白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
ブログ移転しました→https://note.com/shiraishi_igo

勝負手

2016年06月07日 23時59分59秒 | 対局
皆様こんばんは。
本日はプロの勝負手がどういうものかをご紹介しましょう。
登場するのは白石二段です(笑)



白△と生きられた場面です。
ここまで白に打ち回され、苦しい形勢です。
どう打開しますか?





黒1は成立しません。
逆に取られてしまいます。





黒1は白6に回られて、盤面で良い勝負の形勢です。





黒1は少し頑張りましたが、白2が冷静です。
白6までとなってみると、やはり黒足りません。





普通に打っては足りない時、より深く踏み込まなければいけません。
しかし読みの裏付けがない勝負手は簡単に潰されて終わりです。
成立するか成立しないか、ぎりぎりの所まで踏み込むのがプロの勝負手です。
黒1がそのぎりぎりです。
左上の白に寄り付く狙いです。





白1なら黒2以下で大きく生きてしまいます。
黒Aの切りも残り、黒成功です。





という事で実戦は白1の押さえから白3と2目の頭をハネてきました。
黒の形を崩そうとしています。





黒1の空き三角は白の注文です。
白2から黒をさらに団子にし、白10までと生きられては黒何もやっていません。





という事で黒1とハネて頑張りました。
勝負に出ている以上、緩むわけにはいきません。





白1、3と単純に取りに来れば黒4から反撃します。
黒10となっては逆に白が取られます。





実戦は白1、3とまず自分の安全を確保し、白5と黒の大石の急所に迫ってきました。
黒、どう対応しますか?





ここで黒1と受けるようでは、白6まで左右の絡み攻めです。
黒はもっと頑張らなければいけません。





黒1と切って反撃しました。
白に楽をさせては勝負になりません。





白1なら黒2と左側を目一杯に頑張ります。
白3と切ってくれば黒4以下、攻め合いは黒有利です。





実戦は白1から白7と中央の黒を狙って来ましたが、黒8と左側で頑張りました。
中央も黒16までなんとか凌いでいます。
白A、黒B、白C、黒Dとなる攻め合いは黒勝ちです。
勝負手成功、ここで黒中押し勝ちとなりました。


勝負手は、ただがむしゃらに仕掛けるだけではいけません。
普段以上に集中力を持って読むことで破壊力のある勝負手を放つ事ができます。
勝負手のつもりで玉砕を仕掛けている方が多いですが、正しい勝負手が打てれば確実に勝率アップに繋がる事でしょう。
コメント
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