goo何気無い日々が心地よい安寧

何気無い日々が続く様に。生きていく事の大変さがカナン。ある種空気の様な存在になりたいもの。

🧠大ベストセラー『スマホ脳』著者が明かす、「脳の老化を防ぐ」簡単な方法とは  202112

2021-12-17 00:52:00 | 健康関連

大ベストセラー『スマホ脳』著者が明かす、「脳の老化を防ぐ」簡単な方法とは
 ダイヤモンド onlain より 211217  川口友万


 アンデシュ・ハンセン氏。作家・精神科医。スマホをはじめとするデジタル機器が人々の生活を脅かしているという『スマホ脳』(新潮新書)はベストセラーに

⚫︎人体の臓器はネットワークで 互いに影響しあっている
 高齢化やコロナ禍を受けて健康ブームが続いている。最近の研究でわかってきたのが、人体の臓器は高度なネットワークによって統合されており、たとえば心臓は心臓だけで動いているわけではないということだ。

 よく知られているのが、脳と腸が互いに影響しあう「脳腸相関」だ。「腸は人間の第二の脳」という言葉を聞いたことがある人もいるだろう。
 生物の進化は食べることと排泄することから始まっている。消化活動をコントロールする細胞が進化して脳になったというのが最新の研究で明らかになっており、腸に脳神経と同じニューロンという仕組みがあるのはそのためだと考えられている。

 腸と聞くと小腸だけと思いがちだが、脳腸相関の腸は口腔から肛門までつながる消化器すべてを指している。

 新潟大学と理化学研究所の研究で、歯周病が腸内細菌の機能を変化させて腸管のバリア機能が低下、内毒素血症を引き起こし、それが肝臓疾患へとつながることがわかったという。
 歯周病は他にも動脈硬化性冠動脈心血管疾患の発症率を高め、糖尿病を悪化させ、リウマチを引き起こすことがわかっている。単に歯が抜ける抜けないだけの問題ではないのだ。

「最強脳 ――『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業」(アンデシュ・ハンセン/新潮新書)。『スマホ脳』で投げかけたスマホがもたらす問題を運動が解決するという内容の新刊だ。
 政府は現在、大胆な発想に基づく挑戦的な研究を行う「ムーンショット型研究開発制度」を進めている。ムーンショット(=月へ飛ばす)の名の通り、その目標や予算規模は非常に大きい科学プロジェクトだ。同制度には9つの目標が設定され、それぞれにプログラムディレクター(PD)が置かれ、国内屈指の研究者が各プロジェクトに参加している。
 その中の二つ目の目標が「2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現」というものがある。

 これは脳腸相関のような人体の臓器間の包括的ネットワークを利用して病気を早期に発見しようとするもので、たとえば未知のウイルスに感染した場合に体の免疫反応をAIで分析してウイルスを特定したり、アルツハイマーのような発症まで数十年かかるような病気を体の変化からごく初期に発見する超早期の疾病予防体制をつくることなどの研究が行われている。

 こうした人体と臓器のネットワークは臓器円環とも呼ばれ、これまでのような臓器ごと、神経ごとに治療方法を探ってきた医療とは一線を画し、疾患を脳も含めた全身で捉えて治そうとする。医学のパラダイムシフトが起きつつあるのだ。

⚫︎1日10分間の運動で 脳機能は向上する
 ここで注目したいのが脳と臓器の関係だ。

 高齢化社会を迎え、脳の健康が注目されている。定年が70歳になろうとする現在、脳の老化を防ぐことは社会の要請だ。しかし、脳機能は加齢により下がっていくため、老化に伴って記憶力や集中力の低下や判断の遅延などが起きる。

 定年の延長は労働力不足を補うためだが、ホワイトカラーが仕事の主体であるため、脳の衰えはそのまま労働の質の低下となる。

 ーでは脳を鍛えるにはどうすればいいのか?

 クイズやゲームのような脳トレや塗り絵が脳の老化に歯止めをかけると言われたこともあるが、ビジネスで使えるレベルの脳機能の維持には役に立たない。実際、クイズや塗り絵で定年延長に対抗できると考える人はほとんどいないだろう。

 ーではどうすれば、ビジネスで使えるレベルにまで脳を鍛えられるか。

 答えは運動することだ。脳を鍛えるためには体を鍛えればいい。これは、まさに臓器円環の仕組みを脳に利用することである。

 筑波大学体育専門学群の征矢英昭教授らはカリフォルニア大学と共同で運動が脳の機能向上に与える運動の影響を実験した。

 大学生を対象に、自転車を軽中強度で10分間こいでもらい、192枚の物体の写真を2秒間ずつ見せ、覚えてもらった。次に同一、類似、無関連いずれかの写真を計256枚見せ、最初に見せた192枚の写真と同じか似ているか無関係を答えてもらった。

 その結果、類似度が低い(=すぐに見分けられる)写真の正答率は、運動した人もしなかった人も変わらなかったが、類似度が高い(=見分けにくい)写真では、運動した人の正答率が明らかに高くなったのだ。

