goo blog サービス終了のお知らせ 

弁護士パパの子育てノート

3人の子供の子育てにかかわる日常の中で、「これってどうなんだろう?」と考えたことをいろいろと記してみたいと思います。

騒音問題(子どもの足音)1 -みんな昔は子供だった?

2015-04-03 04:25:53 | ご近所
 子育て中の方からよく受ける相談(悩みごと相談を含め・・)の一つとして、マンション等の共同住宅における子どもの足音をめぐる下階の方とのトラブルがあります。

 近隣とのトラブルは、感情的な軋轢を生じて大きなストレスを感じさせるものであり、疲れ切ってしまって引っ越したなどという話もよく聞くところです。

 子どもの足音の問題も本当に難しい問題だと思います。

 子育てに一生懸命励んでいる親からすると、下階の人から「子どもの足音がうるさい。」と注意されてまず感じるのは、「子どもだから仕方ないじゃないか。」「子どもにだって生活する権利があるでしょう。」といったところではないでしょうか。

 こういった親の言い分にも一理あり、実際に、下階の人が「な~に、誰だって皆、昔は子供だったんだよ~」と笑顔で言ってくれることだってあるかもしれません。

 しかし、人というものは千差万別であり、みんなが子どもに寛容という訳ではありません。
 
 「子どもだから仕方ないでしょ。」と開き直った態度をとることで、下階の人が感情的に刺激され、関係が泥沼化してしまう危険もあります。
  

 最近の裁判例をみても、子育て中の親に対して厳しい判断を下しているものが見受けられるようになってきています。

 平成19年には、マンションの上階に住む幼児(3~4才)が走り回ったり、跳んだり跳ねたりすることで生じた騒音について下階住民からの慰謝料請求が一部(36万円)認められた裁判が世間の注目を集めました(東京地裁平成19年10月3日判決)。

 その後も、子ども(幼稚園児)が飛び跳ね、走り回ることで生じた騒音につき下階住民に対する合計約120万円に及ぶ慰謝料・治療費・測定費用の支払いが命じられ、さらに騒音発生の差止めまで認められた事案も出てきています(東京地裁平成24年3月15日判決)。

 これらの裁判例は、いずれも、幼児が飛び跳ねたり走り回ったりすることで生じた騒音が下階住民の受忍限度(※)を超えているとされたものですが、少なくとも、「子どもが騒音を生じさせても、子どものことだから仕方がない。」といった考えは明らかに否定されており、この点、我々子育て中の親も留意しなければならないと思います。
 
 とはいえ、性質上、子どもが走ったり、飛び跳ねたりすることはある程度やむをえない面もあり、裁判等でも、上階の子どもが生じさせる騒音が下階住民の受忍限度を超えていないとして下階住民の請求を認めなかった事例もあります。
  
 ポイントはいかなる場合に下階住民の受忍限度を超えるかという点になりますが、この点微妙なところもあり、次回、もう少し考えてみたいなと思っています。


※受忍限度とは、社会生活において一般的にみて我慢するのが相当であると考えられる限度のことをいいます。

次の記事;騒音問題(子どもの足音)2 -受忍限度とは?





最新の画像もっと見る