遺伝屋ブログ

酒とカメラとアウトドアの好きな大学研究者です。遺伝学で飯食ってます(最近ちょっと生化学教えてます)。

代謝と炎症

2015-04-14 22:54:42 | BIONEWS
こんばんは。会議が長くて、購買の残りのどんぶりが夕食でした。野菜がないので、明日の講義の準備を終えて返る途中でコンビニの野菜サンド買いました。明日も頑張ります。今のとこ、まだ寝坊はしてません。w

脳腫瘍の生存率、遺伝子の傷つき方3種で大差(読売新聞) - goo ニュース
成人の脳腫瘍の8割以上を占める「神経 膠腫 こうしゅ」のうち、約3分の2は比較的悪性度の低いタイプでして、このタイプの患者757人分の遺伝子データを日米で集め、傷つき方を分析。〈1〉糖の分解に関わる遺伝子の変異〈2〉第1、第19染色体の一部が同時に欠ける〈3〉傷ついた遺伝子を修復する遺伝子の変異――という3種類の異常が、多くの患者に共通していて、診断から5年後の生存率は、〈1〉と〈2〉を併せ持つ型は90%、〈1〉と〈3〉を併せ持つ型は70%、〈1〉~〈3〉以外の傷が多数ある型は20%と、大きな差があったそうです。
〈2〉の「第1、第19染色体の一部が同時に欠ける」というのが、どの程度の欠失なのか原著論文を読んでないので分かりませんが、はっきりどの遺伝子とか分かれば論文に載せるでしょうから、分かっていないものと推察しております。〈3〉の「傷ついた遺伝子を修復する遺伝子の変異」は、たぶん原著には書いてあるんでしょうが、記者が遺伝子名を書いても一般読者にはわけわかんないだろうから配慮した記述なんでしょうな。同様のことが〈1〉の「糖の分解に関わる遺伝子の変異」にもいえるかと思います。がん細胞は正常細胞とは異なる代謝をします。おとなしく大増殖せずに役割を果たしている正常細胞なら、栄養はエネルギーに変換したらいいので、ミトコンドリアでTCAサイクルまわしてますが、がん細胞は酸素があろうがなかろうが細胞を増やすことにやっきになってるんで、解糖系だけ使って(グルコースからピルビン酸まで)、後は乳酸へもっていきます。ミトコンドリア使わなーい。代わりにコレステロールや脂質を生産します。こりがワーバーグ効果。がん細胞による特殊な代謝です。そんなわけで、がん研究の分野でも代謝研究が盛んでしてな、この研究結果には注目が集まりそうです。

アルツハイマー型認知症 「メタボ」が発症・進行のリスク(産経新聞) - goo ニュース
アルツハイマー型認知症とメタボの関係は近年、動物実験などで明らかになっていまして、蓄積した内臓脂肪から悪玉の生理活性物質が分泌され、これが脳の神経細胞を破壊する物質「アミロイドβ」を凝集させるとみられています。また、血糖値を下げる作用のあるインスリンには、アミロイドβを分解して神経を保護する作用がありメタボの状態ではその機能が低下し、脳神経の変化が進行してしまうと。
脳の炎症による疾患といわれているアルツハイマー同様、肥満も『炎症』との関連がいわれていますので、関連はあるかと思います。糖尿病も炎症と密接な関連があるといわれていますし・・・糖尿病がアルツハイマー病の発症リスクを高めるだけでなく、症状を悪化させるとの研究もあります。アルツハイマーによる認知症と血管が破れて起こる脳卒中による血管性認知症があり、「両タイプの認知症には共通の危険因子としてメタボがあり、若年期からのメタボの積極的な管理、予防が、認知症予防に極めて有効」だそうです。メタボは万病の元なんだね。さらにさらに、がんも炎症と関係しているとのことですから、代謝変化と炎症反応って、いろいろと成人病の鍵になりそうです。

では、おやすみん

本日のお酒:ASAHI DRY PALE ALE + 立山 特別本醸造
コメント
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