白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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締め付け

2016年06月12日 23時09分48秒 | 仕事・指導碁・講座
皆様こんばんは。
本日は高校選手権の神奈川県大会が行われました。
指導碁の合間に会場を回りましたが、熱気が凄い!
自分もああやって碁を打っていたと思うと懐かしいですね。
今や彼らの倍ぐらいの年齢になってしまいました(笑)



さて、本日はシンプルな題材を取り上げましょう。
私のプロ入り前の碁です。
白△とツメられましたが、どう対応しますか?





黒1と下がって渡りを止めるのは素直な手です。
しかし白2と手を入れられると外側が薄く、黒3の手入れが必要です。
白4と上辺の守りに回られると今ひとつです。
もっと良い図はないでしょうか。
左上で取られている黒2子に目を付けましょう。





黒1と当てて手を伸ばすのが第一歩です。
これによって黒3を利かす事ができました。
左辺の黒地が固まって大いにプラスですが、しかしこれは序章に過ぎません。
黒の後続手段は?





ここで黒1と打つようでは、やはりAの隙間が残ってしまいます。
黒3とダメを詰めても利かず、白4に回られてしまいます。





正解は黒1!
2子にして捨てよという格言がありますが、3子にすべきケースもあるのは以前お伝えした通りです。
実は石数には上限は無く、今回は4子にして捨てる手筋です。
石数を増やした効果で黒3が丁度ダメ詰めを兼ねる手になりました。
となると攻め合いが1手違い、黒先手の締め付けです。
黒Aまで利いて外勢は万全、黒7に回って黒優勢になりました。
取られる石が増えた事を気にされる方がいらっしゃるかもしれませんが、所詮は数目の違いです。
1手1手打つゲームでどちらが先手を取るかは非常に重要です。


さて、明日から本因坊戦の第4局が行われます。
井山本因坊が2勝1敗でリード中、これが3勝1敗になるか2勝2敗になるか!?
七番勝負もいよいよ佳境に入ってきました。
プレッシャーも今まで以上に大きくなるでしょうが、鉄の心臓を持った両者の事です。
今まで通り、あるいはそれ以上の名勝負を見せてくれるのではないかと思います。
お楽しみに!

なお6月14日(火)0:00~12:00はgooブログがメンテナンスに入るため、ブログが閲覧できなくなります。
封じ手予想は日付が変わる前にご覧ください。