白石勇一の囲碁日記

囲碁棋士白石勇一です。
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本因坊戦第3局感想

2016年06月03日 21時48分11秒 | 囲碁界ニュース等
皆様こんばんは。
本日は本因坊戦第3局が行われました。
早速振り返っていきましょう。



注目の封じ手は・・・黒1!
自信満々に予想したのに外れてしまいました





実戦は左辺に味を付けておいて、黒1から出切りを決行!
私の封じ手の時点での構想は、黒目一杯のシノギでした。
しかし井山本因坊はシノギに飽き足らず、白を攻めようとしています。
流石としか言いようがありません。





最終的に黒1と2目取る事になっては成功です。
白6と守ってもまだ白△の一団の連絡が不完全で、井山本因坊の攻めのシノギ(?)は成功しました。
先手を取って黒7と模様を広げ、黒優勢でしょう。





しかし高尾挑戦者も簡単には土俵を割りません。
白1の侵入からコウで粘り、難しい局面に持ち込んでいます。





まだコウ争いが続いていますが、ここで白1!
右上の黒に寄り付くぞと言っています。
左辺で暴れられたお返しをしようといった所でしょうか。
凄まじい気迫を感じました。





少し手順が進み、この場面。
黒1と井山本因坊得意のツケ!
上手いタイミングだと思いました。
右辺の白に対してAとBの2通りの攻め方がありますが、上辺での白の対応を見てから決めようというのです。





白1から黒6と進み、白にAとBの2択を迫った格好です。





白1のツギは同点の当てを拒否して、左上の白との連絡を重視した受け方です。
しかし黒4の当てが利くので右上の黒が強くなります。
安心して黒2の方から攻めて来るでしょう。





実戦は前図黒Aの当てを拒否して白1の抜きでした。
すると右上の黒が弱くなるので黒4と守りながらの攻めになります。
こう打たれてみると、黒BとCが見合い、王手飛車取りのような格好です。





白1と上辺を守れば黒2、これはいかにも白苦しそうです。





という事で白1と打ったのは止むを得ません。
しかし黒10と左上白を飲み込んでは勝負あったかと思われました。





が、黒1と右辺白を追及した所で白2が素晴らしい反撃!
右上の黒全体を狙う、これまた攻めのシノギでした。
こうなってみると黒もすんなり勝つのは難しくなった印象です。





手順が進み、こうなった時点で混乱はピークに達しました。
近い所にコウが同時に3つ存在、これは一体どうなっているのでしょうか???
もはや私には展開に付いていくことすら出来ません(笑)
この超難解の戦いを制したのは井山本因坊、価値ある2勝目となりました。

難解ながら、両者の気合がぶつかった素晴らしい内容だったと思います。
次はまた激しい戦いになるのか、あるいは神経の磨り減るヨセ合いか?
両者の戦いは全く予想できません。
好勝負になる事だけは間違いないと言っておきましょう。
第4局は6月13日(月)・14日(火)、長崎県西海市のオリーブベイホテルにて行われます。
お楽しみに!