であっても病人でない」人生を送ることができるよう寄り添うことが大切だと訴えていました。』と紹介されたようである。翌朝の、北日本新聞、冨山新聞(2015年4月5日付け)にも取り上げられていたようです。市民の関心の高さを感じた。

今月から、スタッフの皆様による「がん哲学外来“とやま” メディカルサロン“ほっこり”」が、毎月第4土曜日 (2:00~4:00pm) 街中の『おじいちゃんのサロン【長谷部】』で開催されるとのことで、講演会後、会場に案内された。定年退職後の看護師さんの第2の人生としての、素晴らしい「お茶のおもてなし」の空間であった。その後、スタッフの皆様との懇親会に向かった。

がん患者・家族にとって、負担のない距離、利便さを鑑みれば、「がん哲学外来カフェ」は、15000人の人口に1ヶ所 (全国に 7000 ヶ所) は必要となろう。参加されていた、がん患者、中学生の息子さん、医療者を中心に、上記のサロンと連携して、「南原繁記念 がん哲学外来 in 冨山」も実現されることが決定された。南原繁は、1914年 東京帝国大学法学部政治学科卒業後 内務省入省し、1917年 冨山県射水郡郡長に任ぜられでいる。その意味でも、筆者にとっては、考え深いものがある。帰宅される時の患者さん親子の、【役割意識・生きがいに満ちた、清々しい笑顔】に接し、「がん哲学外来」の本当の意義を痛感した。


がん哲学校たより・55(0092)

2015年04月06日 | 樋野先生からのメッセージ
樋野先生からのおたよりです(2015.3.31配信)
第104回「がん哲学学校」
「記憶の中で、生きる」~柔和な温かい態度~

今、筆者は、久しぶりに、アメリカに滞在している。 成田――> Chicagoー> Kansas City の旅であった。機上では、読書と映画鑑賞をしながら時を過ごした。

成田――> Chicago の機上では、映画【Interstellar と The theory of everything】を鑑賞した。【Interstellar】は、【異星への移住計画の可能性を求めて宇宙へ旅立ったパイロットの苦悩と『アインシュタインの「特殊相対性理論」(地球上では長い年月でも、光速で銀河を航行する者にとっては一瞬でしかない棟言う理論)』を取り入れた SF ドラマである】と,機内誌には、紹介されていた。人類の未来の有り様を、彷彿される映画でもあった。まさに、「試練に耐え抜いて、その使命を担う」とは,時代を超えても、人類の変わらぬ【生き方】であろう。

【The theory of everything】は、【ALS (筋萎縮性側索硬化症)に冒されながらも研究活動を続けている Stephen Hawking 博士。“車椅子の天才物理学者”とも呼ばれる彼の半生を映画化した伝記ドラマ】と、紹介されていた。先日、恵泉女学園の理事会で頂いた新刊『マタイ福音書を読もう3』(松本敏之著)を持参し、機内で通読した。「真剣であるが、硬直しない。まじめではあるが、ユーモアのゆとりがある」の文章が、「がん哲学外来」の心得として印象に残った。

Chicago 空港から Kansas City に向かった。Kansas City に住む娘の結婚式に出席する為である。ペンシルベニ州のベツレヘムに住む wife の姉夫婦、ミシガン州の Grand Rapids に住む娘、カナダのバンクバーに住む息子も集まり、久しぶりの再会の時となった。Kansas City は、筆者にとっては、初めての訪問である。 Wife、姉夫妻らとドライブしながら、広大な風景には、大いに、心がやすらいだ。

カ ルフォルニア州に住まわれている、花婿のご両親と、初対面し、素晴らしい語らいの一時が持てた。結婚式・パーテーには、多数の参列・参加があり、まさに、 「記憶の中で、生きる」時となった。国を超えて,民族を超えて、「正義、慈愛,誠実」に基づく「柔和な温かい態度」は、人類への「共通の贈り物」であるこ とを再確認した。これが、今回のアメリカの旅の最大の収穫でもあった。

がん哲学外来について

患者さんが抱える悩みは病人としての悩みではない。人間としての悩みです。 がんという大病を得たとき、それを背負って人間としてどう生きるかという深い悩みです。それは「心のケア」というレベルではなく、自分という存在そのものを問う領域なのだと思います。ですから、「がん哲学外来」では、来られた方を「病人」の側面だけではなく、ひとりの人間としての悩みに焦点を合わせます。同じ人間として、対等の目線に立って、人間を学ぶ「人間学の場」でありたいと考えるのです …(提唱者であり当会の顧問である順天堂大教授・樋野興夫先生の著書より)

札幌の「がん哲学外来」(開設趣旨)

私達は樋野興夫先生の志に賛同し、車座になって意見交換をする運営をめざします。講演会スタイルではありません。参加者全員が同じ立場、同じ目線で耳を傾け、縁のあった方々に寄り添うことを願っています。