★ダムについての論文控え 若干語尾編集。
公益財団法人リバーフロント研究所 研究参与 竹村 公太郎 氏
ダムは半永久的にエネルギーを与えてくれる装置
ダムはピラミッドをしのぐ巨大構造物、極めて強固な構造物。理由3つ。
1つ目:ダムのコンクリートは鉄筋がなく鉄が錆びて劣化という事がない。
2つ目:ダムの基礎は強固な岩盤と一体化。
3つ目:コンクリートの厚みが桁違いに厚く安全な構造。
だが、巨大ダムを次々建設する時代でない。これからは既存ダムの潜在的水力発電能力を引き出す事が大切。
既存ダムの有効活用①ダムの運用を変更
現在ある既存ダムの潜在的発電能力を引出せば、現発電量の30%増可能であるとの試算が有る。その方策は大きく3つ。
1つ目、ダムの運用変更、ダムの空き容量を利用し発電に活用。
現在の多目的ダムは、夏場、水を半分程度しか貯めていない。これは、襲ってくる洪水を貯留して、下流の災害を防ぐため。多目的ダムは「利水:水を利用」と「治水:洪水を予防」の2つの目的が有る
利水はダムに水を貯めたい、治水はダムを空にして洪水を待ちたいという二律背反関係。この折衷案で現在の多目的ダムのルールが法律で決まっている。
「特定多目的ダム法」昭和32(1957)年成立、当時TVなく、気象予報精度低く台風進路予測もできない状況。あれから60年経った21世紀の今、気象予測の水準は当時と全く違う。
通常はなるべくダムに水を貯め、水力発電の効果を高めておく。台風が接近してくれば、今はその予測は1週間前に分かる水準にある。大雨が降る数日間から事前に放流すれば、洪水を貯め込む空容量は十分確保可能。
ダムの潜在力を活かす鍵を握るのは「河川法」という法律。河川法は過去2度改正。今こそ3度目の改正を行う時で、河川法第1条を改正して「河川の水エネルギーを最大限活用する」という趣旨の文言を付け加える改正が求められる。日本国家として、河川の水エネルギーを積極的利用宣言を。
2つ目は、既存ダムの嵩上げ。
嵩上げとは、既存のダムを高くする改築のこと。例えば、高さ100mのダムがあるとすると、このダムをあと10m高くすれば、多くの水が貯められ、水位も10m上がり、発電力の増加に。水の位置エネルギーは、その水量と高さに比例。高さわずか10%の違いでも、電力で考えると単純に計算しても発電量は70%も増加。つまり、10%の嵩上げはダムをもう1つ造るのと同じこと。しかも、費用は同規模のダム工事なのに桁違いに安く済む。
ダム嵩上げの場合は、水没集落への補償、付帯道路や付帯鉄道の費用はすでに支払い済み。新規ダム建設はもちろん、他の発電と比較しても圧倒的安価。
3つ目、中小水力を推進。現在は発電に使われてないダムでも発電ていく。
日本には発電に利用されてないダムが多数存在。大きなものでは、国の直轄の多目的ダムから、都道府県の多目的ダム、そして国や都道府県が管理している砂防ダム(小さな渓流などに設置される土砂災害防止の設備)まで様々。ダムは大きければ、発電量が多くなり効率はいいが、ダムの高さが10m級の砂防ダムでも発電可能で、100~300kWほどの電力は簡単に得られる。中水力発電の潜在力は思いのほか大きい。将来は、砂防ダムや農業用水ダムのように、発電とは別の目的で造られた多数のダムの発電能力を積極的に活用すべき。
◎ダム湖は国産の油田相当⁈
(1)運用変更と(2)嵩上げだけで、343億kWの電力量が増やせると試算される。これに(3)現在は発電に利用されていないダムを開発(技術的には何ら問題がなく再生可能エネルギーの固定買取制度のおかげで経済的にも好条件)し、少なく見積もって1000億kWを加えると合計、1350億kW増やせる計算。既存のものを合わせ約2200億kW、日本全体の電力需要約20%を賄う。
これだけの純国産電力を安定的に得られる意味は大きい。仮に家庭用電力料金では、1000億kWの増加で、1kWh当たりを20円とすると、年間で2兆円になる。100年で200兆円の電力が新たに生まれることに。
ダム技術者から見ればダムに貯めた雨水は石油に等しくダム湖は国産油田の様なモノ、しかもこのエネルギーは、ダム湖に雨が貯まるほど増え、魔法のように涸れることはない。
近代文明のシンボルとも言える巨大ダム(川治ダム、大川ダム、宮ヶ瀬ダム)建設に従事。しかし、巨大ダムの建設には大きな犠牲が伴った。水源地域の大きな犠牲と引き換えに、洪水を防ぎ、飲み水を供給し、近代化のエンジンであった電気エネルギーを得て、日本は高度経済成長を成し遂げた。
現在の日本の繁栄は、私たちの先人、巨大ダムに沈んだ集落の多くの人々の犠牲があって成り立っているからこそ、この巨大遺産を無駄にすることは許されない。有効に使わければ、過去に犠牲を強いた人々(生まれ育った家、学んだ学校、遊んだ小川、恋人と歩いた丘、夫婦で将来を誓った神社やお寺など全てを失った人々)や自然環境に対して申し訳がない。官民総力を挙げて水力発電に協力を
水力発電の問題は、国交省(河川の管理)、経済産業省(エネルギー問題)、農水省(土地改良)、環境省(自然環境)、財務省(国有財産処理)、総務省(地方自治)など、多くの省庁が関係。具体的な行動に移していくためには、それら関係省庁を指導する国会議員のガバナンスが絶対に必要。
この構想が日本の将来にとって、多大な恩恵をもたらす。
水力発電は天から日本列島が授かった純国産エネルギー。
💋既存の施設を上手く利用してれば。
相変わらず省庁の縦割り行政の悪癖が。政治家の不勉強と見識の無さ。
既存原発の有効利用で無駄に石油や天然ガス購入せず、その分で新技術開発や
水利で自然災害軽減策とやれる事は多いはず。そして脱旧原発を。
新エネルギー開発へ
綺麗事を言い過ぎの人多い(左翼系)中で…