白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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日本チーム、乙級昇格!

2016年06月24日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は良いニュースがありました!

中国では地域対抗の団体リーグ戦が行われています。
甲乙丙の三部制で、総勢数百人参加の大規模なものです。
野球のようにチームに助っ人外国人が入ることもあります(韓国、日本、台湾)
しかし今回日本はチームごと参加しました。
一番下の丙級ですが、28チームの中で3位以内に入らなければなりません。
将棋の順位戦のように、昇格へのハードルは非常に高いです。
そこで今回は日本棋院が本気を出しました。
伊田篤史八段一力遼七段余正麒七段許家元三段
20歳前後の若手の中でのトップ4人、いずれも既にタイトルを狙うレベルまで来ています(伊田八段は前十段)。
結果は7戦で5勝2引き分け、堂々の1位で乙級昇格を決めました!
乙級は世界トップクラスの棋士も参加しており、ぐんとレベルが上がります。
来年日本チームがどんな戦いを見せてくれるのか、ますます目が離せません!



それでは最終戦、伊田八段(黒)対丁烈六段戦を振り返って見ましょう。
この対局は幽玄の間で中継されました。
白△と打たれた場面です。
ここまで黒苦しそうな布石だと思っていました。





黒1以下受けているようだと、形勢は白が良さそうです。
そこで黒は・・・





黒1と一本利かしてから、黒3、5と反撃!
無理気味のように見えましたが、力自慢の伊田八段らしい打ち方です。





白5となって、これは苦しいのでは?





結局3子抜かせる事になりました。
中央で3子抜いては白良しと思いましたが、白に無駄石があるのに対して黒の形はピンとしています。
実は黒がうまくサバいているのかもしれません。
碁は深いですね。





その後、黒1を利かそうとした所で白2と反発!
白8となって振り替わりと思いきや、さらに黒Aと動き出して・・・





このような分かれになりました。
白地が変わっていないのに対し、黒地が大きく増えています。
伊田八段、得意の読みでポイントを挙げました。





その後、白△と中央の黒を切り離した場面です。
黒は逃げるかと思いきや・・・





黒1と反撃!
黒Aで3目中手ですよと言っています
白も怒って2、4と反撃!
最後の勝負所となりました。





戦いの結果、黒は中央の大石を無事脱出する事に成功しました。





一方、白は△と屈辱の眼持ちを強いられる羽目に。
これで黒の勝利は磐石のものとなりました。
伊田八段、力で勝利をもぎ取った1局でした。


中国で熱い戦いが繰り広げられましたが、国内戦も負けてはいられません。
明日6月25日(土)に第41期碁聖戦が開幕します!
村川大介八段井山七冠の一つ下の25歳、若手四天王の活躍には刺激を受けている事でしょう。
思い切った碁を見せて欲しいですね。
対局の模様は幽玄の間で生中継されます。
お楽しみに!