一郷一会・関東周辺100名湯プロジェクト

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46.那須湯本温泉 「鹿の湯」

2005-12-03 13:49:38 | 栃木
那須湯本温泉 「鹿の湯」は、栃木の温泉の顔であり、今までに温泉ファンを魅了しており、現在も多くの湯浴み客が訪れている聖地ともいうべきものである。
 共同浴場である鹿の湯は、最大の特徴は那須湯本温泉の源泉にどの温浴施設よりも一番近く、引き湯距離も30mくらいである。ここ那須湯本の源泉は、鹿の湯を跨ぐように流れる湯川の西側に「行者の湯」源泉と東側の道路側に「鹿の湯」源泉の混合泉であります。湯守の方に聞きますと、両源泉とも湯口は無色透明であり酸化に伴って白濁度を増すという。但し、行者の湯のほうが湯ノ花が若干あり、鹿の湯のほうは、湯ノ花はほとんど無い透明な湯というのが興味深いものである。

 ここ那須湯本温泉は、多くの旅館やホテルに供給されているが、雨季(梅雨)のときには湯量が変わるようで、通常は毎分800L、雨季となると1200Lとなり、火山と地下水との関係が影響するものだと改めて考えさせられる。ここの熱源が、直ぐ近くの殺生石あたりで、那須連峰の麓に位置していたのが幸いだったのだろう、これが山の頂上だったら箱根などと同じく地下水の乏しい造成泉になっていたかもしれない。

 私は若いときから湯巡りが好きで、かれこれ20年以上にもなる、しかも無類の火山性の硫黄泉好きであり、北は東北から南は九州の温泉まで、かなりの硫黄泉に入浴してきた。当然ここ鹿の湯にも入浴したわけだが、当時はなんでこの湯で感動したかよく覚えていなかった。多分見てくれのよさだけで感動していたのかもしれなかったじゃなかったのかもしれない。他の有名な温泉も同様に、温泉に入浴した喜びよりも、当時温泉数をこなした喜びみたいな満足感が全てのような気がする。
 その後かなりの数の温泉と出会い、最近では白濁の温泉を入浴することが目的で無くなったようだ。しかし、火山性硫黄泉の麓に硫酸塩泉系や炭酸水素泉系や良質な塩化物泉などの良泉が存在しており、その温泉を探すためにその元になる硫黄泉を基準に考えることをよくしている。

 さて、かなりの前置きが長くなったが「鹿の湯」はというと、日本の全ての温泉でも稀なる湯使いをしている。基準はなにかというと、上に書いてある白濁湯にするといったものである。幾つかの温泉でも着たかもしれないが、このプログにテーマが良い湯であり、その1つの骨格が、鮮度の高い湯やじゃぶじゃぶかけ流しなどといった鮮度感のある温泉で、鮮度の低い湯とくらべ、匂いもクセがなく香りが上品であり、深さをもった浴感であることなどである。このような温泉が100プログで紹介された良い湯の基準となっているだろうが、寝かせた硫黄泉とはどんなものだろうか。

 鹿の湯は、湯船が6つあり、一番熱い湯が48度、その次から2度刻みくらに温度に差をつけており、熱い湯からやや温い湯までそれぞれにお湯の温度に差をつけて温度によって好みの湯を楽しましてくれる。当然ここの良いところは、加水などをしておらずしかも白濁湯にまでしており、ここの「湯元鹿の湯」の全てを語っているようでもある。一番最初に書いたが、ここの湯は、建物の切り目にあるように、非常に源泉に近く、そのままであれば、無色透明なお湯が掛け流されていて、ちょうどかぶり湯がそうであったように、透明なる熱い湯となっている。

 それじゃどうして、白濁湯になるかというと、入浴時間終了後、全ての浴槽をお湯を抜き、そして清掃してお湯を入れ始める。各湯よくよく観察してみると解るが、お湯の投入量が微妙に違うはずである。温い浴槽は相当な絞り込み量で、熱いほうが当然絞り込みは緩いく、営業時間になっても同じように絞りで調整しているのだ。一番温い浴槽は、営業時間前にようやく湯船にお湯が満たされるそうで、その寝かし度というものは、貴重なものである。
 特に湯守方の話では、温い湯のお湯の造りこみが一番大変んことで、湯を各浴槽から、相当入れ替えて調節するそうで、私は見ていないのであるが職人芸ともいえるのかと思う。

 お湯に入った印象であるが、ここはPHの低い酸性泉で、寝かした硫黄泉は、刺激が少ない。特にここの「鹿の湯」が一番よい所は、小さな湯船で、4人でいっぱいな湯船であろう。しかも深く硫黄の寝かしながら鮮度感も保っているのであろう。共同湯の最大の特徴の小さな湯船というものが、お湯のわかる人々によって継承されているのが嬉しい。今回私もこの鹿の湯みたいに肌に馴染みやすい湯をしみじみ堪能できた。1歩間違えると、とんでも悪い湯使いになってしまう恐れのあるのだが殺菌力のある力のある湯や、深く小さな湯船に助けられ、独自の進化がなされている鹿の湯に拍手したい。
 
 湯守さんと温泉のことをかなり話した、湯守のひとが温度管理が大変なので、熱交換したいという、私も熱交換に賛成したが、あまりにも源泉が近いので、熱交換する場所がないという。ここで熱交換したら、鹿の湯はお湯の鮮度感について更によくなるだろうが、独特の湯使いのお湯はどうなってしまうのであろうか。
 寝かした温泉は、硫黄泉ではときに爆発的に良い湯になることがある。最近では配管技術が発達しており昔ほど、鮮度差というものがなくなっている。温度的にも一番下の旅館まで1度くらいしか違わないともいう。
 ここ那須湯本温泉 「鹿の湯」は寝かした硫黄泉ではあるが、すこぶる柔らかく深いお湯である。

 那須湯本温泉「鹿の湯」 酸性 含硫黄-カルシウム-硫酸塩・塩化物泉(硫化水素型) 泉温68.4℃ PH2.5 (平成11年2月分析)
K=3.2 Na=39.2 K=10.6 C=70.1 Mg=16.6 Al=7.6 Mn=1.2 Fe1=1.4 F=0.8 Cl=79.9 HSO4=42.4 SO4=398.2 硫酸=0.3 メタアヒ=0.1 メタケイ=338.5 メタホウ=1 H2S=28.8 成分総量1.04g/kg

文/画像 ガメラちゃん@takayama