 運動によって判断力と記憶力が向上したと考えられる。征矢英昭教授は運動によって前頭前野(思考を生み出す部位)が活性化することも突き止めており、脳は体を動かすことで能力がアップすることが判明したのだ。

 繰り返しになるが、脳を鍛えるには体を鍛えればいいのである。

⚫︎『スマホ脳』著者が語る 運動の快感を維持する方法
 運動することで脳の機能が改善になる。同じことをベストセラーになった『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン/久山葉子 新潮社)の作者であるアンデシュ・ハンセン氏も述べている。

 同氏から話を聞いた。
 ハンセン氏によれば、私たちがスマートフォンを片時も離せなくなるのは「期待」のせいだという。

「重要なニュースがアップされるかもしれない」「次のタップで役に立つ情報が手に入るかもしれない」と予測する(=期待する)ことで脳内物質が分泌され、その気持ち良さによって私たちはスマホを手放せなくなるという。これはギャンブル中毒者にも共通する。つまり、スマホを使いながら、私たちはギャンブルを楽しんでいるのだ。

 だから私たちはスマホから逃れられずに無駄な時間を費やしている。そんなスマホに対抗するには、運動することが重要だとハンセン氏は言う。

「運動をした後は気分が良くなります。しかし、誰も運動中毒にはなりません。なぜなら、脳にとって重要なのは生存することであり、そのためにはカロリーを使い切らずに保存する必要があります。そして、私たちには怠慢という特性があり、体を動かしてカロリーを減らすことはできるだけしたくありません」

 とはいえ、狩りをしなければ食べ物を得られない。
 それゆえに「運動をすると脳は気持ち良くなり、もっと運動をしたくなりますが、必要なカロリーが得られれば、その後は怠慢に負けてしまうのです」。

 昔から腹八分目というが、脳にもそれがいえるようだ。腹がいっぱいになれば脳は体を動かそうとしなくなる。だから、怠慢に負けないためには、食べ過ぎないように節制した生活をするべきなのだ。

「私たちの認知機能、記憶力や集中力、創造力は運動による影響を受けています。これは数百の論文が裏付けています。運動はうつ病や不安症のリスクを減らします。しかし、私の母国であるスウェーデンでは若者の歩行量は2000年に比べて25~30%も低下しています。これは心の問題と戦う力が落ちていることを意味します」

 ー脳のコンディションを整えるには、年齢を問わず、運動が必要だ。

「スウェーデンでの調査によれば、2000年以降、子どもたちの運動量が低下したのはスマートフォンの影響でした。同じことは大人にもいえます。運動は学習力も向上させるので、運動しないことは生活に深刻な影響を与えるでしょう」

⚫︎集中力を高めるための 簡単な方法
 運動を続けることでセロトニンやドーパミンなどの脳内物質の分泌量が増え、脳のパフォーマンスを向上させ、幸せな状態を維持しやすくする。スマートフォンのような外部の刺激に頼らずに、体の中から幸せを感じられるように脳が変わっていくのだ。

「脳が感情や印象を創出するときや、自分自身が喜びや不安を感じるときは、環境からシグナルを受け取るのではなく、自分の肉体が発するシグナルを受け取ります。
 つまり、肉体の状況が感情を生み出し、快不快を生み出します。したがって、運動で身体機能を向上させることは、不安やうつに対抗する力を生み出すことにつながります」

 私たちの脳は体とつながっているため、体を健康にすることは脳を健康にすることと同義なのだ。

 若い時には寝食を忘れて何かに集中できたのに、中高年になって集中力が大幅に低下したと痛感している人は多いだろう。

 しかし、ハンセン氏によれば、「人は長い間、生き残るためには常に周囲に気を配る必要があったため、もともと気が散りやすい」という。
 では、獲物に襲われる心配のない現在において、集中力を維持するためにはどうすればいいのか。

 答えは簡単だ。
 ー集中を妨げるものを自分から切り離せばいいのである。

 ハンセン氏は、「スマホを別の部屋に置くべきです。そして、自分が興味を持てることで、ほどよく難しく、退屈と不安の中間のようなものを課題にすれば、集中力は高まります」とアドバイスする。

「この数十年で労働環境は大きく変わり、コンピューターが多くの労働を肩代わりするようになりました。今後、人々が行う重要な仕事の多くは、集中力や注意力を要するものとなるでしょう。デジタル機器の誘惑を振り切り、運動によってその力を養うことは、仕事で成功するためにも必要だといえるでしょう」

 にもかかわらず「私たちは動かなくなり、眠らなくなり、状況はどんどん悪くなっている」とハンセン氏は警鐘を鳴らす。

 ひとまずスマホを別の部屋に置き、散歩でも自転車でもいい、1日10分の運動を習慣づけることから始めよう。私たちの心と体はつながっているのだ。

(サイエンスライター 川口友万)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 血糖値を上げない新・食べコ... | トップ | 世界中の微生物が「プラスチ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