白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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サバキ

2016年06月06日 23時59分59秒 | 対局
皆様こんばんは。
本日は10年前の対局を取り上げます。
白石初段の戦いぶりを見てみましょう。



私の白番、黒△と迫られた場面です。
白どういう方針で行きますか?





白1は一つの形ですが、この場面では重くて最悪です。
周囲が真っ黒なので、白は生きられるかどうかもわかりません。





全局を見渡してみると、白地がずいぶん多いことに気が付きます。
左辺の黒を全部荒らす必要はなく、巨大な地にさせなければ十分です。
ということで実戦は白1、軽快に2間トビで逃げました。
しかし黒は早速2間の薄みを衝いてきました。
ここで白はどう対応しますか?





ここで白1以下まともに受けて立つようでは、最初の方針と矛盾してしまいます。
黒14となっては白ピンチです。





「サバキはツケから」という事で、白1とかわしました。
敵の勢力圏では柔軟な対応が必要です。





黒1と利いてくれれば、そこで白2と受けます。
白6までと対応して、ツケの効果で黒Aと切れません。
白のサバキ形です。





という事で黒は1と連打しました。
白2に黒3と頑張られて、さて白はどうしますか?





白1と全部助けようとするのはやはり重い打ち方です。
黒6とまとめて攻められ、白危険です。





白1とツケて変化しました。
これまた「サバキはツケから」です。
黒の勢力圏なので、正面衝突は避けます。





黒2と連打してくれば白3で隅を大きく破ってしまいます。
白大満足の分かれです。





実戦は黒1と頑張りました。
さて、白はどうしますか?





一転、白1と動き出しました。
白3のおまじないから白5が手筋です。
白A、黒Bの交換によりこの手筋が生じました。





黒1、3と隅を頑張れば白4以下辺で生きてしまいます。





実戦は黒1、3でしたが隅を先手で荒らす事が出来ました。
さらに白6、8とこちらからも動きます。





黒1、3と受けなければいけません。
これで左辺6子は完全に取られましたが、白4が後続手段です。
白8となっては白サバキに成功しました。
左側の黒地は値切り、右側の戦いでは完全に優位に立っています。


如何でしょうか。
なかなかのサバキのようにも見えます。
かなり弱い時の事ですから、たまたま上手く行っただけのような気はしますが・・・(笑)
今回は手段としては高度な内容になりましたが、皆さんにお伝えしたいことは一つです。
「敵の勢力圏では柔軟に」
この考え方を身に付けて、サバキ上手になりましょう!