音を聴くだけ、副作用なしで「認知症」が予防できる…最新科学が生んだ「スピーカー」の威力
現代ビジネス より 240513 週刊現代
⚫︎脳を活性化させる周波数
認知症になってしまったら、効果のうすいクスリを使うか、もう諦めるかしかない――そんなふうに思っていないだろうか。
しかし、じつはクスリに頼らない「非薬物療法」で認知症を予防したり、進行を遅らせたりすることができる可能性は高い。なかでも有望とみられているのが、脳科学からのアプローチだ。
脳科学の世界で、認知症予防に「革命」をもたらしたとされるノーベル賞級の論文がある。それが、'19年に米マサチューセッツ工科大学(MIT)の神経科学者、ツァイ・リーフェイらが発表したものだ。
その論文に書かれていたのは「認知症のマウスに40Hz(1秒間に40回)の刺激を与えると、脳のアミロイドβが減った」というもの。お茶の水女子大学助教で脳科学者の毛内拡氏はこう解説する。
「脳は脳脊髄液という透明な液体の中に浮かんでいます。この脳脊髄液には、外部からの衝撃を緩和し、脳を守るという役割のほか、血液から栄養素を脳に運び、また脳内の老廃物を洗い流す目的もあります。
脳が40Hzのガンマ波の刺激を受けると脳脊髄液の流れが改善され、アミロイドβなどの老廃物をより多く洗い流せることがわかったのです」
そんな最新研究をもとに開発されたスピーカーがある。
脳科学の世界で、認知症予防に「革命」をもたらしたとされるノーベル賞級の論文がある。それが、'19年に米マサチューセッツ工科大学(MIT)の神経科学者、ツァイ・リーフェイらが発表したものだ。
その論文に書かれていたのは「認知症のマウスに40Hz(1秒間に40回)の刺激を与えると、脳のアミロイドβが減った」というもの。お茶の水女子大学助教で脳科学者の毛内拡氏はこう解説する。
「脳は脳脊髄液という透明な液体の中に浮かんでいます。この脳脊髄液には、外部からの衝撃を緩和し、脳を守るという役割のほか、血液から栄養素を脳に運び、また脳内の老廃物を洗い流す目的もあります。
脳が40Hzのガンマ波の刺激を受けると脳脊髄液の流れが改善され、アミロイドβなどの老廃物をより多く洗い流せることがわかったのです」
そんな最新研究をもとに開発されたスピーカーがある。
シオノギヘルスケアが販売している「kikippa」だ。
本誌が昨年11月11・18日号で取り上げて話題沸騰となった商品だ。このスピーカーをテレビにつなぐと、テレビの音に1秒間に40回の振動が加わり、40Hzの"ガンマ波サウンド"が出る。スピーカーを通してテレビの音を聞くだけで、脳内のアミロイドβを減らす効果が見込めるのだ。
kikippa(シオノギヘルスケアHPより)
テレビにつなぐだけでいい
このスピーカーを共同開発したピクシーダストテクノロジーズのプロジェクト担当者、松浦泰幸氏はこう解説する。
「テレビの音などに40Hz変調を施したガンマ波サウンドを出せる、世界初の技術を塩野義製薬と開発し、特許も取得しています。このスピーカーは、テレビの音を人の声と、それ以外の背景音とに分けます。そのうえで、背景音のほうにより強く40Hz変調をかけているので、声の部分は比較的劣化せず、日常使いしやすくなっています」
テレビを視聴するだけで認知症予防につながるのだから、これほど画期的なものはない。
東京都在住の山田宏美さん(68歳・仮名)は、本誌記事を読んで、夫に購入したという。夫は、定年退職後、物忘れが目立つようになった。山田さんが、念のためと思って病院に連れて行ったところ、軽度認知障害と診断されたのだ。
「たしかに効果があるように思います。物忘れの回数は減りましたし、間違えてお風呂掃除を2回やる、といったこともなくなりました」
認知症は治療が難しく、進行を遅らせることしかできない。「kikippa」ならテレビにつないで音を聞くだけでいいので、副作用がなく、日常使いにも適している。
kikippa(シオノギヘルスケアHPより)
テレビにつなぐだけでいい
このスピーカーを共同開発したピクシーダストテクノロジーズのプロジェクト担当者、松浦泰幸氏はこう解説する。
「テレビの音などに40Hz変調を施したガンマ波サウンドを出せる、世界初の技術を塩野義製薬と開発し、特許も取得しています。このスピーカーは、テレビの音を人の声と、それ以外の背景音とに分けます。そのうえで、背景音のほうにより強く40Hz変調をかけているので、声の部分は比較的劣化せず、日常使いしやすくなっています」
テレビを視聴するだけで認知症予防につながるのだから、これほど画期的なものはない。
東京都在住の山田宏美さん(68歳・仮名)は、本誌記事を読んで、夫に購入したという。夫は、定年退職後、物忘れが目立つようになった。山田さんが、念のためと思って病院に連れて行ったところ、軽度認知障害と診断されたのだ。
「たしかに効果があるように思います。物忘れの回数は減りましたし、間違えてお風呂掃除を2回やる、といったこともなくなりました」
認知症は治療が難しく、進行を遅らせることしかできない。「kikippa」ならテレビにつないで音を聞くだけでいいので、副作用がなく、日常使いにも適している。
今後こうした非薬物療法が認知症治療の王道となるかもしれない。
「週刊現代」2024年5月11日号より
「週刊現代」2024年5月11日号より