白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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13路盤アマ予選終了

2016年06月11日 23時59分59秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は第1回13路盤プロアマトーナメント、アマチュア・コンピュータによる代表決定トーナメントが行われました。
いずれ劣らぬ熱戦でしたが、その中でも注目の対局をピックアップしてみましょう。



Aブロック準決勝・にぼっしーアマ(黒)対Zen
今回、コンピュータはZen、Aya、CGIGo、Rayの4名(?)が参加しました。
その中で唯一準決勝に進出したのがZenです。
近年棋力アップが著しく、得意な狭い碁盤でどれだけ頑張れるかが注目されていました。
実戦、にぼっしーアマの黒1、3が死活の手筋です。





黒2に対して白3と当てれば、黒A、白Bでコウになる所でした。





ところが実戦は白3と打ち、隅は5目中手、無条件で死んでしまいました。
コンピュータは計算が得意なので、細かい所では間違えないイメージがあると思います。
しかし実際には死活やコウが弱点なのです。
アルファ碁にもその傾向がありました。
囲碁には部分と全体という概念があります。
部分戦に力を入れれば全体が疎かになり、全体に力を入れれば部分戦が疎かになるようです。
このバランスをどう取るかが強い囲碁プラグラム、もっと言えば人工知能全般の発展の鍵になるでしょうね。



Aブロック決勝はZenを破ったにぼっしーアマ(黒)対spicyspyアマでした。
白1とぼんやり打ったのが面白い手でした。
地はありませんが全局を見た手で、センスを感じます。





その後白が右上一帯を荒らし、その代わりに黒△と白を取りに行った所です。
一見白苦しそうですが・・・





白15までと逆に黒を取ってのシノギになりました。
お見事です。



Bブロック決勝は志棋アマ(黒)対花鈴アマでした。
黒優勢の局面です。
白△と利かしに来たのに対し、黒△と反発しました。
この手では黒Aと受けておいて黒十分だったでしょう。





白7までと決死の踏み込み!
この後はAのコウ争いになり、白は勝負形に持ち込む事に成功しました。





乱戦の結果黒は左上の白を取り、白は右上を取って下辺を生きる振り替わりになりました。
2箇所打った白の利益が優り、白4目半勝ちとなりました。


ということでアマチュア・コンピュータ予選はspicyspyアマと花鈴アマが代表となりました。
おめでとうございます!
プロ相手にどこまでやれるか、健闘を期待しましょう。